「ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ」今回は「ブルースフレーズ」の【Part6】です。
はじめに
今回はこのようなフレーズです。
これもブルースなどではよく聴かれるフレーズです。
左手は【Root-5th】と【Root-6th】を交互に弾いています。
コードは「C7」になっています。
「C7」といえばふつうは「Key=F」の「Ⅴ」である「ドミナント7thコード」です。
しかしブルースは少し特殊な音楽で、「トニック」も「サブドミナント」も「7thコード」にすることがほとんどです。
今回はブルースについての細かい説明は省きますが、この「C7」は「Key=C」の「トニック」、または「Key=G」の「サブドミナント」、または「Key=F」の「ドミナント」に使えます。
ということは、今回のこのフレーズも同じように「Key=C」のブルースの「トニック」、または「Key=G」のブルースの「サブドミナント」、または「Key=F」のブルースの「ドミナント」のときの「C7」に使えるということです。
フレーズの分析
ではフレーズを細かく見ていきましょう。
まずは和音になっているところや装飾音を省き、単音にして見てみます。
こうして見るとわりと簡単そうなフレーズに見えます。
使っている音は【ド-レ-ミ-ファ-ソ】だけです。
「C7」にたいしての【ド-レ-ミ-ファ-ソ】ということは、コードにたいして【Root-2nd-3rd-4th-5th】ということになります。
これはブルースでよく使われる「メジャーペンタトニック」とも「マイナーペンタトニック」とも言えません。
度数で書くとこのようになります。
【2nd】は【9th】と考えてもいいのですが、今回のフレーズでは【2nd】と考えたほうが簡単だと思います。
【3rd】から入って【3-1-2-1】と弾き、そのあと【2-1-5-4】と16分音符でかけ下りて【4-3】です。
この16分音符の弾き方でニュアンスは変わってきます。
正確に16分音符で弾くとこのようになります。
では少しリズムをくずしてみましょう。
これはもう好みになるのですが、正確に16分音符で弾くより、このように転がる感じで弾くほうがブルージーな気はします。
ではさらに音を足していきましょう。
まずアタマの「ミ」に向かって、半音2つの装飾音をつけます。
この「#レ」は「C7」にたいしてのブルーノートなので、これがあるだけで少しブルージーに聞こえます。
そしてところどころに音を重ねます。
「ミ」や【レ-ド】には「ソ」を、【ファ-ミ】には「ド」を上に足しましょう。
平行にハモるのではなく、「メロディーが動いていても上に同じ音を重ねる」というこの弾き方は、ブルースによく使われます。
たとえば平行にハモるとこのような感じでしょうか。
これも間違いというわけではないので使い分けるのもいいでしょう。
他のキーで見てみよう
では他のキーでも見てみましょう。
同じコードでもブルースではそれが「Ⅰ」の場合、「Ⅳ」の場合、「Ⅴ」の場合があるので、あえて調号は書かず臨時記号で見てみたいと思います。
ではこれを見てください。
これは「B♭7」のフレーズです。
【3rd】の「レ」の音に向かって半音2つで装飾音をつけ、上に【5th】である「ファ」を鳴らしながら【3-1-2-1】である【レ-♭シ-ド-♭シ】と弾き、すぐに【2-1-5】と転がすように弾きます。
そして上に【Root】である「♭シ」を一緒に鳴らしながら【4-3】である【♭ミ-レ】と弾いて終わりです。
これは「A7」のフレーズです。
「#ド」に向かって【シ-ド】と装飾音をつけます。
【5th】を上で鳴らしながら【3-1-2-1】と弾き、【2-1-5】と転がすように下行します。
そして上に【Root】を鳴らしながら、【4-3】である【レ-#ド】と弾いて終わりです。
覚えるための練習法
ひとつずつ順番に覚えるのもいいのですが、せっかくなのでこんな練習法をやってみてください。
これを時計回りに全部「7thコード」のまま進んでいきます。
これで12個全ての「7thコード」で今回のフレーズがマスターできるはずです。
今回は左手は【Root-5th】【Root-6th】を4分音符で交互に弾いています。
難しければ【Root-5th】だけでもかまいませんし、オクターブで【Root】だけ弾いてもかまいません。
※ 「カラオケ音源」と「MIDIデータ」を貼っておきますのでご自由にダウンロードしてお使いください。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
バリエーション
今回のフレーズを少し変えるだけでいろんなバリエーションが得られます。
使っている音は今回紹介したフレーズと全く同じですが、リズムを変えてみました。
音もリズムも少し変えてあります。
「メロディーが動いても上に同じ音を重ねる」というのを、少し多めにやってみました。
2小節めなどはメロディーが半音で4つ下がっていますが、上に同じ「ド」の音を重ねています。
3連系のリズムでなくても使うことはできます。
このようなファンク系にもよく合うと思います。
このように音やリズムを少しだけ変えるだけでも、かなりいろんなバリエーションを得られるので、ぜひいろいろ試してみてください。
さいごに
というわけで今回は、ブルースなどでよく使われるフレーズを紹介してみました。
今回もピアノのフレーズでしたが、2音使っているところを単音に変えればいろんな楽器で使えると思います。
ブルースのアドリブではよく使われる定番フレーズなので、セッションなどにどんどん使ってみてください。
ブルースに限らずポップスやロックなどにも使ってましょう。
今回の解説動画はこちら↓