スパニッシュ8ノートスケールとは
これは文字通りスパニッシュな音楽によく合い、そして音が8つあるスケールです。
普通のポップスやロックにはそれほど出てくるスケールではありませんが、スパニッシュな響きが欲しいときに効果を発揮します。
一見難しそうですが、「E」から並べてみるとわかりやすいと思います。
「#ソ」以外は全部白鍵になっています。
これは「Eフリジアン」に【Major3rd】である「#ソ」を加えたものと考えることができます。
構成音の分析
「Eフリジアン」はコードが「Em7」のときに使うスケールなので【3rd】は「♮ソ」になります。
しかし「Eスパニッシュ8ノートスケール」になると、これに「#ソ」が加わるのでそれを【3rd】と解釈します。
そうなると「♮ソ」は理論的に【#9th】と言うほうがよいでしょう。
そのほか特徴的な音としては【♭9】【♭13】などが含まれます。
コード的には「E」または「E7」ということになります。
「m7コード」にたいして「スパニッシュ8ノートスケール」を使っている場合も時々見かけますが、あまりおすすめしません。
メジャーコード上でのフレーズに【m3rd】の音が入る場合は、【#9】または「ブルーノート」と解釈することができます。
しかし、逆にマイナーコード上でのフレーズに【Major3rd】の音が入った場合は、「テンション」としても「ブルーノート」としても解釈できないので、ちょっとおかしな感じに聞こえてしまいます。
見つけ方
では「Gスパニッシュ8ノートスケール」を見つけてみましょう。
簡単な見つけ方としては、まず「Gフリジアン」を考えます。
「Gフリジアン」は「Ⅲ」の「Gm7」に使います。
「Ⅲ」が「Gm7」ということは「Ⅰ」は「E♭△7」、ようするに「Key=E♭」ということになります。
わかりやすくするため、これを調号ではなく臨時記号で書き、そして【Major3rd】である「♮シ」を加えます。
これを並べたものが「Gスパニッシュ8ノートスケール」というわけです。
具体的な使用例
「スパニッシュ8ノートスケール」を使ってスパニッシュっぽい感じを出したいなら、「7thコード」1つだけで作るのが一番簡単で効果的です。
例えばこのような感じです。
またはこのようなコード進行もスパニッシュな感じを出すにはいいと思います。
Chick Coreaの曲でも有名なコード進行です。
「F」は「リディアン」、「G」は「ミクソリディアン」を使用します。
簡単に言ってしまえば白鍵だけを弾き、「E」のときだけたまに「#ソ」を入れるといった感じです。
3小節めの「F」のところで最後に「#ソ」が出てきていますが、これは次の「♮ソ」へのクロマチックアプローチと言ってもいいですし、「E」のフレーズがほんの少し早く始まったと考えてもいいでしょう。
それほど深く考える必要はありません。
キーは「Am」という解釈になりますが、トニックの「Am」に解決しないところがスパニッシュっぽい感じを出しています。
もう1つの考え方
今回はフリジアンから見つける方法を解説しましたが、もう1つの考え方として「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウスケールに【#9th】を加える」というものもあります。
「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」はもともと「ドミナント7thコード」に使用するスケールなので、このような考え方でもわかりやすくていいと思います。
※ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウの解説はこちら↓
「フリジアン」からでも「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」からでも、自分の見つけやすい方法で考えてみてください。
さいごに
というわけで今回は「スパニッシュ8ノートスケール」を紹介しました。
スパニッシュな雰囲気を出したいときにぜひ使ってみてください。
今回の解説動画はこちら↓