ペンタトニックスケールを転回して、5つの音、それぞれをルートとするスケールを5つ作ってみましょう。
和風な曲を作るときの引き出しが増えるので、ぜひ最後までご覧下さい。
ペンタトニックについての詳しい解説記事はこちらになります。
はじめに
「ドレミファソラシド」というメジャースケールを並び替えると7つのモードができます。
これらはそれぞれ独立したスケールです。
Jazz理論などではこのように、それぞれのコードにモードを当てはめて分析などをしますが、モードは元々そのようなものではありません。
たとえばこれはDorianを使ったメロディーです。
このメロディーは「メジャースケールの2番めの音から始まるスケール」というような考え方で作られたものではありません。
あくまでもDorianを中心としたメロディーというわけです。
「Key=C」の【 Ⅱ 】という考え方ではなく、あくまでも【 Ⅰ 】は「D」ということになります。
旋法&音階
これはいわゆるメジャーペンタトニックスケールです。
スコティッシュスケールと呼ばれることもあります。
日本ではスケールのことを「旋法」または「音階」と呼びます。
メジャーペンタトニックは「呂旋法(りょせんぽう)」と呼ばれます。
呂旋法は見ての通り5つの音からできているわけですが、今回はモードのように呂旋法のそれぞれの音をルートする旋法を作ってみましょう。
このような旋法ができます。
そしてそれぞれに名前があります。
ただし「ミ」から始まるものは日本でよく使用される名前が特にないようなので、中国の旋法の名前にしてあります。
「民謡音階」はいわゆる「マイナーペンタトニック」です。
どれも雅楽や民謡などの日本の音楽や、中国の伝統音楽によく使われるものです。
いかにも東洋的な響きといった感じですね。
もちろん日本の音階にはこれ以外にも「陰旋法」や「琉球音階」などいろいろありますが、今回はペンタトニックを転回するという主旨なので、それらはまたの機会にしましょう。
Jazz理論で分析
雅楽などの日本の伝統音楽や中国の伝統音楽には当然コードなどという概念はありませんが、それぞれの旋法に無理矢理コードと度数をつけてみましょう。
それぞれ最初の音を【Root】とします。
「呂旋法」と「民謡音階」には【3rd】と【P5th】があるので、それぞれメジャートライアドとマイナートライアドができます。
「陽旋法」と「律旋法」には【3rd】がなく代わりに【P4th】があるので、「sus4」がもっとも合うでしょう。
「角調式」は一応「Am/E」と記しましたが、「Em(#5)」とも言えます。
この5つの旋法の中ではもっとも使われないと言っていいでしょう。
メロディーを作る
では次はこれらの【Root】を「C」に統一して並べてみましょう。
このほうが違いがよくわかりますね。
ではそれぞれの旋法でメロディーを作ってみましょう。
このようにワンコード、そしてメロディーは【Root】で終わるのが一番その旋法らしさが出ます。
たとえばこのように「陽旋法」っぽい感じで作っていても最後に「ド」に着地してしまうと、ただの「呂旋法」のメロディーに聞こえてしまいます。
3度のない旋法
ここで注目したいのはやはり「陽旋法」と「律旋法」です。
和風の曲を作るとなると「呂旋法」、「民謡音階」そして今回は紹介しませんでしたが「陰旋法」を使うことがほとんどだったのではないでしょうか。
やはり【3rd】があったほうがメロディーも作りやすいでしょう。
これらの【3rd】が入った旋法でしかメロディーを作ってこなかったという方は、あえて【3rd】がなく、代わりに【4th】が入っている「陽旋法」と「律旋法」でメロディーを作ってみてください。
これまでとはまた違う新しいメロディーができるはずです。
呂律
さて今回紹介した5つの旋法ですが、その中でも「呂旋法」と「律旋法」が主に雅楽などでよく使われ、2つが対で語られることが多いと思います。
「呂旋法」と「律旋法」はこうやって比べるとわかるように、違いは【3rd】なのか【4th】なのかというところだけです。
しかし弾いてみるとわかりますが、サウンドはまったく違います。
「呂」と「律」・・・これを間違えてしまうと、とてもおかしなことになってしまいます。
旋法がおかしくなった状態のことを「呂律(りょりつ)が回らない」といい、それが「呂律(ろれつ)が回らない」というふうに変わっていきました。
そしていまでは酔っ払うなどして言葉がうまく話せないことを「呂律が回らない」と言うようになったということです。
他にも「打ち合わせ」や「二の舞」など、雅楽に由来する言葉は広く使われています。
さいごに
今回は日本で古くから使われる旋法について簡単に解説しました。
なんとなくでも知っていると、いつか和風の曲を依頼されたときなどに役に立つかもしれません。
ぜひ一度弾いてみてください。
今回の解説動画はこちら↓
ちなみにペンタトニックスケールをもう少し発展させた使い方を解説した記事がこちらにあります。
興味ある方はぜひご覧になってください。
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