「ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ」ブルースフレーズの【Part12】です。
今回はRay Bryantのフレーズを紹介しましょう。
はじめに
今回はこのようなフレーズです。
これは『Me and the Blues』というソロピアノの曲でのアドリブの一部です。
この曲は「Key=G」のブルースです。
この譜面の1小節めのフレーズを解説したいと思います。
このフレーズはドミナントである「D7」で弾かれているのですが、実はトニックでもサブドミナントでも使えるフレーズです。
譜面では非常に難しそうですが、今回はこの中のパーツだけを覚えましょう。
フレーズの分析
ではフレーズを細かく見ていきましょう。
これだけ見るととてもややこしそうですが、最後の「A♭7」を除けば非常にシンプルにできているフレーズです。
このシンプルなパーツがそのままオクターブずつ下がっていってるだけです。
今回はこのパーツだけを解説します。
これは主にブルースで使われるブルーノートスケールと呼ばれるものです。
Gメジャースケールに【♭3】【♭5】【♭7】のブルーノートを加えたものになっています。
しかしブルースということで、トニックは「G△7」ではなく「G7」ということになります。
よって【△7】の音を使うことはまずありません。
今回覚えたいパーツを度数で見るとこのようになっています。
まず「G7」の【5th】と【♭3rd】を同時に弾き、【9th】【Root】と単音で下行します。
次にまた和音で【9th】と【♭7th】を弾いたあと、単音で【6th】【5th】と下行するだけです。
度数などから見ても、このパーツは明らかにトニックの「G7」で使うべきフレーズというのがわかります。
これをRay Bryant は「D7」で使っていたというわけです。
ブルースはこのように、トニックで使うべきフレーズをサブドミナントにもドミナントにも使うことがよくあります。
たとえば「G」のブルースならトニックの「G7」に Gマイナーペンタトニックがよく使われます。
しかしサブドミナントの「C7」でも、ドミナントの「D7」でも、かまわずGマイナーペントニックだけを弾いていればそれなりに聞こえるでしょう。
たとえば今回のパーツを全てのコードに使ってみましょう。
それほど違和感がないのではないでしょうか。
本来ならそれぞれのコードに合わせたスケールを使うべきなのですが、ブルースは許容範囲が広く、トニックで使うべきフレーズだけでずっと押し通すことができます。
他のキーで見てみよう
では他のキーでも見てみましょう。
これは「C7」で使うパーツです。
まず「C7」の【5th】と【♭3rd】である「ソ」と「♭ミ」を同時に弾き、【9th】【Root】である「レ-ド」と単音で下行します。
次にまた和音で【9th】と【♭7th】の「レ」と「♭シ」を弾いたあと、単音で【6th】【5th】である「ラ-ソ」と下行するだけです。
覚えるための練習法
ひとつずつ順番に覚えるのもいいのですが、まとめて12個を覚える練習法を紹介しましょう。
これを時計回りに全部7thコードのまま進んでいきます。
これで12個全ての7thコードで今回のフレーズがマスターできるはずです。
キーが2小節ごとに変わることになりますが、あえて調号ではなく臨時記号で書いてあります。
左手はRay Bryantが弾いていたように白玉にしましたが、オクターブではなく【Root】と【7th】を弾いています。
※ 「カラオケ音源」と「MIDIデータ」を貼っておきますのでご自由にダウンロードしてお使いください。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
バリエーション
今回のフレーズを少し変えるだけでいろんなバリエーションが得られます。
今回のフレーズは3連符でしたが、このように8分音符にしても使えます。
今回の主旨とは違うのですが、実はこのように「Dorian」を使うべきところでも使用できます。
ここでは「Key=F」の【 Ⅱ 】である「Gm7」に使ってみました。
2つだけ紹介しましたが、このように音やリズムを少し変えるだけで多くのバリエーションを作ることができます。
さいごに
というわけで今回はRay Bryantのブルースフレーズを紹介してみました。
ブルースにおけるトニックのフレーズでしたが、サブドミナントにもドミナントにもそのまま使えるので、覚えておくと役に立つと思います。
速いテンポでもわりと弾きやすいので、飛び道具的にも使えるのではないでしょうか。
ぜひ試してみてください。
今回の解説動画はこちら↓
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