
スケールアウトとは、本来演奏するべきスケールとは違うスケールを使用することです。
ようするに理論的に間違ったことをするわけですから、そこに決まりはありません。
だからといって "自由にやればよい" と言われても、初心者の方は困るでしょう。
ただやみくもにアウトするのではなく、自分の中でコンセプトを決めてアウトするほうが応用もききますし、インサイドに戻るのも簡単です。
そこで、この「スケールアウトコンセプト」シリーズでは、スケールアウトするときによく使われるコンセプトを一つずつ紹介したいと思います。
今回は、そのシリーズに入る前に理解しておきたいことをまとめたイントロダクションです。
効果的なアウトのために 1
まずはこれを見てください。

「Am」ワンコードでのアドリブですが、かなりアウトしているのがわかると思います。
ではこれはどうでしょう。

これも同じように「Am」ワンコードの上でアウトしていますが、さっきのものよりこっちのほうが外れているように聞こえるのではないでしょうか。

本来使うべき「エオリアン」にたいして、1つめはクロマチックスケール、2つめはE♭ペンタトニックを使っていました。
エオリアンに含まれない音がクロマチックスケールには5つ含まれますが、E♭ペンタトニックには2つしかありません。
そして先ほどの2つのフレーズには、それらの音が全て使われています。
それなのになぜスケール外の音が少ない「E♭ペンタトニック」のほうがよりアウトしたように聞こえるのでしょうか。
まず理由の1つは、クロマチックスケールにはエオリアンに含まれない音が多く含まれますが、本来使うべきエオリアンの音も全て含まれているということです。
「E♭ペンタトニック」は外れる音こそ少ないですが、エオリアンの構成音も3つしか含まれていません。
もう1つの理由は、クロマチックスケールは無調ですが、「E♭ペンタトニック」は調性がとてもはっきりしたスケールだということです。
感じ方は人によってそれぞれだとは思いますが、無調よりも本来使われるべきコードとは違うコードや違う調性がはっきり聞こえるほうが、よりアウトしているように感じる人が多いのではないでしょうか。

たとえばこれなどはすごく調子っぱずれに聞こえますが、実はスケール外の音は1つも使っていません。
「Cリディアン」を弾くべきところで「D」を強く感じさせるフレーズを弾いてるので、ちょっとアウトしたようにも聞こえます。
効果的なアウトのために 2
アウトフレーズを使うなら、インサイドからアウトサイドになった瞬間をはっきり認識できるほうが効果的だと言えるでしょう。
そのためには、元のコード進行がシンプルなところでアウトするべきです。

たとえばこのように「本来弾くべきスケールの半音上のスケールを弾く」というコンセプトがあります。
(くわしくはまた本編で解説します。)
この場合は「C7」のブルースっぽいフレーズの中に「D♭」を思わせるフレーズを弾いています。
元が「C7」ワンコードというとてもシンプルなものなので、アウトしたとたん誰もがわかると思います。
ではこれではどうでしょう。

これは『Giant Steps』のコード進行です。
先ほどと同じように「E♭」の小節で半音上の「E」のようなフレーズを弾いています。
しかし先ほどの「C7」ワンコードとは違い、とても複雑なコード進行なので、どこでアウトしたのかよくわかりません。
このようなコード進行でアウトするのは、あまり効果的とは言えません。
このように、アウトするときのコードはできるだけシンプルなほうが、アウトが際だって面白いサウンドになります。
例えば・・・

1.ワンコード
2.2つのコードの繰り返し
3.ブルース
4.Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ
など、調性のはっきりした進行がよいでしょう。
アウトするときのバッキング
スケールアウトとは、本来のコードとは合わないフレーズを弾くことです。
ようするにフレーズとコードは合っていなくていいということです。

これは「Am9」ワンコードの中で「E♭ペンタトニック」を弾いていますが、左手のコードは「Am9」のままです。
スケールアウトするときでもコードを合わせる必要はありません。
合わせてしまうと、ただそういうコード進行に沿ったフレーズを弾いただけになってしまいます。
先ほどの例はピアノなので、左手のコードは自分で変えることもできますが、他の楽器がコードを弾いている場合、ソリストがどこでアウトするのかはわかるはずもないので当然ぶつかります。
しかしそれで大丈夫です。
アウトするときには他のコード楽器のことを考える必要はありません。
インからアウト、アウトからインへ
アウトとインの対比がよりアウトフレーズを際立たせます。

「Dドリアン」でのアドリブですが、2小節め4拍ウラから「E♭ドリアン」にアウトしています。
そしてその後「E♭ドリアン」のままアドリブが終わっています。

これも同じように「Dドリアン」でのアドリブで「E♭ドリアン」にアウトしていますが、すぐインに戻っています。
そのあとまたアウトしたりと、ランダムにインとアウトを行き来しています。
インがあってこそのアウトです。
先ほどの例のようにアウトしっぱなしよりも、インとアウトの対比があるほうが変化がついて面白いフレーズになります。
さいごに
というわけで今回は「スケールアウトコンセプト」シリーズに入る前のイントロダクションでした。
ここまでを前提として本編を見ていただくと、より理解しやすいと思います。
スケールアウトが自在にできるようになると、アドリブの幅がかなり広くなります。
ぜひマスターしておきましょう。
※本編はただいま鋭意制作中。来週には公開できると思います。
今回の解説動画はこちら↓
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