
はじめに
Thelonious Monkは言わずと知れたJazz界のレジェンドです。
彼のスタイルは独特で、このような強烈なクラスターなどが有名です。

※クラスターボイシングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
その中でも特にモンクのクラスターについてはこちらの記事でも紹介しています。
もう1つモンクが多用するものにホールトーンスケールがあります。
派手でインパクトのある使い方がとても特徴的です。
そんなモンクのホールトーンフレーズを実際のレコーディングからいくつか紹介したいと思います。
ホールトーンスケール
その前にホールトーンスケールについて簡単に解説しておきましょう。

このように全ての音がホールトーン、ようするに全音間隔で並んでいるものをホールトーンスケールといいます。
これは「C」の音から並んでいるので「C ホールトーンスケール」です。

「C」を【Root】とするとこのような構成音が含まれます。
【△3rd】と【m7th】というトライトーンが含まれることから、ドミナント系であることがわかります。

基本的にはコードが「Caug」または「Caug7」などのときに使われます。

ホールトーンスケールは、2種類覚えれば12個全ての「augコード」で使えるというのが便利でいいですね。
※ホールトーンスケールに関してはこちらの記事で詳しく紹介しています。

ホールトーンスケールをアドリブに使うというと、このようなちょっと複雑なフレーズを思い浮かべるかもしれません。
しかしモンクの使い方はいたってシンプルなので、真似をしやすいと思います。
ではさっそく実際にモンクが弾いたフレーズを見ていきましょう。
Monk's Dream

「G7」で【7th】の音からホールトーンスケールをただ駆け下りています。
曲全体を見ると、ここは特に【#5】と決まってるわけではなく、単に「G7」というだけです。
このようにモンクはドミナントの時に突然ホールトーンスケールを使います。
ようするにドミナントの時のアドリブでは元のコードが【#5】かそうでないかにかかわらず、いつでも勝手にホールトーンスケールを使っていいとういうことです。
もちろんそのときはコードから【♮5th】をomitしましょう。
Trinkle Tinkle

「A7」で【#5】の音から始まり、1つ飛ばして【3rd】からスケールを駆け下ります。
前後のフレーズと全くつながりがなく、唐突にホールトーンスケールが出てくるところがモンクらしい感じです。
Round About Midnight

「A♭7」で【3rd】 から駆け上がっています。
これは前のコードである「G♭」からきれいにつながっています。
テンポが遅いのでとても短い音価での記譜になってしまいました。
たぶん本人は12連符などと考えているわけではなく、最初の音と最後の音だけが決まっていて、その間を適当なリズムで駆け上がっただけなのでしょう。
We See

「F7」での駆け下りフレーズですが、前の小節から少し引っかけて始まっています。
低い音域まで駆け下りるので、見やすくするため2段譜にしました。
これはまたかなり速いフレーズです。
モンクは技術が評価されるタイプのピアニストではありませんが、こうして見るとなかなかのテクニックですね。
Off Minor

「D7」で使われていますが今までと違って、【#5】の音から下行し、少し上行してからいきなり3オクターブ以上も駆け下りています。
今回の主旨とは関係ないですが、左手は【Root】しか弾いていません。
しかも他の楽器のないソロピアノということで、右手の自由度はかなり高いと言えます。
ここではホールトーンスケールを使っていますが、ドミナント系のスケールなら何でも使えます。

例えばこのように、ホールトーンスケールで駆け下りながら途中でコンディミに変わる、などということもこの左手なら可能ですね。
Ask Me Now

「B♭7」で【Root】からかなりの速さで駆け下りています。
これまた今回の主旨とは関係ないのですが、1〜2小節めはなかなか面白いコード進行になっています。
4小節めアタマの右手は【3rd】と【#11th】をぶつけるモンクの得意技ですね。
さいごに
モンクによるホールトーンスケールの使い方を紹介しました。
ただ上行や下行をしているだけなのですが、その絶妙なタイミングや独特なリズム感などもあり、とてもモンクらしいフレーズばかりだったと思います。
ドミナントコードでのアドリブというと、ミクソリディアン、オルタード、コンディミなどのスケールを使うことが多いと思いますが、そこにぜひホールトーンスケールも加えてみてください。
今回の解説動画はこちら↓
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