
今回は同音連打について解説しましょう。
テンポによってはテクニック的にかなり難易度が高いのですが、アドリブに使うとなかなか面白いサウンドが得られます。
アドリブTipsシリーズの中には「ワンフレーズで押す」というものも作りましたが、それよりさらにシンプルなテクニックです。
実際にJazzミュージシャンの同音連打を使ったアドリブもいくつか紹介しますので、ぜひ最後までご覧下さい。
はじめに
同音連打とは文字通り、同じ音を鍵盤などで素早く弾くことです。
例えばこのようなフレーズです。

「素早く」というのはあやふやな表現ではありますが、はっきり定義されているわけではありません。
この例では大げさに2小節丸々同音連打にしていますが、長さも特に決まっているわけではありません。
例えば16分音符4つだけでも同音連打と言えます。

速さは定義されてないとは言え、これぐらい遅いとさすがに同音連打とは言わないでしょう。
鍵盤でのテクニック
速くなると、ギターと違ってアップダウンができない鍵盤楽器ではかなり難しくなります。
そこで鍵盤では指を変えて弾きます。


【1】のように4本の指を使ったり、【2】のように3本の指で弾いたり、【3】のように左手と右手で交互に弾いたりと、いろんなバリエーションがあります。

これはリストの曲の一部ですが、同音連打しながら音が動く場合はフレーズによっていろんな指を組み合わせて弾きます。
クラシックの曲ではこのように指番号が指定してあったりもしますが、Jazzなどで使う場合には自分が弾きやすい方法でいいでしょう。

ただしこのようにオクターブで連打する場合は指を変えられないので、諦めてひたすらがんばりましょう。
コードをまたぐ共通音
コードをまたいで同音連打を使うとき、基本的には全てのコードに共通して使える音を探す必要があります。
同音連打というほど速いフレーズではなくても、共通音を見つけてその1音だけを弾き続けるというフレーズはよくあるので、いつでもすぐ使えるようになるといろんな場面で役に立つことでしょう。
後ほど紹介する、実際にJazzミュージシャンが弾いたフレーズの中にはコードに関係なく同音連打している例もありますが、まずは基本を知っておきましょう。
最も基本的なことは、コードにたいしてのアボイドノートを避けるということです。

たとえばこのコード進行で見てみましょう。
1段めの「ミ」なら4つのコード全てに共通して使えます。

「Dm7」では【9th】、「G7」では【13th】になるところがおしゃれですね。
2段めの「レ」は「A7」でアボイドになってしまいます。

もちろん「Asus4」にしてしまえばアボイドではありませんが、それを言い出すとキリがないのでやめておきましょう。
3段めの「ソ」も4つのコードに共通して使えます。

「Dm7」のとき【11th】になるところがかっこいいところです。
4段めの「ラ」は「Em7」で【11th】、「G7」で【9th】になります。

テンションが多めでこれもなかなかいいサウンドだと思います。

このようにもう少し長い進行でも、転調していなければ簡単に共通音が見つかります。
これはほんの一例で、他にも「ド」や「ラ」など使える音がいくつかあります。
転調していてももちろん共通音はあるはずですが、ちょっと見つけにくいかもしれません。
たとえば『Giant Steps』のように転調を繰り返す曲ではどうでしょう。
これに限ってはコードがよくわかるように、ピアノを両手で弾いてメロはギターにしました。

さすがに1曲通しての共通音はありませんが、転調しても使える共通音はいくつかあります。
これもほんの一例です。
かなり大げさに同音連打だけを使ってみました。
ここまで極端に同音連打だけにする必要はないので、アドリブが盛り上がってきたとき最後の5小節にだけ使うなどすれば面白いのではないでしょうか。
リズムのバリエーション
これまではずっと同じ音符で連打してきましたが、リズムにバリエーションをつけることもできます。

このように同じ音ではありますが、リズムをいろいろ変えるとまた変化をつけることができます。

このように、リズムを変えながらオクターブの跳躍を入れるのもわりとよく聴かれるテクニックです。
ローズの音でやるといかにもチックがやりそうな感じですね。
実際の使用例
では、Jazzのアドリブの中から同音連打を使っているフレーズをいくつか紹介したいと思います。
1拍や2拍の同音連打ならいくらでもありそうなので、少なくとも1小節以上のものに限定しましょう。
Blues Etude / Oscar Peterson

タイトルにブルースとついているわりにテーマはちょっと変わった感じなのですが、アドリブ部分は12小節のブルースです。
4小節めから「♭ラ」を連打しています。
指1本でもギリギリいけそうなテンポではありますが、3小節はきついかもしれませんね。

この「♭ラ」の音は、各コードにたいしてこのような音になります。
しかしブルースのように調性のはっきりした進行のときは、それほど難しく考える必要はありません。
Fのブルースですから、トニックの「F7」にたいする「♭3rd」のブルーノートをコードに関係なく、ただ弾き続けただけ・・・という解釈でじゅうぶんでしょう。
ブルースの場合、「コードが変わってもトニックの【♭3rd】を弾き続ける」と覚えておけばすぐ使えそうですね。
Brazilian Suite / Michel Petrucciani

ペトルチアーニは同音連打のフレーズをよく使います。
ここで取り上げたのは「A♭m7-E♭m7」の繰り返し部分ですが、「♭ミ」をずっと連打しています。
これも同音連打のスピードはそれほどでもありませんが、6小節も続くと指を変えながらでないと難しいかもしれません。
The Sorcerer / Herbie Hancock

「♭ラ」を連打しながらところどころに「♭レ」をはさんでいます。
これもまたコードにたいしてのアボイドがたくさんありますが、こういうフレーズを理論的に分析するのは野暮ということでしょう。
500 Miles High ① / Chick Corea

3小節めの3拍めから少しリズムを変えながら「レ」を連打しています。
そして5小節めからフレーズが動きますが、同音連打からの自然な流れがいいですね。
500 Miles High ② / Chick Corea

先ほどと同じ曲です。
とても速い同音連打をしながらところどころに違う音を入れていきます。
左手のコードを弾いていないのとタッチの強さなどから考えて、これはチックお得意の左手と右手を交互に弾きながらのフレーズでしょう。
ここまでの速さで弾くにはかなりのテクニックが必要です。
さいごに
今回は鍵盤楽器においての同音連打について紹介しました。
弦楽器や管楽器には「連打」などという言葉はあまり使いませんが、単に1音を弾き続けるということならどんな楽器にでも使えます。
コード進行を見たとたん瞬時に共通音を見つけ出せると、アドリブにはとても役に立ちます。
鍵盤楽器を演奏される方は、素早く同音連打するテクニックも磨きましょう。
そのためにはやはりクラシック系、例えばハノンなどをやるのが近道のような気がします。
今回の解説動画はこちら↓
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