今回は「sus4」というコードを紹介しましょう。
- 「sus4」の構成音と特徴
- コード進行に「sus4」コードを加えてみる
- マイナーコードにもsus4はある?
- 「sus4」を使うときのスケール
- キーがCのときの「G」に使用する場合
- 「C△7sus4」も使える?
- こんな使い方も・・・
- まとめ
「sus4」の構成音と特徴
「sus4」とは「Suspended 4th」の略で「吊された4度」とか「ぶらさがった4度」というような意味があります。
メジャーコードかマイナーコードを決定づける重要な音である【3度】の代わりに【4度】を入れるので、調性があいまいになり浮遊感が出ます。
構成音はこのようになります。
【4度】と言っても「キーがC」の【4度】ということではなく、それぞれのコードにたいしての【4度】ということです。
コードが「C」なら【4度】の音は「ファ」
コードが「G」なら【4度】の音は「ド」
といったぐあいです。
ではこれを見てください。
このようにメジャーコードとセットで使われることが多いです。
「キーがC」だと「C」「F」「G」ですね。
【4度】から【3度】への解決感が心地いいですね。
「Gsus4-G」は転回しています。
「F」の場合だけ【4th】が「♭シ」となってしまい、「キーがC」ではなくなっています。
というわけで「Ⅰ」と「Ⅴ」、すなわち「C」と「G」に使うのが一般的です。
もちろんそういった転調感が欲しい場合は「Fsus4」を使うことに問題はありません。
コード進行に「sus4」コードを加えてみる
実際に元々あるものに「sus4」コードを加えるサンプルを作ってみました。
まずはこれを聴いてみてください。
これに「sus4」を加えてコード進行を少し変えてみます。
変わったのがわかりにくいかもしれないので、聴きやすくするためにメロディーを抜いて聴いてみましょう。
そして次が「sus4」を加えたものです。
少しコードに動きが出ました。
このように元々ある曲に「sus4」を加えてコード進行にバリエーションをつけてみるのも面白いと思います。
しかしながらいつでも「sus4」を加えていいわけではありません。
そのときのメロディーによるのです。
先ほどのサンプルは「C」でも「Csus4」でも大丈夫なメロディーだったので変更が可能だったというわけです。
「sus4」のときに使える音はのちほど説明したいと思います。
マイナーコードにもsus4はある?
ここまでメジャーコードを見てきましたが、マイナーコードのときは使えるのでしょうか。
メジャーコードの場合は【4度】と【3度】が同時にコードの中に入ることはありません。
無理矢理同時に使ってみるとこんな感じです。
かなりの不協和音になってしまいます。
ではマイナーコードの場合はどうでしょうか。
実はマイナーコードも【3度】の代わりに【4度】の音を使うことはあります。
そしてメジャーコードのときのように【4度】からマイナーコードの【3度】に解決することもあります。
【3度】の代わりに【4度】を使った場合は構成音が【Root-4th-5th】になるので、元がメジャーコードでもマイナーコードでも同じです。
しかし、マイナーコードの場合はメジャーコードのときと違って【3度】と【4度】を同時に使うことも可能です。
その場合は「sus4」ではなく【11th】と解釈することが多いです。
なのでメジャーコードにおける【4th】の扱いとは異なります。
このような感じです。
テンション感はありますが、メジャーコードのときのような不協和音な感じはしないと思います。
ではメジャーコードのときのように【4度】から【3度】へ解決する動きをマイナーコードでもやってみましょう。
メジャーコードの場合は【4度】から【3度】は「半音」ですが、マイナーの場合は「全音」になるので解決感は弱まります。
「sus4」を使うときのスケール
さてでは「sus4」を使ったときはどのようなスケールを使ったらよいのでしょうか。
その前に一つ理解しておきたいことがあります。
それは「Avoid Note(アボイドノート)」というものです。
「Avoid Note」とは?
これは日本語でいうと「回避音」などと言われます。
そのコードにたいして使うスケールの中に存在する音であり、そのコードの響きを阻害する音なのです。
しかし使ってはいけないということではありません。
長い音価ではかなりきびしいですが、経過音としてなどの短い音価ではじゅうぶん使えます。
どこまでが長い音価かと言われるとはっきりした定義はなく、自分が違和感を感じるかどうかで判断すればよいでしょう。
「Avoid Note」の例
それをふまえた上でまず「C」というコードにたいして使われるスケールと「Avoid Note」です。
スケールは見ての通りCメジャースケールです。
【4度】の音が「Avoid Note」になります。
では「Csus4」にたいして使われるスケールと「Avoid Note」です。
おわかりのようにスケールは同じCメジャースケールで「Avoid Note」が違うだけなのです。
基本的にはコードが「C」のときは【4th】が「Avoid Note」になり、「Csus4」のときは【3rd】が「Avoid Note」になるということです。
しかしやはり例外というものがあります。
「C」のときには【4th】が「Avoid」というのは間違いないのですが、「Csus4」のときは【3rd】を使えるといった考え方もあります。
一般的にもっともぶつかるとされている音程に「短9度」というものがあります。
「C」の【3rd】である「ミ」と【4th】である「ファ」は「短9度」ですが、
「Csus4」の「ファ」と「Avoid Note」とされた「ミ」は「長7度」なのです。
ではコードが「C」のときにメロディーに【4th】の「ファ」の音を使ってみましょう。
かなり不協和音という感じがしますね。
では逆にコードが「Csus4」のときにメロディーに【3rd】の「ミ」の音を使ってみます。
どうでしょう。
人にもよりますが、先ほどのものよりはぶつかってないように聞こえるのではないでしょうか。
というわけでジャズなどでは「Csus4」のときにメロディーに「ミ」を使うこともあります。
最終的には自分の耳で判断するしかないですが、ポップスなどではちょっときついかもしれませんね・・・
キーがCのときの「G」に使用する場合
「sus4」は「キーがC」の場合は、コードが「C」か「G」に使うのが一般的だと説明しました。
では「G」の場合を見ていきましょう。
使い方としてはほぼ2種類しかないと思ってよいでしょう。
「Gsus4」を使ったコード進行
「G」は「C」に解決するドミナントコードです。
なのでこのような使い方が多いです。
一旦「Gsus4」から「G」に進行して「C」に解決するというものです。
これはよく聴くのではないでしょうか。
そしてもう一つはこのようなものです。
「Gsus4」が「G」に解決しないまま「C」に進行してしまうものです。
「G」から「C」に解決するより「Gsus4」から「C」に解決するほうが解決感が弱いので、力強くというよりは優しく解決するといった感じでしょうか。
分数コード(Ⅱm7/Ⅴ)を使う
そしてこの「Gsus4」から「C」への進行を少しおしゃれにするためにこんなのがよく使われます。
これもフワっとした解決感でおしゃれに聞こえますね。
この「Dm7/G」の構成音は【ルート】の「G」にたいしての【5th-7th-9th-4th】ということになります。
ようするに「sus4」というコードに【7th】と【9th】が入ったものと言えます。
「G7sus4(9)」と書いても同じなのですが、プレイヤーには「Dm7/G」のほうがわかりやすいので喜ばれることが多いでしょう。
この分数コードを簡単に見つける方法としては、元のコードの【5th】の音から始まる「マイナー7th」と覚えておけばよいでしょう。
元が「D7」なら構成音は「レ-#ファ-ラ-ド」ですから、【5th】の「ラ」からの「マイナー7th」である「Am7」を単音の「D」の上に乗せるということです。
「C△7sus4」も使える?
ところでいま「G7sus4」というコードを紹介しましたが、これは「3声」の「G」ではなく、「4声」の「G7」が「sus4」になったものです。
それならば「C」ではなく「C△7」を「sus4」にして「C△7sus4」というコードは作れないのでしょうか。
結論から言えば使わないほうが無難です。
とてもいい響きとは言えません。
なぜならば「C△7sus4」にすると「ファ」と「シ」によってトライトーンが形成されてしまい、トニックの性質を大きく阻害するからです。
トライトーンについてはこちらでも解説しています↓
このトライトーンはドミナントコードを決定づける音なので、トニックである「C」のコードには使わない方がいいでしょう。
こんな使い方も・・・
最後に少し変わった使い方を一つ紹介しましょう。
「Am7/D」と「Cm7/F」が繰り返されています。
機能的には「Dsus4-Fsus4」という進行になります。
どこにも解決しないまま「sus4コード」が続くというちょっと変わった進行ですね。
これは有名なJazzの曲の一部に使われている進行です。
このコード進行でちょっとサンプルを作ってみました。
歌メロではなくアドリブソロといった感じになっています。
スケールとしてはこのようなものを使っています。
どちらも【3度】の音が「Avoid Note」です。
そして【4th】の音がこのコードらしさを出す音なので、フレーズにも積極的に使っていくといいと思います。
1小節目などはいきなり【4th】から入ってみました。
3小節目なども【4th】でフレーズを終わることで「sus4」らしさが出ています。
4小節目や12小節目などは「Avoid Note」である【3rd】の音も使っていますが、短い音価なのでコード感は阻害していません。
6小節目から7小節目にかけては、どちらのスケールにも共通している「レ」と「ド」を繰り返しながら小節をまたいでいるので、自然にスケールが移行しているのがわかると思います。
こんな感じで歌ものよりJazzっぽいインストに合う進行ですが、参考までにこんな使い方もあると知っておくといいと思います。
まとめ
というわけで今回はちょっと変わったコード、「sus4」を紹介してみました。
今まで作った自分のオリジナル曲などを「sus4」を使ってリハーモナイズしてみるのも面白いと思います。
今回の解説動画はこちら↓