今回は「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」というものを紹介したいと思います。
このスケールは「ドミナント7thコード」に使用するスケールです。
いくつかオルタードテンションを含みますが、「オルタードスケール」とは少し違う組み合わせになります。
今回は「キーがC」でのドミナントである「G7」で説明していきます。
スケールの仕組み
ではまず成り立ちから見てみましょう。
これを見て下さい。
「Gdim7」の構成音、そしてその半音上の「A♭dim7」の構成音を並べてみます。
そしてそれを下から順番に並べます。
これが「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」です。
ディミニッシュコードの組み合わせでできているので、「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」という名前なのです。
気づいた方もいると思いますが、普通のメジャースケールなどと比べると音が一つ多いですね。
「音が8つある」スケールなのです。
そしてそれらの音の間隔は、「半音-全音-半音-全音・・・」と交互にきれいに並んでいます。
ということは、当然「♭シ」から見ても「半音-全音-半音-全音」と並びますし
「#ド」から見ても「ミ」から見ても、同じように「半音-全音-半音-全音」となります。
ようするに・・・
「Gコンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」
「B♭コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」
「C#コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」
「Eコンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」は構成音が全て同じなのです。
どこから並べるかというだけのことですね。
作曲やアドリブでは別に【Root】から順番に弾くわけではありませんから、1つの「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」が弾ければ、4つの「7thコード」で使うことがきます。
12個全ての「7thコード」で使えるようになるには、3種類の「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」を覚えればいいということになります。
この三種類しかありません。
それぞれ横に並んでる「7thコード」には同じ「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」を使えるのです。
これは「オルタードスケール」などと比べるとかなり楽だと思います。
含まれるテンション
さてそれでは「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」は【Root】にたいしてどのような音が含まれているのでしょうか。
【Root】【3度】【5度】【7度】のコードトーン以外に、
テンションとして「♭9」「#9」「#11」「13」が含まれています。
「オルタードスケール」との違いを見てみましょう。
オルタードスケールには【5th】の「レ」の音がありませんが、そもそも【5th】というのは【Root】を弾いたときに倍音で鳴っているので、【5th】が含まれているコードを弾いているときでも「オルタードスケール」は使えます。
このように「♭9」や「#9」だけが入ったコードの場合は「オルタードスケール」も「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」も使えます。
「#11」もどちらのスケールにも入っているので、どちらも使えます。
ここで大事なのは「♭13」なのか「♮13」なのかということです。
このように「♭9」または「#9」のいずれかと、「♭13」が両方入っているコードだと「オルタードスケール」を使うことになります。
そしてこのように「♭9」または「#9」のいずれかと、「ナチュラル13」を組み合わせたコードでは「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」を使います。
この二つのコードが最も「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」らしさを表すコードです。
フレーズを作ってみよう
では実際にフレーズを作ってみましょう。
(オルタードスケールによるフレーズはオルタードテンションの回で説明していますのでこちらをご覧下さい)
1.コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケールらしいフレーズ
まずはこれを見てください。
この「G7」のところが「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」です。
コードは「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」特有の「G7(♭9、 ♮13)」です。
メロディーも【13th】の「ミ」の音から入っています。
「オルタードスケール」を使うならこうなります。
メロディーは先ほどの【13th】を【♭13th】に変えました。
それにともないコードも「G7(♭9、♭13)」にしました。
【♭9th】は「オルタードスケール」にも「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」にも入っているのでどちらでも問題ないのですが、【13th】か【♭13th】かでスケールが変わるということですね。
どちらにしろちょっとジャズっぽいフレーズに聞こえます。
2.聴きやすいフレーズ
ではこれはどうでしょう。
4小節目に「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」を使っていますが、ごく普通のメロディーに聞こえますね。
それもそのはずで、元々の「Cメジャースケール」に含まれている音、ようするに白鍵の音しか使ってないからです。
あえて「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」らしさが出る音は使わずに、その中に含まれる白鍵の音だけを選んでみたということです。
しかし、コードには【♭9th】と【13th】が同時に使われています。
ということは、全体的に見ればこの小節は「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」が使われているということになります。
このように普通のポップスなどにもじゅうぶん使うことができるスケールなのです。
3.メカニカルなフレーズ
しかしあえて「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」らしさを思いっきり出したい場合はこんなのもありです。
「G7」の2小節め、3小節めを「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」の音だけ使ってメカニカルに弾いてみました。
アドリブなどにはいいと思います。
「Cm9」に解決すると・・・
さて、これまでは「G7」が全て「C△7」に解決していました。
「G7」というコードは「C△7」以外に「Cm7」に対しても「ドミナントコード」なのでどちらにも進行できます。
ではここで「Cm9」に解決するとどうなるか見てみましょう。
「キーはCm」にしてみます。
ちょっと違和感を感じる人が多いと思います。
なぜなら「G7」の【13th】の音である「ミ」の音が、解決したい「Cm」の【3rd】である「♭ミ」ともっともぶつかる音だからなのです。
これを見てください。
これは「オルタードスケール」を使った例です。
「オルタードスケール」には【♭13th】の「♭ミ」の音が含まれているので、「Cm」に違和感なく解決しているのがわかると思います。
しかし逆に「オルタードスケール」から「C△7」に解決するのは特に違和感はありませんでした。
まとめるとこういうことです。
・G7(♭9、♭13) → C 違和感なし
・G7(♭9、♮13)→C 違和感なし
・G7(♭9、♭13)→Cm 違和感なし
・G7(♭9、♮13)→Cm 違和感あり
簡単にいうと、マイナーコードに解決するドミナント7thコードには【♮13th】は入れない方が無難ということですね。
しかしながら音楽とは面白いもので、そこを逆手にとってあえてハズれているようなフレーズを作ることもあります。
Jazzのアドリブなどにはよく出てきます。
例えばこんな感じですかね・・・
ときどき出てくる「♮ミ」がなんともいえないギリギリの違和感でおもしろいですね。
「G7」のテンションですが、左手で弾いているコードには【♭9th】しか入れてないためコードネームにも「♭9」としか書いてありません。
左手に【♭9th】しか入ってない場合、右手のフレーズは【13th】にしても【♭13th】にしてもいいので自由度が高くなります。
右手で【13th】を弾いた場合は「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」、【♭13th】を弾いた場合は「オルタードスケール」と解釈されます。
【コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール】
【オルタードスケール】
このサンプルのようなマイナーのコード進行の場合は、【♭13th】が入っている「オルタードスケール」を使うのが一般的です。
そこを今回はあえて外れてるように聞こえてしまう「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」を使ってみたということです。
このへんはもう完全に好き好きですから嫌だと思う人もたくさんいるとは思いますが、面白いと思う人は試してみるといいと思います。
まとめ
というわけで今回は「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」を紹介しました。
「オルタードスケール」とともに「ドミナント7thコード」を彩るのにとても有効なスケールなので、ぜひとも使ってみてください!
今回の解説動画はこちら↓