テンションをコードネームで表記する場合の法則について紹介します。
コードネームから正しい構成音を導き出す方法を学んでいきましょう。
実際にピアノで弾く場合のボイシングも紹介していこうと思います。
今回もコードの仕組みがわかりやすいように、ルートをすべて「C」に統一してあります。
《補足》
「Cadd9」「C9」「C△9」はすべて別のコードなのです。
しかし「C7(9,13)」と「C13」は同じコードです。
「C13」というコードネームは【13th】を付加するだけではなく、自動的に【9th】や【7th】を入れるのです。
そのときに【#9th】や【♭9th】などのオルタードテンションを自動的に付加することはありません。
なので今回はオルタードテンションは省いて説明します。
メジャーコード
Cadd9
ではまず【9th】を含むテンションコードです。
これは「Cadd9」というコードです。
これは文字通り【9th】を「add(加える)」という意味なので、
「Cのトライアド(三和音)」に【9th】の音だけを加えます。
構成音は4つなのでこれはこのまま弾けますね。
左手でルートだけを弾いています。
C△9
では次を見てください。
この二つの構成音は全く同じです。
「C△7、9」と書いてあれば【△7th】と【9th】の音を両方入れるというのは想像つくと思いますが、「C△9」と書いてある場合も【△7th】の音を入れるのです。
このあとも何度もでてきますが「9」とだけ書いてある場合はその下に「7」があるということを理解して下さい。
実際のボイシングとしてはこのような感じが多いです。
左手でルートを弾き、その代わりに右手からはルートを省きます。
右手だけみればミソシレと「Em7」と全く同じ構成音なのですが、左手で「ド」を弾くことにより「C△9」の響きになります。
C△9(#11)
そのキーの中のサブドミナントである「Ⅳ」の「△7(キーがCの場合F△7)」の場合は、テンションとして「#11」を加えることができます。
「△7」というコードに【#11th】だけを加えたい場合は左のように表記します。
右のほうは先ほども言ったように「△9」と書いてありますがその下に【△7th】も隠れているので、
【△7th・9th・#11th】を加えることになります。
ボイシングとしてはこんな感じでしょうか。
これに【9th】を加えると・・・
こんな感じですね。
左手で【ルート】と【5th】を弾くことにより、右手から【ルート】も【5th】も省くことができます。
これなら簡単に弾けると思います。
C△13
では次は【13th】を加えるコードです。
1番左のものは「C△7」に【13th】のみを加えるものです。
真ん中のものは 「C△9」ということで下に【△7th】を加え、さらに「13」とあるので【13th】を加えます。
1番右のものは「C△13」と書いてあるので自動的に【△7th】と【9th】と【13th】を加えます。
ここで一つ問題なのは、「なぜ【11th】は入らないのか?」ということです。
【11th】というのは【4th】の音と同じです。
「C」から見ると【4th】は「ファ」の音ということになります。
この【4th】の音というのは「メジャーコード(C△7やC7)」の【3rd】の音と半音でぶつかるので、【3rd】と【4th】を同時に使うことはありません。
メジャーコードで【4th】を使うときは【3rd】を抜きます。
そしてその場合、【11th】より"(sus4)"という表記を使うほうが一般的です。
それではボイシングです。
まずは【9th】を入れない場合です。
これも左手で【ルート】と【5th】を弾き、右手ではそのぶんを省いています。
これは【9th】も【13th】も入れる場合のボイシングです。
もちろんこれでないといけないわけではなく、転回することは可能です。
これでもきれいですね。
C9
では次は「C7」に【9th】が入ったものを見てみましょう。
右のほうはまたいきなり「9」と書いてあります。
下に【7th】が隠れているわけですが、この場合は「△7(シ)」ではなく「7(♭シ)」の音が入ります。
これが「C△9」と「C9」の違いです。
弾くときはこのように右手から【ルート】を省くのがよいでしょう。
次は【11th】を説明したいところですが「C7」もメジャーコードなので【11th】を入れるときは「C7sus4」を使うのが一般的です。
というわけでここでは【11th】は飛ばします。
C13
なので次は【13th】を入れてみましょう。
左は「13」とだけ書いてありますが【11th】は入れないので下には【9th】と【7th】があります。
【9th】を入れたくない場合は右のように書くのがいいでしょう。
ボイシングとしてはこのような感じにするとうまく響きます。
【9th】を入れたくない場合は次のように弾くのがいいでしょう。
【9th】を入れるよりもスッキリ聞こえます。
マイナーコード
Cm(add9)
では次にマイナーコードを見てみましょう。
マイナーコードにも「add9」があります。
マイナーのトライアドに【9th】だけを加えたものです。
これも左手で【ルート】を弾いているので右手の【ルート】を省いていいのですが、「ド-レ-♭ミ」とあえて密集させるのもまたかっこいいのではないでしょうか。
Cm9
次はこれに【7th】も加えてみましょう。
これも2種類のコードネームがありますが音は同じです。
「△7」のときに説明したようにマイナーコードでも「9」とだけ書いてある場合はその下に「7」が隠れています。
ボイシングの例はこのようになります。
弾くときには右手の【ルート】を省きましょう。
これは左手にも右手にも【5th】を入れてみました。
このように左手で弾く音を必ず右手から省かなければいけないわけではなく、両手で同じ音を弾くこともあります。
Cm11
さて次は【11th】を入れてみます。
メジャーコードでは【3rd】とぶつかっていた【11th】(4th)ですが、マイナーコードでは【3rd】と同時に使うことができます。
1番左のものは「Cm7」に【11th】のみを足したものですが、あとの2つは【7th】【9th】【11th】が入っています。
「Cm11」というふうにマイナーコードにいきなり「11」だけが書いてある場合は、その下に【9th】と【7th】が隠れています。
1番右のものはまず「Cm9」だけを見るとその下に【7th】が隠れていることがわかります。
そして別に「11」と書いてあるので、さらに【11th】を足すということです。
ボイシングはこんな感じが一般的でしょうか。
これは【9th】がない場合ですね。
これは【9th】も含まれている場合です。
これもかなり密集させてみました。
Cm13
では次です。
いきなり「13」と書いてありますが、下には【11th】【9th】【7th】が隠れているということになります。
メジャーコードの場合は「13」と書いてあった場合、下にあるのは【9th】と【7th】だけでしたが、マイナーコードなので【11th】もあるのです。
これは音が7つもあって弾くのが大変ですね。
ボイシング例はこのようになります。
左手で【ルート】【5th】【7th】を弾いて、右手ではその3つを省きました。
これもけっこう密集していてジャジーな響きなので、ロックやポップスにはあまり出てこないかもしれません。
6thコード
C6,9
では最後に「7thコード」ではなく「6thコード」に【9th】を入れてみましょう。
「9」が書いてあると下には【7th】を入れることになり、【6th】を自動的に付加することはないので【6th】に【9th】を入れたい場合はこのように書きます。
弾くならこのような感じです。
「C」にたいして【6th】の音は「ラ」です。
【13th】も「ラ」ですね。
この違いはそのコードに【7th】が含まれるかどうかです。
「C6」には「△7」も「7」も含まれていません。
【7th】と同時に使いたい場合は【13th】と表記します。
マイナーの場合も同じです。
Cm6,9
これも【7th】が含まれていません。
「Cm6」に【9th】が入っただけです。
このように弾くときれいですね。
まとめ
ではわかりにくいものだけまとめてみましょう。
① 「9」とだけ書いてあるコードネームの場合(C△9・C9・Cm9)は
その下に【7th】を付加する
② マイナーコードに「11」とだけ書いてある場合(Cm11)は
その下に【9th】と【7th】を付加する
③ 「13」とだけ書いてあるメジャーコードの場合(C△13・C13)は
その下に【9th】【7th】を付加する
④ 「13」とだけ書いてあるマイナーコードの場合(Cm13)は
その下に【11th】【9th】【7th】を付加する
というわけで今回はテンションを含むコードネームの正しい構成音を紹介しました。
コードネームに書いてあるテンションを付加するだけではないということを覚えておきましょう!
今回の解説動画はこちら↓