「ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ」今回は「Ⅱ-Ⅴ」の【Part7】です。
はじめに
このようなフレーズをマスターしましょう。
Jazzなどではとてもよく使われるフレーズです。
今回はマイナーキーにおける【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】です。
マイナーキーの場合、【Ⅱ】は「m7(♭5)」にします。
今回は「Key=Am」で説明していきましょう。
フレーズの分析
ではフレーズを細かく見ていきましょう。
まずは1小節めです。
この「Bm7(♭5)」は「Key=Am」の【Ⅱ】でもあり「Key=C」の【Ⅶ】でもあるので、使うスケールは「Bロクリアン」です。
それぞれの音がコードにたいしてどのような音になっているのか見てみます。
【7th】から入ってロクリアンスケールを【3-4-5】と上行します。
ロクリアンなので、当然【5th】は【♭5】になります。
そして次は【3-Root-7】と下行します。
では2小節めです。
このフレーズは、基本的にはオルタードスケールと考えるのがいいでしょう。
コードにテンションを入れたい場合、【♭9th】【#9th】【♭13th】などのオルタードテンションを入れることになります。
このフレーズもスケールにたいしてそれぞれどのような音になっているのか分析してみます。
【♭9th】【#9th】というオルタードテンションが含まれています。
オルタードテンションが含まれるドミナント7thコードに合うスケールは、このようなものが考えられます。
このフレーズの音が全て含まれるスケールは「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」と「スパニッシュ8ノートスケール」しかありません。
※「オルタードスケール」についての動画はこちら↓
【手軽にJazzっぽく】オルタード&スーパーロクリアン【アドリブ・バッキングに!】 - わちゃぴの音楽教室
※「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウスケール」についての動画はこちら↓
3分講座:【メタルからジャズまで】ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウスケール - わちゃぴの音楽教室
※「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」についての動画はこちら↓
作曲 #15【コンディミ】コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール【仕組み・フレーズ例】 - わちゃぴの音楽教室
※「スパニッシュ8ノートスケール」についての動画はこちら↓
【情熱のSpanish】スパニッシュ8ノートスケール【哀愁ただようフラメンコに♪】 - わちゃぴの音楽教室
しかし「スパニッシュ8ノートスケール」は、【Ⅱ-Ⅴ】の【Ⅴ】に使うにはあまり一般的なスケールではありません。
そして「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」は、マイナーキーの雰囲気を阻害する【♮13】が入ってしまいます。
前半は「コンディミ」で後半は「オルタードスケール」などと分析することも可能ですが、ここはやはり全体的に「オルタードスケール」で、一瞬だけ【5th】が含まれたと考えるのが1番理解しやすいかと思います。
では改めてフレーズを見てみましょう。
【3rd】から入って【3-5-7】と「E7」の構成音をアルペジオのように上行し、【#9th】 を少し延ばしたら、次は【♭9-Root-7】とオルタードスケールを順番に下行します。
【#9th】が強調されたフレーズなので、コードにも【#9】を付加するのがいいかもしれません。
最後は3小節めです。
これはスケールでいうとハーモニックマイナー、またはジャズマイナーです。
このフレーズには「ファ」も「#ファ」も入っていないので、どちらか特定はできません。
コードにたいしてどのような音になっているか見てみましょう。
【3rd】から入って【△7】まで下がったら、次は【Root】から「Am△7」の構成音をアルペジオで【1-3-5-7】と上行してから、また【9-Root-5】と下行して終わりです。
他のキーで見てみよう
では他のキーでもすぐ弾けるようにするため、いくつかのキーで見てみましょう。
これは「Key=Cm」の【 Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ 】です。
【7th】の「ド」から入って、ロクリアンスケールを【3-4-5】である【ファ-ソ-♭ラ】と上行します。
そして次は【3-Root-7】である【ファ-レ-ド】と下行します。
「G7」は「G7(#9)」の構成音を【3rd】から【3-5-7-#9】とアルペジオで上行したら、次はオルタードスケールを【♭9-Root-7】と下行します。
「Cm」では 【3rd】の「♭ミ」から入って【△7】まで下がったら、次は【Root】から「Cm△7」の構成音をアルペジオで【1-3-5-7】と上行してから、また【9-Root-5】である【レ-ド-ソ】と下行して終わりです。
ではもう一つ見てみましょう。
これは「Key=Em」のフレーズです。
【7th】の「ミ」から入って、ロクリアンスケールを【3-4-5】である【ラ-シ-ド】と上行します。
そして次は【3-Root-7】である「ラ-#ファ-ミ」と下行します。
2小節めは「B7(#9)」の構成音を【3rd】から【3-5-7-#9】とアルペジオで上行したら、 次はオルタードスケールを【♭9-Root-7】と下行します。
「Em」では 【3rd】の「ソ」から入って【△7】まで下がったら、次は【Root】から「Em△7」の構成音をアルペジオで【1-3-5-7】と上行してから、また【9-Root-5】である【#ファ-ミ-シ】と下行して終わりです。
覚えるための練習法
全てのキーで覚えるのはなかなか大変なので【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】を連続させ練習してみましょう。
【D-G-C-F・・・】と時計回りに「5度下」に進んでいくのですが、これを【Dm7(♭5)-G7-Cm】という【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】と考え、その【Ⅰ】である「Cm」の【5th】を半音下げて「Cm7(♭5)」にして、それを新たな【Ⅱ】と考え、【Cm7(♭5)-F7-B♭m】という新たな【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】を作り、つなげていきます。
3小節単位だとつながりが悪いので、【Ⅰ】を2小節として4小節単位にしましょう。
4小節めにはフレーズがないので、次の準備をしやすいと思います。
サークルオブ5thを【Dm7(♭5)-G7】から始まり1周するパターンと【Gm7(♭5)-C7】から始まり1周するパターンの2種類で12個全ての【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】が出てきます。
調号で書くと4小節おきにキーが変わって読みにくいので、臨時記号で書いてあります。
※カラオケ音源とMIDIデータを貼っておきますので、ご自由にダウンロードしてお使いください。
それではつなげて弾いてみましょう。
EX.1
まずは「Dm7(♭5)」から始まるパターンです。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
EX.2
次は「Gm7(♭5)」から始まるパターンです。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
バリエーション
慣れてきたらこのようにリズムを変えてみても面白いと思います。
音は全く同じでリズムだけを変えてあります。
これは1小節めアタマから入り、2小節めは4拍めで16分音符を入れてみました。
3小節めは3連符をやめてシンプルにしました。
全て8分音符にしました。
どの小節も1、2拍で上行し、3、4拍で下行するという同じ音型になっています。
さいごに
というわけで、今回もマイナーキーでよく使われる【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】フレーズを紹介してみました。
今回のフレーズも楽器を問わず使えるので、ぜひいろんな楽器で試してみてください。
いろんなミュージシャンが使う定番フレーズなので、そのまま自分の曲のアドリブなどに使っても全然大丈夫です!
今回の解説動画はこちら↓