わちゃぴの音楽教室

初心者向けの作曲方法を紹介しています♪

編曲 #25【メロディーの音を全部コードに!】ハーモナイズ【Part4:ルートのクロマチック下行】

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今回は、クロマチック下行を使ったハーモナイズを紹介します。

サウンド的にはこのようなものです。

 

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このようにメロディーの音、ひとつひとつにコードをつけていきます。

もちろん下行するにしても、クロマチックでないとだめなわけではありません。

 

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4度や5度で下行したり、ダイアトニックスケールで下行することも可能です。

しかし今回は、クロマチック下行だけに絞って説明していきたいと思います。

あまりロックやポップスなどでは聞かないサウンドかもしれませんが、編曲やJazzyなソロピアノなどにはかなり役立つと思います。

ぜひマスターしてみてください。

 

 

はじめに

今回の「クロマチック」とは、ルートの動きのことを指しています。

そしてあえて「下行」と言ったのは、「上行」より「下行」のほうが自然な動きであり、クロマチック進行は下行で使われることの方が圧倒的に多いからです。

これを見てください。

 

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この例ではテンションが入っていますが、基本的には【Dm7-G7-C△7】という【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】を裏コードを使って【Dm7-D♭7-C△7】にしたものです。

そうするとルートがクロマチック下行することになります。

これはとても自然で綺麗な進行です。

クロマチック下行の中では【D♭7-C△7】のように、裏コードを使ったドミナントモーションが最も強い進行なので、すべてドミナント7thコードでクロマチック下行するのが1番自然には聞こえます。

 

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「A♭△7」に向かってドミナント7thコードがクロマチック下行しています。

しかし、なにもドミナント7thコードしか使えないわけではありません。

 

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このように「m7」や「△7」がクロマチック下行するのも自然できれいな進行です。

今回はドミナント7thコードだけではなく、いろんなコードをクロマチック下行させてハーモナイズしていきたいと思います。

 

ルートを決定する

では実際にハーモナイズしてみましょう。

 

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このようなメロディーを使ってみます。

このように上行するメロディーの場合はルートの下行と反進行となり、特に美しく響きます。

まずは着地点のコードを決めることから始めます。

このメロディーは【ド-レ-ミ-ソ-ラ】の5つの音でできています。

 

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メロディーの途中で転調するのも全然かまわないのですが、ひとつのキーだとするならば、5つの音全てが含まれるのはこの3つのキーしかありません。

【ド-レ-ミ-ソ-ラ】はCメジャーペンタトニックでもあるので、まずはわかりやすく「C△7」に解決することにしてみましょう。

 

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そうするとこのようになります。

 

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次にルートを決定します。

クロマチックに下行して「C」に解決するのですから、逆算してみると簡単です。

メロディーの音の数だけ「C」からクロマチックで上行すると、「F#」から下行を始めるとちょうど「C」で終わることがわかります。

これでルートが決定しました。

 

コードを決める

次にルートとメロディーの音からコードを導き出します。

 

メロディーの最初の音は「ド」で、ルートは「#ファ」です。

この音域だとコードが低くなってしまい少し見にくいので、解説だけは1オクターブ上げて説明します。

ルートの「#ファ」にたいして「ド」の音は【#11】または【♭5】です。

 

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ほんの一例ですが、このようなコード付けが可能になります。

【9th】や【♭9th】が入っていますが、これは今回のハーモナイズとは関係ありません。

入れても入れなくても大丈夫です。

「F#7」ならもちろん【#9】や【♭13】を付加することも可能です。

 

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この4つの中のどれを使ってもいいのですが、今回は裏コード的な進行をさせたいので「F#7」を選択してみます。

 

次はメロディーが「レ」で、ルートが「ファ」になります。

ルートの「ファ」にたいして「レ」の音は【6th】または【13th】または【dim7】です。

 

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このようなコードが使えます。

これも一例であり、「F6」や「Fm6」に【9th】を付加することも可能ですし、「F7」に付加した【9th】を【♭9th】や【#9th】に変更することも可能です。

 

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今回は「F7(9,13)」にしてみます。

 

次はメロディーが「ミ」で、ルートも「ミ」になります。

メロディーがルートということは、あらゆるコードが使用可能です。

 

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これもほんの一例で、いろんなテンションを付加することが可能です。

 

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「Edim7」を選んでみました。

 

次はメロディーが「ソ」で、ルートが「♭ミ」になります。

ルートの「♭ミ」にたいして「ソ」の音は【M3】です。

 

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そうなると【m3】が入るマイナー系のコードは使えないので、このようなコードが候補になります。

もちろんこれもいろいろなテンションを付加することが可能です。

 

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ここでは「E♭7(♭9)」を選んでみます。

 

次はメロディーが「ラ」で、ルートが「レ」になります。

ルートの「レ」にたいして「ラ」の音は【5th】です。

 

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「m7(♭5)」や「dim」など、【5th】がフラットするものは使えません。

そうなるとこのようなものが使えます。

 

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「Dm9」を選んでみます。

 

最後はメロディーが「ド」で、ルートが「♭レ」になります。

ルートの「♭レ」にたいして「ド」の音は【△7th】です。

 

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【△7th】が使われるコードはかなり限られてきます。

「dim7コード」にテンションとして【△7th】を使うこともありますが、基本的にはこの2種類になるでしょう。

 

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「D♭△7」を選んでみました。

 

これでメロディー全ての音にコードがつきました。

Jazzっぽいおしゃれなサウンドになったのではないでしょうか。

 

同じメロディーで解決するコードを変える

では先ほどと同じメロディーで、解決先のコードを変えてみましょう。

 

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このように、先ほどの例で「C△7」に解決していたところを「Am9」に変えてみます。

 

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まずルートを決めます。

「Am9」のルートである「ラ」から半音ずつ逆算すると、「♭ミ」から下行すればちょうど「ラ」で終わることがわかります。

 

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ルートにたいしてメロディーの音はこのようになっています。

 

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ルートとメロディーの関係から、候補のコードをいくつかリストアップしてみました。

もちろんこれが全てではありません。

 

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そしてこのようなコードを選んでみました。

解決するコードが変わると、サウンドがガラっと変わるのがわかると思います。

 

コードの数を変える

ではもう1つサンプルを見て下さい。

 

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コードは「B♭△7」に解決することにします。

このサンプルのように、ルートを下行させるからといってメロディーも必ず反進行である必要はありません。

逆に言うと「どんなメロディーにたいしてもクロマチック下行のハーモナイズは可能」ということです。

 

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ルートにたいしてメロディーがどのような音になっているかを分析します。

譜面では簡略化しましたが、【13th】を【6th】と解釈してもいいですし、【#5】は【♭13】と解釈してもかまいません。

 

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このようなコードにしてみました。

ここではピアノに加えてベースも入れてあります。

弾いているのはルートだけです。

これもまたJazzyでなかなかいいサウンドなのではないでしょうか。

 

このように今まではメロディーの音、一つ一つにコードをつけていました。

しかし、必ずしもルートが同じように動かなければいけないわけではありません。

 

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たとえばこのように、ルートは4分音符で動かすのも可能です。

 

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ルートにたいしてメロディーはこのようになっています。

もちろんこれも【♭5】を【#11th】と解釈してもいいですし、【6th】を【13th】と解釈してもかまいません。

 

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このようにしてみました。

ルートが8分音符でメロディーに合わせて動くよりは、音が少なくなったぶん、少しシンプルな感じに聞こえると思います。

 

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このようにするともっとシンプルになります。

コードも簡略化していますがメロディーを見ればわかるので、これでじゅうぶん伝わると思います。

例えば3拍めに「C」というコードがありますが、メロディーが「シ」なので当然「C△7」ということはわかります。

C#dim7」における「#ファ」は構成音ではありませんが、次の「ソ」へのクロマチックアプローチと解釈します。

 

まとめ

ではまとめとして、同じメロディーに2種類の違うハーモナイズをしてみましょう。

 

1.メロディーを決める

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2.解決先のコードを決める

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3.そこから半音で逆行して上がっていきルートを決定する

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4.ルートとメロディーの関係を分析し可能なコードを選択する

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さいごに

今回はクロマチック下行によるハーモナイズを紹介しました。

メロディーとルートが決まっていても、内声にどんなコードをつけるかでずいぶん雰囲気は変わります。

どういうコード、テンションを選択するかによって自分なりのサウンドを出すことができます。

メロディー全部にコードをつけるのではなく、部分的につけることによっても変化をつけられます。

また、曲の最初から最後まで同じようにハーモナイズする必要もなく、ほんの一部分にだけ使うのもいいでしょう。

いろいろな可能性があるので、ぜひ実際に使って試してみてください。

 

今回の解説はこちら↓