「ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ」今回は「Ⅱ-Ⅴ」の【Part6】です。
はじめに
このようなフレーズをマスターしましょう。
Jazzなどではとてもよく使われるフレーズです。
今回も【Ⅱ-Ⅴ】だけではなく【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】のフレーズにしてみました。
サンプルはコードにテンションを入れていますが、別に入れなくてもかまいません。
フレーズの分析
ではフレーズを細かく見ていきましょう。
まずは1小節めです。
この「Dm7」は「Key=C」の【Ⅱ】ですから、使うスケールは「Dドリアン」です。
それぞれの音がコードにたいしてどのような音になっているのか見てみます。
【5th】から入って【9th】まで飛んで、そのあと「Dm7」にたいする【△7】である「#ド」を弾きます。
譜面に便宜上【△7】とは書きましたが、これは次の「レ」に下からクロマチックアプローチしているだけなので、【△7】などと解釈する必要はありません。
そしてそのあと「ドリアンスケール」を【1-2-3-4】と上がるだけです。
【2nd】は【9th】、【4th】は【11th】と書いてもいいのですが、【1-2-3-4】のほうが理解しやすいかと思います。
コードにテンションを入れるなら【9th】が合うでしょう。
では2小節めです。
このフレーズは「オルタードスケール」です。
「オルタードスケール」ということはコードにテンションを入れたい場合、【♭9th】【#9th】【♭13th】などの「オルタードテンション」を入れることになります。
このフレーズも、スケールにたいしてそれぞれどのような音になっているのか分析してみます。
1拍めのアタマから【♭9】で入ります。
そして一旦【Root】に半音で下りてから、次に【#9th】まで上がり、また【♭9th】へと下がります。
そのあと【♭13th-3rd】と下りて、また【#9th-♭9th】を弾きます。
そして【♭9th】の「♭ラ」から半音下がって「C△7」の【5th】である「ソ」に解決します。
こう説明すると難しそうですが、簡単な見つけ方があります。
この部分を見てください。
2拍めからは、「G7」の半音上のマイナーコードである「A♭m」に【9th】を加えたものをアルペジオにしただけなのです。
「Gオルタードスケール」は「G」の半音上の「A♭」をトニックとする「A♭メロディックマイナー」と構成音がまったく同じなので、これも当然ですね。
「A♭m」と言われるとフラットがいっぱいついて難しそうですが、たとえばこれを見てください。
「D♭7」もフラットがたくさんで難しそうですが、半音上のマイナーコードは「Dm」です。
【9th】を加えて「Dm(add9)」にしても【レ-ミ-ファ-ラ】と白鍵だけで簡単ですね。
元のコードが難しいほど、半音上のマイナーコードは簡単になります。
難しくて苦手なコードほど、この「オルタードスケール」のフレーズを使ってみるといいのではないでしょうか。
他のキーで見てみよう
では他のキーでもすぐ弾けるようにするため、いくつかのキーで見てみましょう。
これは「Key=A♭」の【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】です。
「B♭m7」は【5th】の「ファ」の音から入り、【9th】の「ド」を弾いたあと、【Root】の「♭シ」に半音下の「♮ラ」からアプローチします。
そして【Root】の「♭シ」から「ドリアンスケール」を【1-2-3-4】と上行します。
「E♭7」は【Root】の半音上である【♭9th】の「♭ファ」、ようするに「♮ミ」から【Root】の「♭ミ」に半音下行します。
そのあとはこれを見てください。
「E♭7」の半音上のマイナーである「Em」の【9th】から【9-1-5-3-9-1】と、「Em(add9)」の構成音だけを下行します。
【2小節めのアタマから「Em(add9)」のフレーズを弾く】と考えて、【Root】から【△7】、そして【9-1-5-3-9-1】と考えるほうが簡単かもしれません。
そして3小節めは【Ⅰ】の「A♭△7」の【5th】である「♭ミ」に半音下行で解決します。
ではもう一つ見てみましょう。
これは「Key=E」の【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】です。
「F#m7」は【5th】の「#ド」の音から入り、【9th】の「#ソ」を弾いたあと、【Root】の「#ファ」に半音下の「#ミ」からアプローチします。
そして【Root】の「#ファ」から「ドリアンスケール」を【1-2-3-4】と上行します。
「B7」はまたこれを見てください。
今度は最初から「B7」の半音上のマイナーコードである「Cm(add9)」を考えてみましょう。
まず「Cm(add9)」の【Root】から入り、【△7】を弾きます。
そのあと「Cm」の【9th】から【9-1-5-3-9-1】と、「Cm(add9)」の構成音だけを下行します。
そして3小節めは【Ⅰ】の「E△7」の【5th】である「シ」に半音下行で解決します。
覚えるための練習法
全てのキーで覚えるのはなかなか大変なので【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】を連続させ練習してみましょう。
【D-G-C-F・・・】と時計回りに「5度下」に進んでいくのですが、これを【Dm7-G7-C△7】という【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】と考え、その【Ⅰ】である「C△7」から、ルートは同じマイナーコードである「Cm7」を弾き、それを新たな【Ⅱ】と考え、【Cm7-F7-B♭△7】という新たな 【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】を作り、つなげていきます。
3小節単位だとつながりが悪いので、【Ⅰ】を2小節として4小節単位にしましょう。
4小節めにはフレーズがないので、次の準備をしやすいと思います。
サークルオブ5thを【Dm7-G7】から始まり1周するパターンと【Gm7-C7】から始まり1周するパターンの2種類で12個全ての【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】が出てきます。
オルタードスケールの記譜法はいろいろ考えられるのですが、今回はあえて半音上のマイナーコードを想定した記譜をしてあります。
※カラオケ音源とMIDIデータを貼っておきますので、ご自由にダウンロードしてお使いください。
それではつなげて弾いてみましょう。
EX.1
まずは「Dm7」から始まるパターンです。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
EX.2
次は「Gm7」から始まるパターンです。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
バリエーション
慣れてきたらこのようにリズムを変えてみても面白いと思います。
ハネるリズムをやめて、ボサノバなどにも使うこともできます。
これは音の並びはまったく同じなのですが、リズムを変えてみました。
ピアノをメロディーのリズムに少し合わせることで、リズムが強調されて聞こえます。
最初のものとはかなり違った雰囲気になったと思います。
1小節めはリズムを変えただけですが、2小節めはリズムとともに音の並びを少し変えてあります。
使っている音は同じなので、それほど難しくはないと思います。
さいごに
というわけで今回も、Jazzのアドリブなどでよく使われる【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】フレーズを紹介してみました。
今回のフレーズも楽器を問わず使えるので、ぜひいろんな楽器で試してみてください。
定番フレーズなので、自信を持って自分の曲のアドリブやセッションなどにそのまま使ってみてください。
今回の解説動画はこちら↓