わちゃぴの音楽教室

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【天才たちのワンフレーズ】Bill Evans Vol.1

「天才たちのワンフレーズ」シリーズ、今回は「Bill Evansのフレーズ」を紹介します。

 

 

今回のフレーズ

ではまず今回のフレーズを聞いてみてください。

 

これは『Peri's Scope』でのアドリブの冒頭部分です。

小粋でかっこいいフレーズだと思います。

今回解説したいのはこの中の3、4小節め、「E7」でのフレーズです。

 

フレーズ分析

「E7」上でのフレーズなので、「E7」にたいしてそれぞれどのような音になっているのか見てみましょう。

 

【♭9】【#9】【♭13】などのテンションが含まれています。

 

これらの音が全て含まれるスケールはこれしかありません。

「スパニッシュ8ノートスケール」です。

しかし、このような曲にわざわざ「スパニッシュ8ノートスケール」を使うというのはちょっと考えにくいです。

例えばこれはどうでしょう。

 

「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」です。

この中には【#9】である「ソ」の音が含まれていません。

 

「ソ」は3ヶ所出てきますが、いずれも半音上の「#ソ」に進行しています。

【#9】というより、ただのクロマチックアプローチとする考え方もありだと思います。

「ソ」をブルーノートである【♭3】と考え、半音で【♮3】である「#ソ」へ進行するブルージーなフレーズと考えるのもいいでしょう。

 

「オルタードスケール」という考え方もあります。

しかし、これはこれでフレーズに出てくる【5th】の「♮シ」の音も「ラ」の音も含まれていませんし、スケールに含まれる「♭シ」の音はフレーズには出てきません。

1小節めは「オルタードスケール」で、2小節めが「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」という考え方だとしっくりくるかもしれません。

 

なんにせよ本人がどのように考えて演奏したかはわからないので、いろいろな解釈を理解した上で、あとはフレーズごと覚えてしまうのが1番いいと思います。

 

左手のコード

ちなみに左手ではこのようなコードを弾いています。

「E7(#9,♭13)」です。

この【#9】は「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」には出てきません。

そうなるとやはり「オルタードスケール」を想定しているような気もします。

フレーズではクロマチックアプローチ的な解釈もできましたが、コードに入っているとなると【#9】としか言いようがありません。

最後のコードは次の小節の「Dm9」を早めに弾いたものです。

 

左手は「オルタードスケール」を想定したコードを弾きながらも、右手は「オルタードスケール」や「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」をミックスしたようなフレーズになっていると考えればいいのではないでしょうか。

 

なにも一つのコードに一つのスケールしか使ってはいけないということはありません。

このようにスケールがミックスされたようなフレーズはたくさんあります。

 

まとめ

まず【♭3】から【♮3】と弾きます。

その【♮3】を【Root】とする「augコード」の分散を弾きます。

そしてまたそこから半音上がり【♭9】を弾いたら、最初と同じ【♭3〜♮3】を弾きます。

その【♮3】から「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」を【4th】の音まで下行します。

そうしたらまた最初のように【♭3〜♮3】と弾きます。

 

キーを変えてみてみましょう。

「G7」でのフレーズです。

 

まず【♭3】の「♭シ」から半音上の「シ」と弾きます。

そして「Baug」の分散を弾きます。

そしてまたそこから半音上がり「♭ラ」を弾いたら、最初と同じ「♭シ-シ」と弾きます。

その「シ」から「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」を【4th】の「ド」まで下行します。

そうしたらまた最初のように「♭シ-シ」と弾きます。

 

応用例

では他の曲に使ってみましょう。

今回は「ドミナント7thコード」のフレーズですから、【Ⅱ-Ⅴ】に使ってみましょう。

 

「Key=C」の【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】です。

最初の3連符をやめて、8分音符だけにしてみました。

 

次はマイナーの【Ⅱ-Ⅴ】に使ってみましょう。

 

これは「Key=Gm」の【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】です。

今回は2小節のフレーズでしたが、これは最初の1小節だけを使ってみました。

これでもじゅうぶんかっこいいと思います。

 

さいごに

というわけで今回はBill Evansの『Peri's Scope』でのワンフレーズを紹介しました。

そんなに変わった音を使ってるわけではないですが、Bill Evansらしいとてもおしゃれなフレーズだと思います。

今回のフレーズもいろんな解釈の仕方がありましたが、Jazzのアドリブの中には解釈不能なフレーズもたくさんあります。

何も考えずそのときの気分だけで弾いたフレーズかもしれないのに、それを1音ずつ分析するのはナンセンスなのかもしれないですね。

かっこいいと思ったら、丸覚えしてしまうのが結局1番実践的だと思います。

今回のフレーズをぜひいろんな曲の「ドミナント7thコード」に使ってみてください。

 

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