「ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ」今回は「ブルースフレーズ」の【Part10】です。
はじめに
今回はこのようなフレーズです。
ブルースではよく聴かれるフレーズです。
左手は【Root-5th】と【Root-6th】を4分音符で交互に弾いています。
ブルースピアノの左手としてはよく聴かれる定番のパターンです。
コードは「C7」です。
「C7」といえばふつうは「Key=F」の【Ⅴ】である「ドミナント7thコード」です。
しかしブルースは少し特殊な音楽で、「トニック」も「サブドミナント」も「7thコード」にすることがほとんどです。
今回はブルースについての細かい説明は省きますが、この「C7」は「Key=C」の「トニック」、または「Key=G」の「サブドミナント」、または「Key=F」の「ドミナント」に使えます。
ということは、今回のこのフレーズも同じように「Key=C」のブルースの「トニック」、または「Key=G」のブルースの「サブドミナント」、または「Key=F」のブルースの「ドミナント」のときの「C7」に使えるということです。
フレーズの分析
ではフレーズを細かく見ていきましょう。
音をひとつずつ見ていきましょう。
まずは1小節めです。
アタマからいきなり装飾音が出てきます。
【5th】と【Root】を同時に弾くのですが、【5th】に向かって【♭5th】の装飾音をつけます。
そして単音でオクターブの下の【Root】である「ド」を弾いたあと、「ファ」と「ラ」を同時に弾きます。
「C」というコードにたいしてのサブドミナントである「F」のようですが、「Dm」と解釈しておくとあとで楽になります。
次は臨時記号がついてめんどくさそうですが、実はその一つ先の「ミ-ソ」という和音に半音下からアプローチしているだけです。
先に言ってしまうと、1小節め最後の「シ-#レ」から2小節めアタマの「ド-ミ」も半音のアプローチです。
譜面上、臨時記号で難しく見えるところは、実はわりと簡単なフレーズになっているということです。
ではまた1小節めに戻りましょう。
半音でアプローチしたあとは、単音でオクターブ下の「ソ」を弾き、次は「レ-ファ」を弾きます。
2拍めの「ファ-ラ」 とこの「レ-ファ」を合わせると、「Dm」のトライアドになります。
元のコードにたいする【Ⅱ】である「Dm」をところどころ挟むと思っておけばわかりやすいかもしれません。
では2小節めです。
先ほど言ったように1小節め最後の「シ-#レ」から平行に半音で上がって、「ド-ミ」と弾きます。
そして単音でまた「ソ」を弾きます。
このあたりは元のコード「C」のトライアドを弾いているだけなので、簡単だと思います。
そして次は「ファ-シ」と弾きますが、これはドミナントである「G7」と考えるといいかもしれません。
「G7」のトライトーンである「ファ-シ」が、それぞれ半音で「ミ-ド」に解決します。
他のキーで見てみよう
では他のキーでも見てみましょう。
これを見てください。
調号に注意してください。
これは「A7」のフレーズです。
【♭5th】の「♭ミ」から引っかけて【5th-Root】である「ミ-ラ」と弾きます。
そして【Root】の「ラ」を弾いたあと、【Ⅱ】の「Bm」の構成音である「レ-#ファ」を弾きます。
次に「A7」の【3rd-5th】である「#ド-ミ」に半音下からアプローチします。
【5th】の「ミ」を弾いたあと、また「Bm」の構成音「シ-レ」を弾きます。
そして「A7」の【Root-3rd】である「ラ-#ド」にまた半音下からアプローチします。
「ミ」を弾いたあとはドミナントである「E7」の【7th-3rd】である「レ-#ソ」を弾いて、「A7」の【3rd-Root】の「#ド-ラ」に解決して終わりです。
これは「E♭7」のフレーズです。
【♭5th】の「ラ」から引っかけて【5th-Root】である「♭シ-♭ミ」と弾きます。
そして【Root】の「ミ」を弾いたあと、【Ⅱ】の「Fm」の構成音である「♭ラ-ド」を弾きます。
次に「E♭7」の【3rd-5th】である「ソ-♭シ」に半音下からアプローチします。
【5th】の「♭シ」を弾いたあと、また「Fm」の構成音「ファ-♭ラ」を弾きます。
そして「E♭7」の【Root-3rd】である「♭ミ-ソ」にまた半音下からアプローチします。
「♭シ」を弾いたあとはドミナントである「B♭7」の【7th-3rd】である「♭ラ-レ」を弾いて、「E♭7」の【3rd-Root】の「ソ-♭ミ」に解決して終わりです。
覚えるための練習法
ひとつずつ順番に覚えるのもいいのですが、せっかくなのでこんな練習法をやってみてください。
これを時計回りに全部「7thコード」のまま進んでいきます。
これで12個全ての「7thコード」で今回のフレーズがマスターできるはずです。
キーが2小節ごとに変わることになりますが、あえて調号ではなく臨時記号で書いてあります。
今回は左手は【Root-5th】と【Root-6th】を4分音符で交互に弾いています。
難しければ4分音符で【Root-5th】の和音だけ弾いてもかまいませんし、オクターブで【Root】だけ弾いてもかまいません。
※ 「カラオケ音源」と「MIDIデータ」を貼っておきますのでご自由にダウンロードしてお使いください。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
バリエーション
今回のフレーズを少し変えるだけでいろんなバリエーションが得られます。
音はまったく同じですが、最初の装飾音は外して3連符を多めに入れてリズムを変えてみました。
クロマチックアプローチをやめてみると、かなりシンプルになりました。
これも最初の装飾音は外してあります。
先ほどとは逆に、元にはなかった下行するクロマチックアプローチを増やしてみました。
というわけでバリエーションを3つ紹介しました。
このように音やリズムを少しだけ変えれば、多くのバリエーションを作ることができます。
ぜひ挑戦してみてください。
さいごに
というわけで、今回もブルースなどでよく使われるフレーズを紹介してみました。
今回も和音を含むピアノっぽいフレーズでしたが、和音を単音に変えればいろんな楽器で使えると思います。
これもまた定番フレーズなので、そっくりそのまま使っても問題ありません。
ぜひ自分のオリジナルに使ってみてください。
ブルースに限らずポップスやロック、ファンクなど、いろんなジャンルに幅広く使えるはずです。
今回の解説動画はこちら↓