今回は「クロマチックスケール」をアドリブにかっこよく使うテクニックを紹介したいと思います。
長くなりそうなのでPart1、Part2に分けて解説していきます。
Part1ではいろんなジャズミュージシャンたちのフレーズから学んでいこうと思います。
Part2では実際の使い方を紹介します。
Part2はこちら↓
- はじめに
- クラシック音楽に使われるクロマチックスケール
- The Sorcerer/Herbie Hancock 01
- The Sorcerer/Herbie Hancock 02
- Caribe/Michel Camilo
- Little Peace In C For U/Michel Petrucciani
- Solar/Bill Evans
- Tiger Rag/Art Tatum
- まとめ
- さいごに
はじめに
クロマチックスケールとは、オクターブの中に含まれる12個全ての音を並べたスケールです。
全ての音の間隔が半音になっているので、「半音階」とも呼ばれます。
全ての音が含まれるわけですから当然どんなコードにも合いますが、そのぶんアボイドノートもたくさん含まれます。
メジャー7th、マイナー7th、ドミナント7thコードそれぞれにたいして、クロマチックスケールに含まれるアボイドノートとそうでない音をまとめてみました。
色を付けた音が「コードトーン」もしくは「テンション」として処理できる音で、それ以外がアボイドノートとなります。
これを見てわかるように、メジャー7th、マイナー7thにはそれぞれ5つのアボイドノートが含まれますが、ドミナント7thにはアボイノートが2つしかありません。
このことから、クロマチックスケールはドミナント7thコードのほうが使いやすいと言えるでしょう。
しかし実際にはいろんなコードのときに使われます。
ようするに、かなりアウトサイドなフレーズになるということです。
クラシック音楽に使われるクロマチックスケール
クロマチックスケールはクラシックにもよく使われます。
このようにクロマチックスケールだけでできているような曲もあります。
ショパンやリストなどにもよく使われます。
この曲はショパンのワルツですが、先ほどの曲とはまた違ってクロマチックスケールがとても美しく使われていると思います。
ではジャズのアドリブに使われたものをいくつか紹介しましょう。
The Sorcerer/Herbie Hancock 01
クロマチックスケールをただ上行して下行しているだけのフレーズです。
一見とても安易な使い方のようにも思えますが、使いどころが絶妙なのでかっこよく聞こえます。
クロマチックスケールしか使ってないとはいえ、最初の「#ファ」の音がコードにたいして【9th】なので、それほど外れているようには感じません。
そこがクロマチックスケールを使う上でのポイントだったりもします。
The Sorcerer/Herbie Hancock 02
これも最初の2小節はクロマチックスケールを上行しているだけです。
1小節めの「Cm9」は【Root】の音から入り、次の【5th】の音からクロマチックスケールが始まっています。
インサイドの音である【5th】から始まるので聴きやすいフレーズになっています。
3、4小節めはマイナー 7thのアルペジオを半音ずつ上げていきますが、これもスケールで言えばクロマチックスケールということになります。
Caribe/Michel Camilo
これもクロマチックスケールを上行下行しているだけなのですが、カミロらしい疾走感がとてもかっこいいフレーズだと思います。
この速さで正確に弾くのは難しいかもしれません。
2小節め4拍めの「ミ」の音からクロマチックフレーズが始まっています。
Little Peace In C For U/Michel Petrucciani
これもクロマチックスケールを下行してるだけですが、オクターブを交互に弾きながらリズムに変化をつけています。
ただスケールを上行下行するだけでなく、このように少し工夫するだけでとても面白いフレーズになります。
これも「E7」での最初の音はアボイドノートではなく、【9th】になっています。
「A7」の最初の音は【#9th】、「D7」の最初の音は【3rd】、「G7」の最初の音も【3rd】となっています。
計算してこうなったのか偶然なのかはわかりませんが、結果的になんとなくコード進行を感じるようなフレーズになっているのが面白いですね。
Solar/Bill Evans
このフレーズは今までと違い、短3度の音型を保ったままクロマチックに上行したり下行したりします。
これもスケールでいうとクロマチックスケールというほかはありません。
フレーズの最初は「Fm7」にたいして【3rd-Root】と、もっともインサイドの音から始まっています。
Tiger Rag/Art Tatum
このフレーズはディミニッシュのアルペジオを半音で上行させていきます。
最初の音は「Cdim」と書きましたが、「E♭m7」にたいして【6th-Root-3rd】なので、完全にインサイドの音から始まっていることになります。
まとめ
では今回紹介したフレーズをまとめてみましょう。
①クロマチックスケールをそのまま上行下行します。
②マイナー7thコードのアルペジオをクロマチックに上行します。
③クロマチックスケールのそれぞれの音をオクターブで交互に弾きながら上行下行します。
④短三度の音型を保ったままクロマチックに上行下行します。
⑤ディミニッシュコードのアルペジオをクロマチックに上行させます。
さいごに
今回は、ジャズミュージシャンたちが実際に弾いたクロマチックスケールのフレーズを紹介しました。
弾くのはけっこう難しいものもありますが、どれも参考になると思いますのでぜひ弾いてみてください。
Part2では実際にアドリブフレーズを作ってみようと思います。
今回の解説動画はこちら↓
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