アドリブTipsシリーズ、今回は「勝手にクリシェ」です。
- はじめに
- All Of You/Herbie Hancock
- Bye Bye Blackbird/Red Garland
- On A Clear Day/Wynton Kelly
- Bye Bye Blackbird/Keith Jarrett
- The Shadow Of Your Smile/Oscar Peterson
- 使用例
- さいごに
はじめに
クリシェとは簡単にいうとこのようなものです。
1つのコードが続くときにルートなどを動かして変化をつけるテクニックです。
※クリシェについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
今回はこの手法をアドリブに使うというTipsを紹介します。
クリシェは多くの場合、アレンジの一部として使用します。
それぞれの楽器が自由にクリシェを使ったりすれば、例えば「Am△7」と「Am7」が同時に鳴ってしまう可能性もあるわけです。
しかし今回「勝手に」とタイトルにつけたのは、アレンジ上のコードとは関係なく、ソリストだけが勝手にクリシェ的フレーズを弾いてしまおうというものだからです。
後ろで鳴っているコードは無視してしまいます。
そうすることにより例えば「Dorian」や「Aeorian」など、1つのスケールだけを弾いているのとはまた違ったサウンドが出せるのです。
では実際にジャズミュージシャン達が使ったフレーズを見てみましょう。
All Of You/Herbie Hancock
「Fm7」でのフレーズがクリシェ的なものになっています。
3連符の4つどりなのでちょっとややこしく見えるかもしれませんが、とてもシンプルなフレーズです。
このように「Fm-Fm△7-Fm7」という動きになっていて、「ファ-ミ-♭ミ」(07-2の譜面)というラインがあります。
「B♭7」の「レ」まで綺麗に半音で下がっていて、とてもいいフレーズだと思います。
Bye Bye Blackbird/Red Garland
Red Garlandはこのようなフレーズをよく使います。
これは1小節めの「Gm7」から2小節めの1、2拍めにかけて、クリシェを使ったフレーズになっています。
フレーズにコードをつけるならこのようになります。
「ソ-#ファ-ファ-ミ」という動きがあるのがわかると思います。
しかしこれも元のコードはあくまでも「Gm7」です。
その中でアドリブのフレーズだけがクリシェを作っています。
On A Clear Day/Wynton Kelly
これは3小節めの「Am7」でクリシェ的なフレーズが使われています。
このフレーズはリズムこそ少し違いますが、コードにたいして使われている音は先ほどのRed Garlandのものと全く同じです。
ようするにこれは誰でも使う定番フレーズということです。
このまま使っても真似をしたなどと言われるようなものではないので、是非自分のアドリブにも使ってみてください。
Bye Bye Blackbird/Keith Jarrett
これも「Gm7」の中で「ソ-#ファ-ファ-ミ」という動きがあるのがわかると思いますが、その動きがリズム的にはちょっと難しいかもしれません。
The Shadow Of Your Smile/Oscar Peterson
これはこれまでのものと違ってドミナント7thである「B7」で使われています。
「B7」にたいする「Root-△7th-7th」という動きです。
この【△7】の「#ラ」は「B7」にたいしてアボイドノートですが、このぐらいの音価で、しかもクリシェ的な使い方なら全く気にする必要はありません。
使用例
では実際に使ってみましょう。
「C△7」に使ってみました。
「△7thコード」にはこの「Root-△7th-6th-5th」がよく使われます。
同じく「C△7」に使ってみましたが、これは先ほどの例とは違って「Key=G」における「Ⅳ△7」です。
本来使うべきリディアンにはない【#5】の音を使っています。
マイナーコードでは1番よく使われる【Root】から半音ずつ下がるクリシェを使ってみました。
あくまでもコードはただの「Am」です。
ドミナント7thである「G7」に使ってみました。
これも本来使われるミクソリディアンには含まれない【△7】の音を使っています。
さいごに
というわけで今回は、アドリブの中にクリシェ的フレーズを使うというテクニックを紹介しました。
元のコードとは関係なく、勝手にクリシェ的な動きを入れるというものです。
まさにTipsといった感じのほんのちょっとしたことなのですが、アドリブに少しの彩りを加えることができます。
スケールだけにとらわれることなく、ぜひ試してみてください。
今回の解説動画はこちら↓
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