わちゃぴの音楽教室

初心者向けの作曲方法を紹介しています♪

編曲 #30【単音のメロディーをゴージャスに!】Red Garlandの簡単ブロックコード奏法【YouTube連動】

今回はRed Garlandなどがよくやる「簡単ブロックコード奏法」を紹介しましょう。

 

 

はじめに

Red Garland1984年に亡くなるまで多くの名盤を残し、Miles Davisのアルバムにも参加するなどした名ピアニストです。

ブロックコードでの演奏も多く、とてもぶ厚いハーモニーを聴かせてくれます。

サンプルを作ったので聴いてみてください。

 

これはMiles Davisのアルバムでの『Bye Bye Blackbird』という曲の中のアドリブ部分です。

とても重厚でかっこいい演奏です。

譜面を見るととても難しそうですが、実はそれほど複雑なことはやっていません。

コードネームはテンションは表記せず、元の曲のコードにしてあります。

 

右手の分析

まず右手を単音のメロディーだけにしてみましょう。

1〜3小節めは「Fのマイナーペンタトニック」と【♭5】を使ったブルースフレーズです。

「Gm7」ではAvoidNoteである「♭ラ」が出てきますが、ここはコードを無視して1〜3小節めにかけてただ「Fのブルース」を弾いたという解釈でいいと思います。

それ以外はコードに対応するスケールの音しか使っていません。

「A♭m7」にたいして「♭レ」は【11th】の音です。

 

まずこのフレーズをオクターブにします。

 

次に、間にメロディーの音にたいする【5th】を加えます。

その音がキーと外れる音であってもおかまいなしです。

4小節めの「C7」では「♮シ」がありますが、これはAvoid Noteですし、左手ともぶつかっています。

1小節と3小節めの「F」ではちょっと多めに音を加え、「F6」のボイシングになっています。

4小節めの「Gm7」でも「F」のときと同じ「F6」のボイシングを弾いていますが、これは「Gm7」から見ると「Gm7(9,11)」ということになります。

 

1小節めから7小節めまではメロディーにたいして【5th】の音を加えてありますが、8小節めの「D7」だけは【5th】ではなく【♭5th】、ようするに「完全5度」ではなく「減5度」を加えています。

 

たとえば

「F」ではメロディーの「ド」にたいして【5th】の「ソ」

「C7」ではメロディーの「♭ミ」にたいして【5th】の「♭シ」

「Gm7」ではメロディーの「レ」にたいして【5th】の「ラ」

を加えています。

 

「D7」ではメロディーの「#ファ」にたいして【♭5th】の「ド」

「ラ」にたいして【♭5th】の「♭ミ」

「ド」にたいして【♭5th】の「#ファ」

が加えられているということです。

 

しかし基本的にはメロディーをオクターブで挟んで、間に【5th】を入れるだけのシンプルなボイシングです。

たとえばこれを「シアリング奏法」っぽくやるとこのようになります。

 

そのキーにない音はディミニッシュでボイシングしたりと、かなり複雑になってきます。

左手はメロディーのオクターブ下を弾いています。

5音のボイシングになるのでかなりぶ厚いサウンドです。

 

※シアリング奏法についてはこちらで詳しく解説しています↓

 

これに比べるとRed Garlandの奏法はそれほど理論的に考えなくてもいいので、ずいぶん楽だと思います。

 

左手の分析

ではRed Garlandの左手を見てみましょう。

 

1つのコードにたいして1つのボイシングになっています。

ようするに、コードが変わるまでずっと同じ音を押さえているだけということです。

 

それぞれのコードにたいしてどういう音を弾いているか見てみましょう。

 

テンションが入っているぶん【Root】や【5th】が省略されています。

「C7」と「D7」にだけオルタードテンションが入っています。

4小節め2拍めと、7小節めの「Gm7」と、6小節めの「A♭m7」は、テンションは入っていません。

 

そして右手とまったく同じリズムを弾いています。

右手と左手を合わせると常に7音、多いところでは9音も同時に弾いているので、ぶ厚い音になるのも当然ですね。

 

もっと簡単にするなら、このように右手をオクターブにしてしまうのもいいでしょう。

これでも左手の4音が常に右手と同時に鳴るので、けっこうぶ厚く聞こえると思います。

 

応用例

では他のメロディーでやってみましょう。

 

このようなメロディーでやってみます。

 

それをまずオクターブにします。

 

そして【5th】を間にはさみます。

ところどころ【♭5th】をはさんでいますが、そのほうが自然なサウンドだと思ったからです。

たとえば「C△7」の小節で「シ」がありますが、その【5th】は「#ファ」です。

ここでは「#ファ」より「♮ファ」のほうが自然に聞こえます。

 

そしてこれに左手でコードを加えます。

リズムは右手と全く同じにします。

「C△7」「Dm7」はそのままのコードですが、「E7」には【♭9th】、「Am」には【9th】を入れてみました。

 

番外編

番外編としてもう一つRed Garlandの『My Romance』という曲を紹介します。

最初の部分だけサンプルを作ってみました。

これに関しては詳しくは解説しませんが、一例として見てください。

 

今回の例とは右手のボイシングがかなり違いますが、左手は同じような感じです。

同じコードのときは同じボイシングで通しています。

ただ4小節めと8小節めの「Fm7」だけは途中で転回しています。

そしてリズムは右手とほぼ同じです。

右手はメロディーをオクターブで弾き、その間に2音足した4声のコードを弾いています。

テンションもかなり入っているので、ぜひ分析してみてください。

このように右手が動いているときでも、左手はその小節のコードだけを右手と同じリズムで弾いていればよいという例です。

 

まとめ

簡単にまとめてみましょう。

 

 

1.コードにたいしてメロディーを作る

2.メロディーをオクターブにする

3.オクターブの間に【5th】をはさむ

 

 

4.左手で右手のフレーズと同じリズムでコードを弾く

 

かなりシンプルでわかりやすいのではないでしょうか。

 

さいごに

というわけで今回は、Red Garlandなどがよくやる「簡単ブロックコード奏法」について紹介しました。

シアリング奏法などと比べると理論的にもわりと簡単なので、編曲はもちろんのこと、アドリブにもじゅうぶん使えると思います。

バラードのテーマを弾くときなどもゴージャスでいい感じになるのでおすすめです!

 

今回の解説動画はこちら↓

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