「天才たちのワンフレーズ」シリーズ、今回はRichard Teeのフレーズを紹介します。
今回のフレーズ
ではまず今回のフレーズを聞いてみてください。
これはRichard TeeとSteve Gaddという名手2人による『Take The A Train』という曲でのフレーズです。
今回はこの中から6小節めのフレーズを紹介しましょう。
テーマでの左手のフレーズも有名で、「音楽よもやま話 驚異の左手」でも紹介していますのでぜひご覧下さい。
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フレーズ分析
ではフレーズを細かく見ていきましょう。
この曲は「Key=C」ですが、その中のドミナントである「G7」でのフレーズです。
しかし【3rd】の「シ」の音は一度も出てきませんし、いろんなテンションが使われているので、1小節を1つのコードで表すのはちょっと無理があります。
しかし左手は「ソ」を弾いていますので今回は便宜上、「G7」とします。
このようなフレーズです。
8分音符でコードがどんどん変わっていくようなフレーズになっています。
トップノートだけ取り出すとこのようになります。
「C」のブルースっぽいフレーズになっています。
今回のフレーズは、まずこのトップノートのメロディーを考えた方が簡単でしょう。
そのとき「G7」で考えるのではなく、トニックである「C」のブルースフレーズと考えるほうが見つけやすいと思います。
「Cメジャーペントニック」と「Cマイナーペンタトニック」を合わせたような音使いになっています。
これはブルースなどでよく使われます。
ブルージーな曲ではコードと関係なく、そのキーのブルースフレーズが使われることがよくありますが、今回のフレーズもそのような解釈でいいと思います。
しかしそう言ってしまうと説明にならないので、いちおう「G7」でのフレーズということでも説明していきましょう。
さて、今回のフレーズはこのひとつひとつの音を全てトライアドのコードにしたものです。
ひとつひとつにコードネームをつけるならこうなります。
「E♭」「Dm」「Cm」「F」の4つが転回されながら使われていることがわかります。
では、このコードひとつひとつの構成音が「G7」にたいしてどのような音になっているのか見てみましょう。
【Root】のほかに【#9th】【♭13th】などの「オルタードテンション」と、「ナチュラルテンション」である【9th】、そして【4th】【5th】【7th】が使われています。
これらの音を順番に並べるとこのようになります。
これは「Gエオリアン」です。
「Gエオリアン」は「Gm」に使うモードです。
しかしここで「Gm」を使うというのは不自然ですし、マイナーのフレーズには聞こえないと思います。
たまたま使っている音が「Gエオリアン」になったというだけで、あくまでも「G7」と解釈するほうがよいでしょう。
「G7」に使うスケールである「ミクソリディアン」と「オルタードスケール」がミックスして使われていると解釈するのが自然だと思います。
ただこのフレーズを応用するときには、「G7」のとき「Gエオリアン」上のトライアドを弾くと覚えておくのも簡単でいいかもしれません。
このフレーズはRichard Teeの手クセのようで、この曲の中で何度か使われています。
このように使われていたりもします。
このフレーズも「G7」で使われている音は最初に紹介したものと同じです。
他のキーで考える
他のキーでも使えないと意味がないので、次は「C7」で考えてみます。
「C7」ということはトニックは「F」です。
まず「Fメジャーペントニック」と「Fマイナーペンタトニック」からできているトップノートのフレーズを思い浮かべます。
それほどややこしいフレーズではないので丸覚えしてしまいましょう。
ヒントとしては、そのキーのトニックの【♭3rd】から入ると思っておくのがいいと思います。
「C7」のフレーズを考える場合は、トニックの「F」の【♭3rd】である「♭ラ」から入ります。
そしてそれぞれの音をトライアドのコードでハーモナイズしていきます。
ここでも考え方は2つあります。
トニックの「F」から考えるか、ここでのコード「C7」から考えるかです。
トップノートのフレーズを考えるときに「F」のペンタトニックを使ったので、ここでも「F」で考えてみましょう。
トニックが「F」ということは「Key=F」ということなので、ダイアトニックコードの度数で考えるとこのようになります。
最初の【♭Ⅲ - Ⅱ - Ⅰm】だけ覚えれば、あとは【Ⅳ - ♭Ⅲ】の繰り返しなので、それほど難しくはないと思います。
応用例
では応用例を見てみましょう。
音は今回のフレーズそのままですが、リズムを少し変えてみました。
リズムを変えるだけでもかなりのバリエーションが得られるので、いろいろ試してみてください。
4-beatにしてみました。
今回のフレーズで使われていたトライアドを分解しています。
これは2音と1音に分解しましたが、1音ずつのアルペジオにしてもいいと思います。
まとめ
というわけで今回はRichard Teeのワンフレーズを紹介しました。
難しく説明してきましたが、最後にすごく簡単に言ってしまうと・・・
「コードに関係なくそのキーのブルースフレーズを弾き、それをコードにする」
ということです。
今回のフレーズでいうと「Key=C」で、コードは「G7」です。
しかし「G7」ということは考えずに、ただ「C」のブルースフレーズを弾きます。
そしてその1音1音を「Cメジャーペントニック」と「Cマイナーペンタトニック」に含まれる音で作ったコードでハーモナイズします。
もちろん「G7」から考えてもかまいません。
そのときは「Gミクソリディアン」と「Gオルタードスケール」をミックスしたものから考えることになります。
考え方はいろいろあるので、自分の1番わかりやすい方法を見つけるのがいいと思います。
今回のフレーズはブルージーな曲にはすごく合いますので、ぜひ試してみてください。
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