「天才たちのワンフレーズ」シリーズ、今回はプログレの代表的なキーボーディスト、Keith Emersonのフレーズを紹介します。
今回のフレーズ
ではまず今回のフレーズを聞いてみてください。
これは『Blues Variation』でのオルガンのアドリブの冒頭部分です。
今回解説したいのは、この中の1小節めから4小節めにかけての「Cm7」におけるフレーズです。
この曲はいわゆるマイナーブルースなのですが、このフレーズはブルース以外にも使えます。
フレーズ分析
ではここからはわかりやすいように、オルガンではなくピアノの音にして見ていきたいと思います。
和音になっているところは全て「#ファ」と「ラ」です。
まずこの和音の「ラ」を消して見てみましょう。
最初に聴いたものに比べると、意外と普通のフレーズに聞こえます。
使われている音はこの6つです。
これはマイナーペントニックにブルーノートである【♭5th】を加えたものです。
ブルースではよくある音使いなので、普通に聞こえるのも当然です。
このフレーズがちょっと変わったサウンドに聞こえたのは、和音になっている「ラ」の音があるからです。
この「ラ」は「Cm7」にたいして【6th】の音です。
「Cm7」のときに「#ファ」と「ラ」を同時に弾くと「Cdim7」っぽいサウンドになります。
「Cdim7」の時に使うスケールは「Cディミニッシュスケール」です。
しかしその「Cディミニッシュスケール」の中には今回使われている「Cマイナーペントニック + ♭5」の中にある「ソ」と「♭シ」がありません。
使われている音を並べるとこのようになります。
これだけではどのスケールにも当てはまりません。
「Cドリアン」にブルーノートの【♭5th】である「♭ソ」を加えたと考えるのが簡単ではないでしょうか。
このフレーズには「レ」は出てきませんが、「ド」と「♭ミ」の間に音を1つ入れなければスケールにはならないので、「レ」を入れてみました。
もしくは「Cマイナーペントニック」に【♭5th】の「♭ソ」と【6th】の「ラ」を加えると考えてもいいですが、2つ足すというのはちょっとめんどうかもしれません。
しかし、Keith Emersonがここまでスケールなどを意識して弾いたとは思えません。
「Cドリアン」は「Key=Gm」のサブドミナントですが、この曲はあくまでも「Key=Cm」です。
トニックマイナーに「ドリアン」を使うというのはちょっと考えにくいです。
ペンタトニックはというと、その後のアドリブを聴いてみてもわりとペンタトニック的なアプローチは少ないように思えます。
きっとそんなに深く考えず、「感覚だけで弾いたらたまたまこうなった」という感じなのではないでしょうか。
どっちにしろ本人にしかわからないことです。
まとめ
ではまとめです。
「Key=Am」で見てみましょう。
今回のフレーズはトニックマイナーに使うフレーズです。
「Key=Am」ではトニックである「Am7」に使うということになります。
まず「Aマイナーペンタトニック」に【♭5th】である「♭ミ」を加えたものを考えます。
そして「♭ミ」を弾くときに、かならず上に【6th】である「ラ」を加えると思えば簡単でしょう。
そのとき「Adim7」っぽい響きがしますが、あくまでもトニックマイナー上でのアドリブだと思っておきましょう。
今回のフレーズは、【♭5th】を弾くときはかならず【6th】を同時に弾いているので、このように覚えるのもいいかもしれません。
応用例
ではさっそく実際に他の曲に使ってみましょう。
まずは「Key=Cm」の【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】です。
12の音と譜面
トニックである「Cm」のときに【♭5th】である「#ファ」と【6th】である「ラ」を和音で弾いています。
3連符の4つどりを使った、ちょっとトリッキーなフレーズにしてみました。
これは「Key=Am」でトニックの「Am7」が2小節続くフレーズです。
これも【♭5th】である「♭ミ」と【6th】である「#ファ」を和音にしてあります。
さいごに
というわけで今回は、Keith Emersonのワンフレーズを紹介しました。
トニックマイナーのときにいつでも使えます。
かなり使いやすいフレーズだと思いますので、ぜひ試してみてください!
今回の解説動画はこちら↓
Synthogy ( シンソジー ) Ivory II Italian Grand◆【安心の国内正規代理店取扱い商品】【台数限定特価 】 ◆【 ピアノ 音源 】 価格:17,600円 |