わちゃぴの音楽教室

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【天才たちのワンフレーズ】Chick Corea Vol.3【YouTube連動】

「天才たちのワンフレーズ」シリーズ、今回はChick Corea Vol.3です。

 

 

今回のフレーズ

ではまず今回のフレーズを聞いてみてください。

 

これは『Vulcan Worlds』という曲でのシンセソロです。

「Em7」ワンコードでのアドリブになっています。

ワンコードにもかかわらずどんどんカラーが変化していく流れが面白いので、今回はこの4小節を全部解説したいと思います。

 

フレーズ分析

このアドリブは「Em7」ワンコードです。

トニックマイナーではエオリアンやジャズマイナーなどを使うことが多いのですが、チックは全体的に「Eドリアン」でソロをとっています。

 

特徴的なのは【6th】の「#ド」です。

 

では1小節めを見てみましょう。

 

「Eドリアン」の音だけを使っているのですが、その中でも5つの音だけを使っています。

 

この5つの音を並べると「Aペンタトニック」になります。

「Aペンタトニック」が「Em7」にたいしてどのような音になっているのか見てみましょう。

 

【6th】【9th】【11th】が含まれていながら、コードの重要な音である【3rd】が含まれていないので、独特なカラーがあります。

 

※このようなペンタトニックの使い方はこちらの動画でもくわしく解説していますので、ぜひ合わせてごらんください。

 

では2小節めです。

 

ここが今回のフレーズの面白いところです。

 

最初は「Aペンタトニック」から入るのですが、途中で「B♭ペンタトニック」でアウトして、最後はクロマチックで終わっています。

 

「B♭ペンタトニック」が「Em7」にたいしてどのような音になっているのか見てみましょう。

 

オルタードテンションがたくさん入っています。

 

これはすべて「Eオルタードスケール」に含まれる音です。

しかし「Em7」にたいしてはアボイドノートばかりということになります。

 

解釈としては・・・

1.「Em7」を「E7」にリハーモナイズ

2.「E7」にたいして「Eオルタードスケール」を適用

3.「Eオルタードスケール」の中から5つの音を選んで「B♭ペンタトニック」を作る

ということになります。

 

この流れを一度理解してしまえば、こんな回りくどく考える必要はありません。

「Em7」で「B♭ペンタトニック」を使えばかっこいいと丸覚えしてしまえばいいでしょう。

 

またはこのような考え方もあります。

 

「E」と「B♭」はちょうどウラの関係です。

 

 

裏コードというのは基本的にドミナント7thコードのときに使うものですが、今回のフレーズの作り方としては「m7」のときにウラのメジャーペンタトニックを使うというふうに考えてもよいでしょう。

 

19の譜面

たとえば「Cm7」のRootである「C」のウラは「G♭」です。

よって「Cm7」に「G♭ペンタトニック」を使うということです。

 

4拍めは3小節めの最初の音である「#レ」に向かって「シ」からクロマチックで上行しているだけです。

 

では3小節めを見てみましょう。

 

ここではほぼ「Dペンタトニック」が使用されています。

「Dペンタトニック」は「Em7」にたいしてどのような音になっているのでしょう。

 

これも【3rd】がないので少し浮遊感のあるサウンドになります。

 

細かく分析してみましょう。

最初の「#レ」の音は次の「ミ」へのクロマチックアプローチです。

そして「ミ-ソ-ミ」は「Em7」の【Root-3rd-Root】なので、ごく普通の音使いです。

「Emペンタトニック」を使ったという解釈でもよいでしょう。

そして2拍めから「Dペンタトニック」になります。

 

08の音と譜面

4小節めは音が2つしかないので、スケールで分析する必要はないでしょう。

最初に【9th】で2拍と、長めにテンションを延ばしてから【Root】に解決するので「緊張と緩和」を強く感じます。

 

まとめ

今回のフレーズを簡単にまとめてみましょう。

 

1つのコードにたいして3種類のペンタトニックを使います。

 

「Em7」にたいして

【4th】からのペンタトニックである「Aペンタトニック」

【♭5th】からのペンタトニックである「B♭ペンタトニック」

【7th】からのペンタトニックである「Dペンタトニック」

ということです。

 

「Am7」ではこうなります。

【4th】からのペンタトニックである「Dペンタトニック」

【♭5th】からのペンタトニックである「E♭ペンタトニック」

【7th】からのペンタトニックである「Gペンタトニック」

 

アウトサイドのペンタトニックはとてもかっこいいのですが、やはりインサイドとのバランスが重要となります。

アウトしっぱなしではただ間違っているようにしか聞こえない可能性があるので、アウトしたあとは一度インに戻ると思っていたほうがフレーズは作りやすいでしょう。

 

応用例

ではさっそく実際に他の曲に使ってみましょう。

まずは今回のフレーズと同じ「Em7」ワンコードです。

 

4-beatにしてみました。

「Aペンタトニック」「B♭ペンタトニック」「Dペンタトニック」を順番に使っています。

 

ではもう1つ見てください。

 

これは「Am7」ワンコードです。

今回のフレーズより、もっと細かくペンタトニックが変わっていくように作ってみました。

Gペンタトニック」も「Dペンタトニック」も【3rd】がないので浮遊感があり、それだけでもなかなか面白いサウンドなのですが、やはり「E♭ペンタトニック」を使ったときのハっとするようなアウト感が面白いと思います。

 

さいごに

というわけで今回はChick Coreaの『Vulcan Worlds』でのワンフレーズを紹介しました。

チックはペンタトニックの使い方が素晴らしく、とても参考になると思います。

アウトサイドのフレーズをぜひ試してみてください。

 

今回の解説動画はこちら↓

 

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