かっこいいアドリブのための「モチーフの展開」について3回に分けて解説します。
Part1とPart2で実際に素晴らしいピアニスト達が弾いたフレーズを紹介し、Part3で実践編ということで実際にモチーフを展開してアドリブソロを作ってみたいと思います。
魅力的なフレーズをたくさん集めましたのでぜひ最後までご覧ください。
というわけで今回はPart1です。
- はじめに
- Four/Herbie Hancock
- Samba Song/Chick Corea
- If I Should Lose You/Keith Jarrett
- Falling In Love With You/Keith Jarrett
- さいごに
はじめに
モチーフとは、音楽の中の最小単位のようなものです。
その短いモチーフを発展させて曲にしていくという手法があります。
「モチーフの展開」という説明の時に、必ずと言っていいほど例に挙げられるのが、かの有名なベートーベンの『運命』です。
最初の「ソソソミー」というモチーフが、音程やリズムを微妙に変えながら発展していきます。
『枯葉』なども最初の4つの音がリズムはそのままに、音程だけを変えていきます。
これもモチーフの展開から作られた曲と言ってもよいでしょう。
この「モチーフの展開」は、アドリブにもとても効果的です。
今回は、素晴らしいピアニスト達が実際に弾いたフレーズを例に挙げて解説していきましょう。
Four/Herbie Hancock
ではさっそく見ていきましょう。
※今回はモチーフの展開に重点を置いているので1つずつの音については解説しませんが、コードにたいしてどのような音が使われているのかも考えながら見ていただくといいと思います。
これはHerbie Hancockのフレーズです。
ハービーはモチーフの展開から組み立てるアドリブがとてもかっこよく、いつも素晴らしいソロを聴かせてくれます。
まずこのように「タタタン」というようなリズムの、とてもシンプルなモチーフを展開していきます。
そして5小節めからモチーフが変わります。
最初のモチーフとはリズムが逆になり、「タンタタ」という感じです。
そしてそのモチーフを、コードに合わせて音を変えていきます。
そして9小節めから11小節めにかけてリズムをずらしていくのですが、これがとてもかっこいいと思います。
モチーフの展開とは、このように同じリズム、同じ音型をずっと保たなければいけないわけではありません。
リズムや音型を少しずつ変えながら、それをどんどん発展させていくと面白いソロができます。
Samba Song/Chick Corea
次はChick Coreaのフレーズです。
コードは2つしかありませんが、シンプルなモチーフが次々と展開されていきます。
このようなモチーフが音を変えながら展開されていきますが、「上がって下がる」という音型はずっと同じです。
3小節めの3拍めは1〜2小節めとリズムは同じですが、音型が変わっています。
このような、音型だけを変えるという展開のしかたもあるということです。
If I Should Lose You/Keith Jarrett
Keith Jarrettもまた、モチーフを展開させるフレーズが多く見られます。
2小節めのモチーフが少しずつ形を変えながら展開されていきます。
2小節めの最初の音は1小節めからシンコペーションされていますが、とりあえずそこは置いておきましょう。
2小節めから3小節めは、コードに合わせて音だけが変わります。
3小節めから4小節めは、下行していくという音型はそのままにリズムだけが変わります。
4小節めから5小節めは、リズムは同じまま音型が少し変わります。
5小節めから6小節めは、下行し上行するという音型はそのままにリズムだけが変わります。
2小節めのなんでもないフレーズがちょっとずつ変化していき、結果的にすごくおしゃれなアドリブになっています。
2小節めだけを見ればごく普通で、お世辞にもかっこいいとは言えないような単純なモチーフが見事に展開され、すごくキースっぽいソロになっているのはさすがですね。
Falling In Love With You/Keith Jarrett
もう1つKeith Jarrettのフレーズを見てみましょう。
3連符が多く使われています。
この印をつけたところは全部同じ音型になっています。
これは半音を連続して3つ上行するモチーフです。
上行してからのフレーズを少しずつ変化させながら展開していきます。
4小節めアタマは音型が全然違いますが、リズムが同じなので同じモチーフが展開されているという風に聞こえるはずです。
5小節めの3〜4拍めも同じモチーフと言えるでしょう。
さいごに
Part1ということで今回は4つのアドリブソロを紹介しました。
単純なモチーフも展開させることによってとてもかっこいいソロを作ることができます。
ぜひモチーフの展開を使ったアドリブを試してみてください。
Part2でも天才ピアニスト達のかっこいいアドリブをたくさん紹介するのでぜひご覧下さい。
今回の解説動画はこちら↓
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