「天才たちのワンフレーズ」シリーズ、今回はプログレの代表的なキーボーディスト、Keith Emersonのフレーズを紹介します。
Keith Emerson Vol.1はこちら↓
今回のフレーズ
ではまず今回のフレーズを聞いてみてください。
これは『Tank』でのシンセソロです。
今回解説したいのは、この中の4小節めから5小節めにかけてのアウトフレーズです。
ワンコードのアドリブに使うとかっこいいので、ぜひマスターしてみてください。
フレーズ分析
ではここからはわかりやすいように、シンセではなくピアノの音にして見ていきたいと思います。
このソロ部分はずっとこのようなリフが後ろで演奏されています。
ベースは「Fm」のワンコードなのですが、右手に少し変わった音が入っています。
右手はすべて「Perfect 4th Build」ですが、各小節の最後に「♭ラ-♭レ-♭ソ」というコードがあります。
これは「Fm」にたいしてのアボイドである「♭レ」と「♭ソ」が含まれるので、このコードは「Fm」という解釈はできません。
しかし、エマーソンは全体的にこのようなスケールでソロをとっています。
このことからわかるように、リフに「Fm」とは言えないコードが含まれているにもかかわらず、「Fm」のワンコードと解釈してアドリブをしているということになるでしょう。
では、4小節めから5小節めを見てみましょう。
調号を「Key=C」にして臨時記号で表しました。
この16分音符は3つずつ、コードの分散を弾いています。
弾いているコードはほぼ「オーギュメント」です。
「A6」だけは違いますが、これはたぶんエマーソンがミスしただけなのではないでしょうか。
ここだけ「6thコード」にする意味が全くないからです。
使われている「augコード」のルートを並べると、「Fリディアン」になっていることがわかります。
「Fリディアン」を想定して、その1つずつの音から「augコード」を作り、それを分散させたと考えると簡単なのではないでしょうか。
先ほど言ったように、「A」だけは「augコード」になっていませんが、そこは考えなくて大丈夫です。
スケールでいうと
「Faug、Gaug、Baug」は「Fホールトーンスケール」
「Caug、Daug、Eaug」は「Cホールトーンスケール」
ということになります。
しかし今回のフレーズは、スケールを想定したというよりは「augコード」の分散を連続させたと考えるほうがいいと思います。
まとめ
ではまとめです。
「Fm」ワンコードの場合です。
1.「Fリディアン」を想定する。
2.それぞれの音から「augコード」を作る。
3.それを分散させる。
ということになります。
応用例
ではさっそく実際に他の曲に使ってみましょう。
まずは「Key=Am」ワンコードでのソロです。
2小節めから「aug」の分散を使いました。
コードは「Am」ですが、「Aリディアン」上の音を「augコード」にしています。
かなりアウト感が強いフレーズです。
今回のフレーズとはちょっと違って、「マイナーコード」ではなく「7thコード」にしてみました。
リズムも4-beatにしてあります。
これも「Cリディアン」上の音を「aug」にしてあります。
「Eaug」からは分散を下行させてみました。
さいごに
というわけで今回は、Keith Emersonのワンフレーズを紹介しました。
かなりアウトサイドのフレーズですが、ワンコードのアドリブで変化をつけたいときには面白い効果を発揮するので、ぜひお試し下さい。
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