「ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ」Ⅱ-ⅤのPart15です。
今回はBenny Greenのフレーズを紹介しましょう。
はじめに
このようなフレーズです。
かなり速いテンポなのであっという間に過ぎ去ってしまいますが、とてもセンスのいいフレーズだと思います。
これは「Key=Gm」の【 Ⅱ-Ⅴ 】です。
マイナーキーなので【 Ⅱ 】が「m7(♭5)」になっています。
わかりやすく「Key=Am」に移調して見てみましょう。
このようになります。
フレーズの分析
ではフレーズを細かく見ていきましょう。
まずは1小節めです。
この「Bm7(♭5)」は「Key=Am」の【 Ⅱ 】ですから「Bロクリアン」を使います。
それぞれの音がコードにたいしてどのような音になっているのか見てみます。
まず【Root】の「シ」から入って、「Bロクリアンスケール」を「1-2-3-2-1」と上がって下がったあと、さらに【7th】の「ラ」まで下がります。
そのあと【6th-Root】とありますが、【6th】の「#ソ」は「Bロクリアン」には含まれていません。
これは、1小節めの4拍めからちょっと早めに「E7」のフレーズを弾いたと解釈するのが自然です。
フレーズが先に次のコードのスケールを弾くというのは、Jazzのアドリブではよくあることです。
ではそれをふまえて2小節めを見てみましょう。
1小節めの4拍めから「E7」として度数を見ると、このようになっています。
【3rd-5th-7th-♭9th】と「E7(♭9)」の分散を弾いたあと、また【7th】を弾きます。
そのあと、度数で言うと【△7th】の音が出てきます。
しかしこれはこのように解釈します。
【△7th】の「#レ」と【#11th】の「#ラ」は、次の音に半音で進行するためのクロマチックアプローチです。
というわけでこの「#レ」と「#ラ」は、テンションとしては解釈しないほうがわかりやすいでしょう。
そして最後は【7th】の「レ」で終わります。
この「E7」でのスケールはオルタードスケールやコンディミと解釈することもできますが、ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウと考えるのが簡単でしょう。
では3小節めです。
これもとてもシンプルなフレーズです。
【3rd】を弾いたあと、【Root】でオクターブトレモロをするだけです。
スケールで考える必要はありません。
トレモロのスピードは自分の好みでいいと思います。
速めと遅めでやってみましょう。
かなり雰囲気が変わりますね。
この真ん中ぐらいのスピードが一般的かもしれません。
他のキーで見てみよう
では他のキーでも見てみましょう。
まず【Root】の「ミ」から入って、「Eロクリアンスケール」を「1-2-3-2-1」と上がって下がったあと、さらに【7th】の「レ」まで下がります。
1小節めの4拍めから「A7」の【3rd-5th-7th-♭9th】と「A7(♭9)」の分散を弾いたあと、また【7th】を弾きます。
そのあとは【Root】に向かって半音下からアプローチ、そのあと【5th】に向かって半音下からアプローチします。
最後に【7th】の「ソ」を弾いたあと「Dm7」の【3rd】を弾き、【Root】でオクターブトレモロをして終わりです。
覚えるための練習法
全てのキーで覚えるのはなかなか大変なので【 Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ 】を連続させ練習してみましょう。
【D-G-C-F・・・】と5度下に進んでいきますが、これを【Dm7(♭5)-G7-Cm7】にして、そこから解決した【 Ⅰ 】である「Cm7」を弾いたあと、ルートはそのままに「Cm7(♭5)」を弾き、それを新たな【 Ⅱ 】と考え、【Cm7(♭5)-F7-B♭m7】という 【 Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ 】を作りつなげていきます。
サークルオブ5thを【Dm7(♭5)-G7】から始まり1周するパターンと、【Gm7(♭5)- C7】から始まり1周するパターンの2種類で12個全ての【 Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ 】が出てきます。
4小節めは音がないので、次の準備をしやすいと思います。
今回はオクターブトレモロがあり、完全にピアノのフレーズといった感じなのでピアノトリオにしてあります。
※カラオケ音源とMIDIデータを貼っておきますので、ご自由にダウンロードしてお使いください。
それではつなげて弾いてみましょう。
EX.1
まずは「Dm7(♭5)」から始まるパターンです。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
EX.2
次は「Gm7(♭5)」から始まるパターンです。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
バリエーション
慣れてきたら音やリズムを変えてみましょう。
バリエーション1
1小節めの3拍めから「E7」のフレーズにしました。
2小節めはクロマチックアプローチをたくさん使っています。
バリエーション2
ではもう1つ作ってみましょう。
ボサノバ系のリズムにしてみました。
これは今回のフレーズと同じで、1小節めの4拍めから「E7」のフレーズになっています。
2小節めはまたクロマチックアプローチを多めに使ってみました。
コードトーンから半音下がって、また半音上がってコードトーンに解決するというクロマチックアプローチを使ってみました。
さいごに
というわけで今回はBenny Greenが弾いたマイナーキーでの Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ フレーズを紹介しました。
シンプルながらとても小粋でおしゃれなフレーズだと思います。
オクターブトレモロをやめて、単音のロングトーンにすれば楽器を問わず使えます。
とても取り入れやすいので、ぜひ使ってみてくださいね。
今回の解説動画はこちら↓
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