わちゃぴの音楽教室

初心者向けの作曲方法を紹介しています♪

【Quick Lesson】ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ【Ⅱ-Ⅴ・Part16】Kenny Barron 01【YouTube連動】

「ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ」Ⅱ-ⅤのPart16です。

今回はKenny Barronのフレーズを紹介しましょう。

 

 

はじめに

このようなフレーズです。

 

音使いのセンスが素晴らしく、とてもかっこいいと思います。

 

これは「Key=Dm」の【 Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ 】です。

マイナーキーなので【 Ⅱ 】が「m7(♭5)」になっています。

3小節めのアタマの音は「レ」と「ミ」が同時に鳴っていますが、たぶん単なるミストーンだと思われます。

4小節めのフレーズを見てみると、ここは「ミ」と弾きたかったのではないかと推測します。

ということで解説は「ミ」の単音とします。

 

わかりやすく「Key=Am」に移調して見てみましょう。

 

このようになります。

 

フレーズの分析

ではフレーズを細かく見ていきましょう。

 

まずは1小節めです。

 

この「Bm7(♭5)」は「Key=Am」の【 Ⅱ 】ですから、一般的には「Bロクリアン」を使うのですが、このフレーズではロクリアンの中にはない【9th】が使われています。

 

とうことで、ここでのスケールはロクリアンではなく「ロクリアン#2」ということになります。

 

※ロクリアン#2についてはこちらの記事でくわしく解説しています。

 

では、それぞれの音がコードにたいしてどのような音になっているのか見てみます。

 

まず【11th】の「ミ」から入って、Bロクリアン#2を「11-9-7-11」と下がり、またオクターブ上の【11th】を弾きます。

 

これは「Aのトライアド」になっています。

元のコード「Bm7(♭5)」の【Root】である「B」の全音下の「A」のトライアドです。

「ロクリアン#2を使う場合は全音下のトライアドが使える」と覚えておくとよいでしょう。

 

オクターブ上の【11th】を弾いたあと【3rd】の「レ」を弾きます。

そのあとオクターブで「ソ」を弾きますが、これは次のコードである「E7」の【#9th】がシンコペーションしているものと解釈するほうがわかりやすいでしょう。

 

では、それをふまえて2小節めを見てみましょう。

 

1小節めの4拍めウラから【#9th】がオクターブで延びています。

そのあと【♭9th-#9th】と弾きます。

 

スケールは「オルタードスケール」と解釈するのがいいと思います。

 

そのあと装飾音を使い【Root-7th】と弾きます。

最後の「ド」は「E7」から見ると【♭13th】ということになりますが、これもフレーズから見ると次の小節の「Am」の【3rd】が少し早めに出てきたと考えるほうがいいと思います。

 

では、3小節めから4小節めを見てみましょう。

 

このフレーズはほぼ「Am6」から作られていると言ってよいでしょう。

【9th】から入り「Am6」の「9-6-5-3」と下行し、そのまままた「9-1-6」と下行します。

4小節めの1拍めから3拍めまでは、3小節めと全く同じフレーズをオクターブ下げて弾きます。

そして4拍めは「ソ-ミ」と弾いて終わります。

 

この「Am」はトニックです。

トニックマイナーに【6th】を使う場合は、通常ジャズマイナー(メロディックマイナー上行)を使うことになります。

 

しかし、4小節め4拍めに出てくる「ソ」はジャズマイナーに含まれる【△7th】とは違って【7th】です。

【6th】と【7th】が含まれるマイナースケールは「Dorian」ということになります。

しかしトニックマイナーに「Dorian」を使うことはありません。

 

少し強引ですが、3小節めと4小節めの1、2拍めは「ジャズマイナー」、4小節めの3、4拍めは「ナチュラルマイナー」と解釈するのがいいのではないでしょうか。

 

他のキーで見てみよう

では他のキーでもすぐ弾けるようにするため、違うキーで見てみましょう。

 

これは「Key=Gm」です。

「Am7(♭5)」はまず【11th】の「レ」から入って、Aロクリアン#2を「11-9-7-11」と下がり、またオクターブ上の【11th】を弾きます。

これは「G」のトライアドの分散です。

そのあと【3rd】の「ド」を弾きます。

次に「D7」の【#9th】である「ファ」をオクターブで弾いたあと、【♭9th-#9th】と弾きます。

そのあと装飾音を使い【Root-7th】と弾きます。

そして次の「Gm」の【3rd】である「♭シ」に解決します。

3小節めは「Gm」の【9th】から入り「9-6-5-3」と下行、そこからさらに「9-1-6」と下行します。

4小節めの1拍めから3拍めまでは、3小節めと同じ「9-6-5-3-9-1」をオクターブ下げて弾きます。

4拍めは【7th-5th】である「ファ-レ」と弾いて終わりです。

 

覚えるための練習法

全てのキーで覚えるのはなかなか大変なので【 Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ 】を連続させ練習してみましょう。

 

 

【D-G-C-F・・・】と5度下に進んでいきますが、これを【Dm7(♭5)-G7-Cm7】にして、そこから解決した【 Ⅰ 】である「Cm7」からルートは同じ「m7(♭5)コード」である「Cm7(♭5)」を弾き、それを新たな【 Ⅱ 】と考え、【Cm7(♭5)-F7-B♭m7】という【 Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ 】を作りつなげていきます。

 

今回のフレーズのままでは続けにくいので、最後の2つの音を省き、ルートを延ばして終わりましょう。

 

ちなみに左手はKenny Barronが弾いたこのようなフレーズで入れてあります。

余裕がある方はぜひ弾いてみてください。

 

サークルオブ5thを【Dm7(♭5)-G7】から始まり1周するパターンと、【Gm7(♭5)-C7】から始まり1周するパターンの2種類で12個全ての【 Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ 】が出てきます。

 INFO 

※カラオケ音源とMIDIデータを貼っておきますので、ご自由にダウンロードしてお使いください。

MIDIデータ」はピアノの右手と左手を別トラックにしておきましたので、自由度が高いと思います。

 

それではつなげて弾いてみましょう。

 

EX.1

まずは「Dm7(♭5)」から始まるパターンです。

 

 

カラオケ音源↓

 

MIDIデータ↓

 

EX.2

次は「Gm7(♭5)」から始まるパターンです。

 

 

カラオケ音源↓

 

MIDIデータ↓

 

バリエーション

慣れてきたら音やリズムを変えてみましょう。

 

バリエーション1

今回のフレーズとほぼ同じ音使いですが、ボサノバにしてみました。

「Bm7(♭5)」では「A」のトライアドを使っています。

「E7」での「#レ」はクロマチックアプローチなので【△7th】とは解釈しません。

「Am6」ではジャズマイナーを使っています。

 

バリエーション2

ではもう1つ作ってみましょう。

 

これも今回のフレーズとほぼ同じ音使いですが、並びを少し変えました。

スケールはそれぞれ「ロクリアン#2」「オルタード」「ジャズマイナー」です。

 

さいごに

というわけで今回はKenny Barronが弾いたマイナーキーでの Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ フレーズを紹介しました。

ロクリアン#2がとてもいい味を出していておしゃれだと思います。

トニックでの【6th】の使い方もとても参考になると思います。

ぜひ自分のアドリブに取り入れて みてください。

 

今回の解説動画はこちら↓

 

Synthogy ( シンソジー ) Ivory II Italian Grand ◆【 ピアノ 音源 】

価格:25,300円
(2022/11/13 21:28時点)