「天才たちのワンフレーズ」シリーズ、今回はMichel Camiloのフレーズを紹介します。
今回のフレーズ
ではまず今回のフレーズを聞いてみてください。
これは『One More Once』という曲でのアドリブフレーズです。
この曲は「Key=G」です。
カミロらしいモントゥーノ(トゥンバオ)的なフレーズになっています。
※モントゥーノ(トゥンバオ)についての詳しい記事はこちらになります。
コード進行は12小節の典型的なブルース進行になっています。
この中の9〜10小節めのフレーズを紹介します。
コードはそのキーの「Ⅴ7-Ⅳ7」ということになります。
フレーズ分析
ではフレーズを細かく見ていきましょう。
まずは9小節めです。
見やすくするために調号は「Key=C」で見ていきましょう。
最後の「ミ」の音は、次の「C7」が少し早く出てきたと考えるのが自然です。
そうなると、このフレーズは3つの音だけで作られているのがわかると思います。
このように「B♭」のトライアドが使われています。
それぞれの音は「D7」にたいして【♭13th】【Root】【#9th】になっています。
「元のコードにたいする【♭13th】の音からのトライアドを弾く」と覚えるといいでしょう。
これらの音が含まれるのは「Dオルタードスケール」です。
では10小節めです。
これも最後の和音は次の小節の「G7」でのフレーズがシンコペーションされたものと考えます。
そうすると、これも3つの音だけでできているのがわかります。
これは「A」のトライアドになっています。
それぞれの音は「C7」にたいして【13th】【♭9th】【3rd】となります。
これは「元のコードにたいする【13th】からのトライアド」と覚えましょう。
これらが含まれるのは「コンディミ」です。
キーを変えてみる
では、ちがうキーで見てみましょう。
「Key=C」です。
「G7」では【♭13th】である「♭ミ」を【Root 】とする「E♭トライアド」
「F7」では【13th】である「レ」を【Root 】とする「Dトライアド」を弾きます。
まとめ
では、応用できるように今回のフレーズの作り方をまとめてみましょう。
「Key=D」で見てみます。
コードは「Ⅴ7-Ⅳ7」なので「A7-G7」となります。
1. 「A7」の【♭13th】である「ファ」を【Root】とする「Fトライアド」の分散を弾く
2.「G7」の【13th】である「ミ」を【Root】とする「Eトライアド」の分散を弾く
これだけです。
このようにアッパーストラクチャートライアドを考えるのもいいかもしれません。
「Ⅴ7」の上に「♭Ⅲ△」、「Ⅳ7」の上に「Ⅱ△」ということになります。
※アッパーストラクチャートライアドについてのくわしい解説はこちらの記事をご覧下さい。
今回は「フレーズをそのまま覚える」というより、「ドミナント7thコード上で使えるアッパーストラクチャートライアドを覚える」というほうが応用が利くと思います。
応用例
では応用例を見てみましょう。
今回のフレーズと同じようにブルース進行で使ってみました。
「G7」で「E♭トライアド」、「F7」では「Dトライアド」を使っています。
今回のフレーズとは少し違って「E♭/G7」を単独で使ってみました。
このように必ずしも「Ⅴ7-Ⅳ7」とセットで使わなければいけないわけではありません。
これは「E/G7」を単独で使ってみた例です。
今回のフレーズのように「Ⅳ7」から考えるのではなく
「♭Ⅲ△/Ⅴ7」、「Ⅲ△/Ⅴ7」
ようするに「「Ⅴ7」の上に「♭Ⅲ△」もしくは「Ⅲ△」というアッパーストラクチャートライアドが使える」というふうに覚えるのもいいでしょう。
さいごに
というわけで今回はMichel Camiloのワンフレーズを紹介しました。
かなりアウトサイドに聞こえますがオルタード、もしくはコンディミなのでアウトしているわけではありません。
アッパーストラクチャートライアドを使ったこのフレーズをぜひ試してみてください。
今回の解説動画はこちら↓
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