「ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ」今回は「Ⅱ-Ⅴ」の【Part2】です。
はじめに
このようなフレーズをマスターしましょう。
Jazzなどでよく聞かれる典型的なⅡ-Ⅴフレーズです。
3段譜になっていますが、メロディーとピアノの両手と考えてください。
右手のコードには「Dm7」に【9th】を、「G7」に【♭9th】と【♭13th】を付加しています。
「Dm9」では右手からは【Root】は省いて左手で弾きます。
「G7(♭9,♭13)」の場合は右手から【Root】と【5th】を省いています。
フレーズの分析
ではフレーズを見ていきましょう。
まず「Dm9」です。
スケールでいうと「Key=C」の「Ⅱ」ですから当然「Dドリアン」ということになります。
そしてこのフレーズは「Dm9」にたいしてこのような音になっています。
【5th】から始まって「ドリアンスケール」を【9th】の音まで上行し、【7th】の音から下行しています。
これはこのような見方もできます。
「Dm9」の上で「Am」っぽいフレーズを弾いていると考えるとわかりやすいかもしれません。
【5th】の音からのマイナーフレーズを弾くということですね。
「Cm9」なら【5th】の「ソ」の音をルートとする「Gm的なフレーズ」を弾くということになります。
では次は「G7(♭9、♭13)」を見てみましょう。
これは「G7」にたいしてこのような音になっています。
「♭9」「#9」「#11」「♭13」が含まれています。
これはスケールでいうと「オルタードスケール」です。
そしてこれもこのような見方ができます。
「G7」の半音上のマイナーである「A♭m的なフレーズ」を弾くと考えればわかりやすいと思います。
たとえば「C7」なら半音上の「C#m」ということです。
まとめるとこういうことになります。
【Ⅱ-Ⅴ】があったとき、「Ⅱ」ではそのコードの【5th】の音をルートに持つマイナー(「Dm9」にたいして「Am」)の構成音を【Root-2-3-4-5-3-2-Root】という順番で弾きます。
そして「Ⅴ」では「Ⅱ」で弾いたフレーズを音型はそのままで半音下げて弾きます。
ようするに「Ⅱ」では「Am」、「Ⅴ」では「A♭m」ということですね。
アッパーストラクチャートライアド的な考え方とも言えます。
アッパーストラクチャートライアドの記事はこちら↓
編曲 #19【コードを2階建てに!】アッパーストラクチャートライアド【Part1:△7に使う】 - わちゃぴの音楽教室
編曲 #20【コードを2階建てに!】アッパーストラクチャートライアド【Part2:m7に使う】 - わちゃぴの音楽教室
編曲 #21【コードを2階建てに!】アッパーストラクチャートライアド【Part3:ドミナント7thコードに使う】 - わちゃぴの音楽教室
しかしこれはあくまでも覚え方の話なので、スケールでいうと「Dドリアンスケール」と「Gオルタードスケール」ということになります。
他のキーで見てみよう
このように覚えると他のキーでも簡単に使えるはずです。
ちょっと見てみましょう。
「Key=F」の【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】です。
「Gm9」の【5th】の音は「レ」なので、その音をルートにもつ「Dm」の構成音を【Root-2-3-4-5-3-2-Root】という順番で弾き、「C7」ではそれをそのまま半音下げただけの「C#m」の構成音を【Root-2-3-4-5-3-2-Root】と弾きます。
これは「Key=D」です。
「Em9」では「Bm」のフレーズ、「A7」では「B♭m」のフレーズを弾いています。
これは「Key=E♭」です。
「Fm9」では「Cm」のフレーズ、「B♭7」では「Bm」のフレーズを弾いています。
最初の「Ⅱ」で使うフレーズを見つけられたら「Ⅴ」ではそれを半音下げるだけなのでとても簡単だと思います。
弾くほうにとっては簡単なのですが、聞いているほうにはJazzっぽくテンション感が強いサウンドで、難しいことをやっているように感じると思います。
覚えるための練習法
これもまた全てのキーで覚えるのは大変なので【Ⅱ-Ⅴ】を連続させ練習してみてください。
【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】と進行し「Ⅰ」をm7コードにし、次の【Ⅱ-Ⅴ】の「Ⅱ」としてサークルオブ5thを時計回りに進んでいきます。
サークルオブ5thの図を見ながら説明しましょう。
【D-G-C-F】と5度下に進んでいきますが、これを【Dm7-G7】にしてそこから解決する「C」を「Cm7」にし、新たに【Cm7-F7】という【Ⅱ-Ⅴ】を作りつなげていきます。
サークルオブ5thを【Dm7-G7】から始まり1周するパターンと、【Gm7-C7】から始まり1周するパターンの2種類で12個全ての【Ⅱ-Ⅴ】が出てきます。
ではつなげてみましょう。
※ 「カラオケ音源」と「MIDIデータ」を貼っておきますのでご自由にダウンロードしてお使いください。
まずは「Dm9」から始まるパターンです。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
次は「Gm9」から始まるパターンです。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
さいごに
というわけで今回もジャズなどでよく使われる「Ⅱ-Ⅴフレーズ」を紹介してみました。
今回のフレーズも楽器を問わずJazzのアドリブでは誰しもが弾くフレーズで「パクった」などと言われるようなものではありませんので、どこで使っても大丈夫です。
覚えておくと便利なのでぜひ挑戦してみてください。
Jazzに限らずポップスなどに使ってみるのも面白いと思います。
今回の解説動画はこちら↓