わちゃぴの音楽教室

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編曲 #20【コードを2階建てに!】アッパーストラクチャートライアド【Part2:m7に使う】

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アッパーストラクチャートライアドの【Part2】ということで、今回はマイナーセブンスコードに使用してみたいと思います。

 

 

はじめに

キーは「C」で進めていきます。

マイナーセブンスコードは、各キーの「Ⅱ」と「Ⅲ」と「Ⅵ」のところにあらわれます。

「キーがC」でいうと「Dm7」「Em7」「Am7」です。

これらのマイナーセブンスコードに使える「アッパーストラクチャートライアド」をそれぞれ見ていきましょう。

今回も上に乗せるものは「メジャートライアド」と「マイナートライアド」だけを使いたいと思います。

 

これが「メジャートライアド」と「マイナートライアド」の全てです。↓

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そしてこの中で「キーがC」のとき使えるトライアドはこの6つになります。↓

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この中から「Dm7」「Em7」「Am7」に使えるものをそれぞれ見ていきます。

 

前提として・・・

1.分母になるマイナーセブンスコードに対するAvoid Noteが含まれていないこと。

2.分母のマイナーセブンスコードに対するテンションがすくなくとも一つは含まれていること。

この二つに当てはまらなければなりません。

 

Dm7に使えるアッパーストラクチャートライアド

「Ⅱ」の「m7」にはAvoid Noteはありません。

使えるトライアドはこの4つになります。↓

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トライアドの中の3つの音がそれぞれ「Dm7」にたいしてどのような構成音になるのかを見ていきましょう。

 

まずは「C」を乗せてみましょう。

 

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分数コードを使わないコードネームでいうと「Dm7(9.11)」ということになります。
左手は【Root-3rd-7th】を弾いています。

「アッパーストラクチャートライアド」の場合は、左手でもコードを弾かなければそのサウンドは出ません。

左手がベースだけだと「C/D」というコードネームになります。

 

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やはりサウンドは違いますね。

もちろんアレンジ的には好みでどちらを使ってもかまわないのですが「C/D」はアッパーストラクチャートライアドではないということは理解しておきましょう。

 

では次は「Em」を乗せてみましょう。

 

 

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これはテンションだけになるので、かなり浮遊感のあるサウンドになります。

「シ」は「Dm」にたいする【6th】ですが、分母に【7th】が入っているため【13th】という解釈になります。

 

次は「G」を乗せてみましょう。

 

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【Root】が入ってはいますが、他の2つの音が【11th】と【13th】なので、これもかなり浮遊感があります。

 

次は「Am」です。

 

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これは【3rd】こそないですが、あとは【5th】【7th】【9th】なので、元の「Dm7」からそれほど遠いサウンドではないはずですが、ただの「Dm9」とはずいぶん違うと思います。

 

Em7に使えるアッパーストラクチャートライアド

見出しには「Em7に使えるアッパーストラクチャートライアド」と書きましたが、実はEm7に使えるアッパーストラクチャートライアドはありません。

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「キーがC」の中の「Em7」なので、この6つのトライアドの中から使えるトライアドを選ぶわけですが、「ド」の音は「Em」にたいする【♭13】、「ファ」は【♭9】なのでAvoidNoteです。

これらが入ってないトライアドは「Em」と「G」しかありません。

しかし「Em7」の上に「Em」を乗せる意味はありませんし、「G」は構成音が「Em」にたいしてそれぞれ【3rd】【5th】【7th】ですから、テンションが1つも入らないので使えません。

 

というわけで次は「Am7」を見ていきましょう。

 

Am7に使えるアッパーストラクチャートライアド

「Am7」の上に乗せられるトライアドはこの2つです。

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ではひとつずつ見ていきましょう。

 

まずは「Em」です。

 

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これは【5th】【7th】【9th】なので、サウンド的には「Am9」ということになります。

 

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比べてみるとやはりサウンドは微妙に違うことがわかると思います。

 

では次は「G」を乗せてみましょう。

 

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これは【7th】【9th】【11th】になるので、先ほどの「Em/Am7」よりは浮遊感があります。

「sus4」のようなサウンドなのですが、左手に【3rd】が入っているためそれともまた違います。

 

Bm7(♭5)に使えるアッパーストラクチャートライアド

マイナーセブンスコードではありませんが、ついでにマイナーセブンフラット5も見ていきましょう。

ダイアトニックコードの「Ⅶ」の場所にあらわれるコードですね。

「キーがC」だと「Bm7(♭5)」になります。

「m7(♭5)コード」に使えるテンションは【9th】【11th】【♭13th】ですが、【9th】はそのキー以外の音になるため使うことは少ないでしょう。

「Bm7(♭5)」の【9th】は「#ド」になるため今回も使いません。

 

というわけで、使えるトライアドはこの2つになります。

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「Am7」のときと同じものが使えるということです。

では乗せたものを見ていきましょう。

 

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これまで左手は【Root-3rd-7th】と弾いていたのですが、「m7(♭5)」は【5th】が半音下がっているというのが特徴なので、省略せず左手で弾いています。

もちろん弾かなくても間違ったサウンドになるわけではないですが、弾いたほうがより「m7(♭5)」らしさが出ます。

「Em」を乗せると【Root】以外に【11th】と【♭13th】が入ります。

ちょっと不思議なサウンドですね。

 

では「G」を乗せてみましょう。

 

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これは【Root】と【3rd】が入るため、「Em」を乗せるよりは「Bm7(♭5)」っぽい感じがあると思います。

 

コード進行の中で使ってみる

それでは実際にコード進行の中で使ってみましょう。

元のコードは【C△7-Am7-Dm7-G7】という【Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ】の進行です。

まずは「アッパーストラクチャートライアド」もテンションも使わない7thコードだけのものを見てください。

 

 

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これをまた少し大げさに「アッパーストラクチャートライアド」にしてみます。

 

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「C△7」では【Part1】でやったように「G」と「Am」を乗せています。

そして「Am7」には今回紹介した「Em」と「G」、「Dm7」には「C」と「G」と「Am」を乗せてみました。

3小節めの「Dm7」、5小節めの「C△7」、7小節めの「Dm7」では「アッパーストラクチャートライアド」だけではなく、元のコードも使って動きを作っています。

「G7」でも「E」や「E♭」、「Dm」という「アッパーストラクチャートライアド」を使っていますが、ドミナント7thコードに使える「アッパーストラクチャートライアド」は【Part3】で紹介したいと思います。

 

全体的にやはりテンション感の強いサウンドになっていると思います。

もう少し「アッパーストラクチャートライアド」を減らしたりするとテンション感はやわらぐでしょう。

 

フレーズに使ってみる

ではアドリブに「アッパーストラクチャートライアド的なフレーズ」を使ってみましょう。

基本的には、「トライアドの3つの音だけを使う」のがもっともそれらしい雰囲気が出ます。
ではこれを聴いてみてください。

 

 

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【Am7-Am7-F△7-G7】という4小節パターンのコード進行です。

これまでと違うのは、コードでは「アッパーストラクチャートライアド」を使ってないということです。

ギターやベースが普通のコードでバッキングしている上で、ソロを弾いているエレピだけが「アッパーストラクチャートライアド的なフレーズ」を使ったという感じです。

 

1小節めはごく普通に「Amペンタトニック」で始まり、2小節めで「Gのトライアド」を使っています。

3小節めの「F△7」では3拍めから【Part1】で紹介した「Cのトライアド」を使いました。

6小節めの「Am7」でも「Gのトライアド」を使っています。

7小節めの「F△7」は1・2拍めは「Cのトライアド」、3・4拍めは「Gのトライアド」にしてみました。

全体的には「Cメジャースケール」を使っているだけなのですが、「アッパーストラクチャートライアド」をところどころ使うことにより独特な雰囲気が出て面白いと思います。

 

まとめ

今回は「マイナー7thコードに使えるアッパーストラクチャートライアド」を紹介しました。

ただし「Ⅲ」のマイナー7thコード(キーがCだとEm7)には使えるトライアドはありません。

「Ⅱ」と「Ⅵ」のマイナー(キーがCだとDm7とAm7)に使えるものをいろいろ紹介しましたが、どちらにも共通して使いやすいものは、分母のマイナー7thコードの【5th】からの「マイナートライアド」と全音下の「メジャートライアド」でしょうか。

たとえば・・・

 

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「Cm7」だと【5th】の音からの「マイナートライアド」が「Gm」、全音下の「メジャートライアド」が「B♭」

「F#m7」だと【5th】の音からの「マイナートライアド」が「C#m」、全音下の「メジャートライアド」が「E」
ということになります。

 

これを両手でボイシングするとこのようになります。

 

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左手は【Root-3rd-7th】で右手はトライアドをルートポジションで弾いたり、転回させたりしています。

 

【Part1】のメジャー7thコードに使う「アッパーストラクチャートライアド」と合わせて、今回のマイナー7thコードにおける「アッパーストラクチャートライアド」もぜひオリジナル曲や既存の曲をリハーモナイズするときに使ってみてください。

 

次回は【Part3】として「ドミナント7thコードに使えるアッパーストラクチャートライアド」を紹介します。

実はこのドミナント7thコードに使うものが「アッパーストラクチャートライアド」の本丸と言ってもいいぐらいで、面白くて種類も豊富なのでぜひご覧下さい!

 

今回の解説動画はこちら↓