「ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ」今回は「Ⅱ-Ⅴ」の【Part3】です。
はじめに
このようなフレーズをマスターしましょう。
これもJazzなどでよく聞かれる典型的なⅡ-Ⅴフレーズです。
これは【Ⅱ-Ⅴ】だけで「Ⅰ」には解決していませんが、解決させるならこんな感じでしょうか。
これは2段譜になっていますが、ピアノの両手と考えてください。
左手のコードはテンションが一つも入ってないシンプルな「7thコード」です。
フレーズの分析
ではフレーズを見てみましょう。
トップノートに注目してください。
このように半音で下がってきているのがわかると思います。
「Dm7」のところだけ見てみると【Dm-Dm△7】というコード進行をアルペジオにしたようなフレーズになっています。
しかしこれは「Dm7」というコードの上で使えるフレーズです。
コードネームを【Dm-Dm△7】などと気にしたり譜面に書いたりする必要はありません。
今回はⅡ-Ⅴフレーズなので「Ⅱ」のマイナーコードの上で使っていますが、【Ⅱ-Ⅴ】とは関係なく「Ⅲ」のマイナーでも「Ⅵ」のマイナーにも使って大丈夫です。
下の3つの音はただのトライアドで、1番上の音がルートから半音下がるだけなので簡単ですね。
スケールでいう「Ⅱ」なので当然「ドリアンスケール」になります。
「#ド」がはいっているところは細かく言えば「メロディックマイナー」ということになりますが、クリシェなのでそこまで考えなくても大丈夫です。
では「G7」のところはどうでしょう。
いったん「Dm」とは切り離して考えます。
いきなり「G7」にたいするアボイドノートの【4th】から入って、次に【♭3rd】からコードトーンである【3rd】に落ち着きます。
ようするに【3rd】の「シ」の音を半音上の「ド」と半音下の「#ラ」ではさんでから【3rd】に進行するということです。
これは「ディレイドリゾルブ」というテクニックです。
半音下から、または半音上からコードトーンにアプローチすることを「クロマチックアプローチ」といいますが、上下ではさんでからアプローチするテクニックが「ディレイドリゾルブ」です。
「ディレイドリゾルブ」の記事はこちら↓
スケールで言えば「ドミナント7th」ですからたとえばこのようなスケールが使えます。
ほかにも「ドミナント7thコード」に使えるスケールはいくつかありますが、今回のフレーズはどれにも当てはまります。
音で見れば【4th】から入っているので【4th】を含む「ミクソリディアン」のような気もしますし、「#ラ」は【#9th】でもあります。
しかしただ【3rd】の音に向かう「ディレイドリゾルブ」と考えればそんな難しいことを考える必要はありません。
「ディレイドリゾルブ」や「クロマチックアプローチ」はスケール外の音を使ってもいいのです。
それによってスケール名が変わることはありません。
となると使っているのは【3rd】と【Root】だけということになるので、スケールは特定できません。
「Dm7」と「G7」をバラバラでみるとこのような説明になりますが、いろんな【Ⅱ-Ⅴ】ですぐこのフレーズを弾けるようになるためには「G7はディレイドリゾルブ」という考え方より、最初に言ったように「Dm7」から「G7」にかけてトップノートが【レ-#ド-♮ド】と動いてるところに注目するほうがわかりやすいのではないでしょうか。
「Dm」のクリシェと解釈するといいと思います。
クリシェの記事はこちら↓
他のキーで見てみよう
では他のキーでもすぐ弾けるようにするため、いくつかのキーで見てみましょう。
これは「Key=G」の【Ⅱ-Ⅴ】です。
リズムはとりあえず考えずに、まず音の見つけ方を覚えましょう。
「Ⅱ」は「Am7」なのでまず「Am」のトライアドを思い浮かべ、さらにその上にオクターブ上のルートから下にアルペジオを弾きます。
そしてオクターブ上のルートを半音下げ、また下にアルペジオ、さらにトップを半音下げます。
「D7」のところは最初に説明したように【3rd】の「#ファ」に向けて半音上下からの「ディレイドリゾルブ」という考えかたでもいいのですが、先ほど説明したようにトップノートが「ソ」まで下りてきているので、そのあと【♭3-♮3-Root】を弾くと考えるのも簡単でいいかもしれません。
そして「Am7」の1、2拍目のリズムを変えれば出来上がりです。
ではもう一つ見てみましょう。
これは「Key=D」の【Ⅱ-Ⅴ】です。
「Em」のトライアドをルートの「ミ」から下にアルペジオ、そしてルートを半音下げて「#レ」から下にアルペジオ、さらにトップを「レ」まで下げたら、次は「A7」の【♭3-♮3-Root】である【ド-#ド-ラ】と弾きます。
では最後にもう一つだけ見ましょう。
これは「Key=B♭」の【Ⅱ-Ⅴ】です。
「Cm」のルートをクリシェを使って【ド-シ-♭シ】まで下げながらアルペジオを弾きます。
そして「F7」の【♭3-♮3-Root】である【♭ラ-♮ラ-ファ】と弾きます。
なんとなく見つけ方がわかってきたでしょうか。
覚えるための練習法
これもまた全てのキーで覚えるのは大変なので【Ⅱ-Ⅴ】を連続させ練習してみてください。
【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】と進行し「Ⅰ」をm7コードにし、次の【Ⅱ-Ⅴ】の「Ⅱ」としてサークルオブ5thを時計回りに進んでいきます。
サークルオブ5thの図を見ながら説明しましょう。
【D-G-C-F】と5度下に進んでいきますが、これを【Dm7-G7】にしてそこから解決する「C」を「Cm7」にし、新たに【Cm7-F7】という【Ⅱ-Ⅴ】を作りつなげていきます。
サークルオブ5thを【Dm7-G7】から始まり1周するパターンと、【Gm7-C7】から始まり1周するパターンの2種類で12個全ての【Ⅱ-Ⅴ】が出てきます。
ではつなげてみましょう。
※ 「カラオケ音源」と「MIDIデータ」を貼っておきますのでご自由にダウンロードしてお使いください。
まずは「Dm7」から始まるパターンです。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
次は「Gm7」から始まるパターンです。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
バリエーション
慣れてきたらこのようにリズムを変えてみても面白いと思います。
1、2拍めを上がるアルペジオにしてみました。
アルペジオの音型やリズムを変えてみました。
ハネないリズムでもこのフレーズは合います。
「G7」に向けて8分音符でシンコペーションしてみました。
さいごに
というわけで今回はJazzなどでよく使われる「Ⅱ-Ⅴ フレーズ」を紹介してみました。
今回のフレーズは楽器を問わず使えるのでぜひ試してみてください。
Jazzのアドリブなどでは定番のようなフレーズなのでそのまま使っても大丈夫です。
Jazzに限らずポップスのアドリブなどに使ってみるのも面白いと思います。
今回の解説動画はこちら↓