今回はショパンのクロマチックアプローチをコードで分析し、ジャズやポップスに取り込んでみようと思います。
- はじめに
- クロマチックアプローチ
- Waltz No.10 Op.69 No.2
- Polonaise Op.44
- Waltz No.3 Op.34 No.2
- Waltz No.7 Op.64 No.2
- Nocturne Op.9 No.2
- 応用例1
- 応用例2
- 応用例3
- まとめ
- さいごに
はじめに
ショパンの曲にはクロマチックアプローチが多く見られ、そのどれもが素晴らしいフレーズになっています。
もちろんクラシックなのでコードネームなどはありません。
ショパンをコードで分析するというのはとてもナンセンスだとは思うのですが、そうすることによりポップスやジャズなどで応用しやすくなります。
ショパンですから、紹介するのは当然ピアノのフレーズになります。
しかし手法自体は楽器を問わず使えます。
ピアノ以外を使った応用例もあるので、ぜひ最後までご覧下さい。
クロマチックアプローチ
クロマチックアプローチとは、ある音に半音上や下からアプローチすることです。
たとえばこのようにトニックの「C△7」があります。
ここで使うべきスケールは「Ionian」ということになります。
そしてこのように
【3rd】の「ミ」に半音下の「#レ」からアプローチ
【5th】の「ソ」に半音上の「♭ラ」からアプローチ
【△7th】の「シ」に半音下の「♭シ」からアプローチ
と、コードトーンやテンションなどに半音でアプローチすることを「クロマチックアプローチ」といいます。
スケールにはない音を使うことになりますが、全く気にしなくても大丈夫です。
この譜面のように
「ファ」から「ミ」、「シ」から「ド」も半音なのでクロマチックアプローチとも言えますが、単にスケールトーンからのアプローチでもあるので、スケール以外の音からのアプローチほどおしゃれな感じはありません。
スケールトーン以外からのクロマチックアプローチ、例えば【♭3rd-3rd】、【♭5-5th】などは、このようにブルージーなフレーズやJazzっぽいフレーズによく使われます。
ショパンの音楽とは正反対のように聞こえますが、実はこれをショパンも多用しています。
それではショパンの曲をいくつか分析してみましょう。
見やすくするため、元の楽譜に表記されているスラーなどはあえて省いています。
Waltz No.10 Op.69 No.2
1小節めのこのフレーズを見てみましょう。
コードをつけると「Bm」ということになります。
わかりやすく「Am」に移調してみましょう。
使われているのは「Am」の【△7th】から【Root】へのアプローチと、【9th】から【3rd】へのアプローチです。
これはどちらもスケールトーンからのアプローチなのですが、連続するところがおしゃれです。
Polonaise Op.44
このフレーズは右手と左手がユニゾンなので、右手だけを見てみましょう。
コードは「C#7」です。
このフレーズはこのようにできています。
16分音符6つのフレーズが1つのモチーフとなり、それをオクターブずつ上げていっているだけです。
1つのモチーフを取り出すとこのようになっています。
「E7」に移調するとわかりやすいでしょう。
「E7」のコードトーンである【Root】【3rd】【5th】に、それぞれ半音下からアプローチしています。
最初にブルージーなフレーズを紹介しましたが、それと同じで【♭3rd-3rd】、【♭5th-5th】というアプローチをしています。
【♭3rd】も【♭5th】もコードにたいしてブルーノートです。
しかし、ショパンが使うと全くブルージーなフレーズに聞こえないのが面白いですね。
Waltz No.3 Op.34 No.2
これも右手だけを見てみましょう。
クロマチックアプローチはこのように使われています。
どれもスケール以外の音からのアプローチです。
まとめるとこのようになります。
どれも半音下からのアプローチです。
「Am」では同じアプローチをオクターブ下げて連続させていますが、とてもいいフレーズだと思います。
Waltz No.7 Op.64 No.2
これも右手だけにしましょう。
これもわかりやすく「Key=Am」に移調します。
「B♭/D」は「B♭Lydian」を使うので、【#11th】の「ミ」はスケールトーンです。
半音下の「♭ミ」からアプローチされています。
「E7」では【7th】と【Root】にそれぞれ半音下からアプローチしています。
「レ」から「#レ」も半音なので、「#ド-レ-#レ-ミ」と半音が4つ連続することになっています。
Nocturne Op.9 No.2
有名なノクターンです。
一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
これも右手だけにしてみましょう。
コードは「C7」です。
「G7」に移調してみましょう。
これも「G7」の【Root】に半音上と半音下から、そして【3rd】と【5th】には半音上からアプローチしています。
まとめるとこのようになっています。
応用例1
たとえばこのように「Gm」のアルペジオ的フレーズがあったとします。
それぞれの音に半音下からクロマチックアプローチを加えます。
これだけでなんとなくショパンっぽく聞こえませんか?
応用例2
「E7」ではコードトーンに半音上から、「Am」では半音下からのアプローチをしてみました。
応用例3
「F△7」「G7」ではコードトーンに半音下からアプローチしています。
「C△7」では、コードトーンからいったん半音下がって、またコードトーンにアプローチする16分音符3つのモチーフを上行させています。
今回紹介したものとは違いますが、これもクロマチックアプローチの1つです。
まとめ
クロマチックアプローチとは、コードトーンやテンションに半音でアプローチします。
1.半音上からアプローチ
2.半音下からアプローチ
3.半音上下からアプローチ
このようなバリエーションがあります。
半音上から、半音下からは自由に組み合わせてかまいません。
さいごに
今回はショパンの曲を題材に、クロマチックアプローチを紹介しました。
ショパンが使っているのですから、ポップスやジャズなどが出てくるずっと前に使われていた手法ということになります。
しかし現代でもおしゃれな手法としてそのまま通用します。
アドリブに使うのはもちろんのこと、アレンジなどで元々あるフレーズにクロマチックアプローチを足すのもいいと思います。
ぜひ工夫して自分なりに使ってみてください。
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