わちゃぴの音楽教室

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【天才たちのワンフレーズ】Billy Joel Vol.1【YouTube連動】

「天才たちのワンフレーズ」シリーズ、今回は珍しくジャズプレイヤーではなくポップスシンガーのBilly Joelです。

いつものようなアドリブフレーズではなく、歌の合間のFill Inといった感じのフレーズです。

 

 

今回のフレーズ

ではまず今回のフレーズを聞いてみてください。

 

これは有名な『New York State of Mind』をソロで弾き語りしているときのフレーズです。

Popsではありますが、非常にJazzっぽくもあり、Bluesっぽくもある名曲です。

この部分はルバートなので、譜割はちょっと無理矢理な感じにはなっています。

今回はこの中から、3小節めのフレーズについて紹介したいと思います。

いわゆる駆け上がりのフレーズなのですが、音使いが少し変わっていたので今回はこのフレーズを選んでみました。

 

フレーズ分析

コードは音使いから一応「D9」と表記しましたが、「D7」と解釈してもいいでしょう。

もちろん「D7(9,13)」でもOKです。

この曲は「Key=C」なので、「D7」は「 Ⅱ7 」のセカンダリドミナントということになりますが、このフレーズは「 Ⅴ 」にも使えます。

 

例えば「D7」の駆け上がりというと、こんな感じのフレーズが一般的だと思います。

 

 

 

1つめは「D」のトライアド、2つめは「D7」のアルペジオになっています。

 

ところが今回のフレーズは、度数で見るとこのようになっています。

 

1拍めは左手の低いところで【Root】を弾いたあと、「3-6-7-2」である「#ファ-シ-ド-ミ」と弾いています。

【6th】と【2nd】が入っているのが、よくある駆け上がりフレーズとは少し変わっています。

【2nd】と書きましたが、もちろん【9th】と解釈しても問題ありません。

そして2拍めは「3-5-2-5-6」の「#ファ-ラ-ミ-ラ-シ」と弾きます。

 

この「3-5」は駆け上がりではごく普通に使われる音ですが、そのあとの「2-5-6」である「ミ-ラ-シ」が駆け上がりではあまり使わない音の並びになっています。

今回は特にここを覚えましょう。

この「ミ-ラ-シ」は「Esus4」の構成音です。

「Esus4/D7」という「sus4」をアッパーストラクチャーに使ったようなサウンドになっています。

元のコードの全音上の「sus4」を使うと覚えておくのもいいでしょう。

 

※「アッパーストラクチャーsus4」について解説した記事があるので、興味のあるかたはこちらを参考にしてください。

 

3拍めは2拍めのフレーズをオクターブ上げただけです。

最後は【2nd】ようするに【9th】の「ミ」で終わっているのもおしゃれなところです。

最後の4つの音を見ても「Esus4」になっています。

 

かなり速いのでこのような表記でもよさそうです。

 

スケールでいうとMixolydian、またはLydian7thということになります。

このフレーズには【11th】も【#11th】も入っていないので、どちらか特定はできません。

 

弾き方

このフレーズはかなり速い駆け上がりなので、片手で弾くことは不可能です。

Billy Joelも両手を使って弾いています。

 

このように左手と右手を使えばかなり楽に弾けるはずです。

記譜上は16分音符にしてありますが、それほどシビアに考える必要はありません。

自分の弾ける1番速いテンポで弾けば間違いないでしょう。

 

※このように聞くと難しいけど弾いてみるとそれほどでもない・・・といったフレーズを「はったりテクニック」という記事でいくつか紹介していますので、興味のあるかたは参考にしてみてください。

 

まとめ

今回のフレーズを簡単にまとめてみましょう。

「G7」でやってみましょう。

 

まず左手で【Root】の「ソ」を弾きます。

次に右手で「3-6-7-2」である「シ-ミ-ファ-ラ」と弾きます。

次に左手で「3-5」の「シ-レ」と弾き、すぐに右手で「2-5-6」である「ラ-レ-ミ」と弾きます。

この「ラ-レ-ミ 」は元のコード「G7」の全音上の「sus4」である「Asus4」の構成音です。

そして先ほどの「3-5-2-5-6」である「シ-レ-ラ-レ-ミ」をオクターブ上げて繰り返し、最後は【9th(2nd)】の「ラ」で終わります。

 

応用例

今回のフレーズはルバートでしたが、インテンポでも使えます。

 

 

「G7」で今回紹介した「3-5-2-5-6」から左手の音を1音増やして「3-5-7-2-5-6」にしてみました。

インテンポなら、5連符よりは6連符のほうがリズムは取りやすいでしょう。

 

ここまでで駆け上がりでの使い方はよくわかったと思います。

では同じ音の並びを、駆け上がり以外に使ってみましょう。

ポイントは全音上の「sus4」を使うところです。

 

これも「G7」で全音上の「sus4」である「Asus4」の構成音を使ってみました。

これは前述の「アッパーストラクチャーsus4」の動画で紹介したような使い方です。

 

さいごに

というわけで今回はBilly Joelのワンフレーズを紹介しました。

Popsで、しかもルバートでのワンフレーズでしたが、Jazzにもじゅうぶん使えるフレーズです。

ドミナント7thコードでの駆け上がりにひと工夫したいときに、ぜひ試してみてください。

 

今回の解説動画はこちら↓

 

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