「ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ」ブルースフレーズの【Part11】です。
今回はOscar Petersonのフレーズを紹介しましょう。
はじめに
今回はこのようなフレーズです。
これは『Blues for Martha』という曲の中でのアドリブの一部です。
この曲は「Key=B♭」で、12小節の基本的なブルースです。
このフレーズはトニックである「B♭7」で弾かれています。
泥臭いブルースフレーズというよりは、ちょっと小粋なJazz系のフレーズといったところでしょうか。
フレーズの分析
ではフレーズを細かく見ていきましょう。
まずわかりやすくするため、「Key=C」に移調します。
では音をひとつずつ見ていきましょう。
まずは1小節めです。
2拍めのウラから【6th】の音で始まります。
そしてその全音下の【5th】を弾いてさらにオクターブ下の【5th】を弾きます。
そして【4th-3rd】と弾いてまたオクターブ下の【5th】を弾きます。
最後に【2nd】を弾いて1小節めは終わりです。
では2小節めです。
2小節めは全部4分音符なので弾くのは難しくないと思います。
1小節め最後の【2nd】から全音下がって【Root】を弾きます。
そのあと【3rd】と【6th】を同時に弾くのですが、【3rd】の音にだけ半音下から装飾音をつけています。
この装飾音が【♭3rd】のブルーノートなのでとてもブルージーに聞こえます。
このように和音の中の1音にブルーノートで装飾音をつけるというのは、ブルースにおいてとてもよく使われるテクニックです。
このように【♭3→3】や【♭5→5】などがよく使われます。
ではフレーズ分析に戻りましょう。
そのあと【6th】の音を延ばしたまま【Root】を弾き、次に単音で【6th】を弾いて終わりです。
【6th】でフレーズを終わっているのがかっこいいですね。
1小節めから2小節めアタマまではこのように覚えるといいかもしれません。
【6th】の「ラ」の音からメジャースケールを順に「ラ-ソ-ファ-ミ-レ-ド」と下行しながら「ソ」と「ファ」の間、そして「ミ」と「レ」の間にそれぞれオクターブ下の【5th】である「ソ」を入れます。
このように考えると、とてもシンプルにできていることがよくわかります。
他のキーで見てみよう
では他のキーでも見てみましょう。
調号に注意してください。
これは「F7」のフレーズです。
Fメジャースケールを【6th】の「レ」から「レ-ド-♭シ-ラ-ソ-ファ」と【Root】まで下行しますが、「ド」と「♭シ」の間に【5th】の「ド」を入れます。
「ラ」と「ソ」の間にも同じように「ド」を入れます。
そして【3rd-6th】を同時に弾きます。
そのとき【3rd】にだけ装飾音をつけます。
【6th】の「レ」を延ばしたまま【Root】の「ファ」を弾き、【6th】の「レ」の音で終わりです。
これは「G7」のフレーズです。
Gメジャースケールを【6th】の「ミ」から「ミ-レ-ド-シ-ラ-ソ」と【Root】まで下行しますが、「レ」と「ド」の間に【5th】の「レ」を入れます。
「シ」と「ラ」の間にも同じように「レ」を入れます。
そして【3rd-6th】を同時に弾きます。
そのとき【3rd】にだけ装飾音をつけます。
【6th】の「ミ」を延ばしたまま【Root】の「ソ」を弾き、【6th】の「ミ」の音で終わりです。
覚えるための練習法
ひとつずつ順番に覚えるのもいいのですが、せっかくなのでこんな練習法をやってみてください。
これを時計回りに全部「7thコード」のまま進んでいきます。
これで12個全ての「7thコード」で今回のフレーズがマスターできるはずです。
キーが2小節ごとに変わることになりますが、あえて調号ではなく臨時記号で書いてあります。
せっかくですから左手もOscar Petersonが弾いているものにしましょう。
と言っても、2小節めに1回だけ【Root】と【7th】を同時に弾いているだけです。
わりとテンポが速く、弾くのはかなり難しそうなので、ここでは実際にOscar Petersonが弾いたものよりかなりテンポを落としてあります。
そしてカラオケになったときにわかりやすいよう、実際には入っていないギターとオルガンも少し足してあります。
※ 「カラオケ音源」と「MIDIデータ」を貼っておきますのでご自由にダウンロードしてお使いください。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
バリエーション
今回のフレーズを少し変えるだけでいろんなバリエーションが得られます。
1小節めは同じ音を使っていますが、3連符をやめて8分音符にしました。
2小節めはよくある定番フレーズにつないでみました。
「ラ-ソ-ファ-ミ」と下がるところを和音にし、1つおきにオクターブ下の「ソ」を入れてみました。
2つだけ紹介しましたが、このように音やリズムを少しだけ変えれば多くのバリエーションを作ることができます。
ぜひ挑戦してみてください。
さいごに
というわけで今回はOscar Petersonのブルースフレーズを紹介してみました。
これはフレーズに【7th】が入っていないので、ブルースではない曲のトニックにも使いやすいフレーズです。
ぜひいろんな曲のトニックに使ってみてください。
今回の解説動画はこちら↓
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