アドリブTipsシリーズ、今回は「スペースをつくる」です。
実例とともに解説していくのでぜひ最後までご覧下さい。
はじめに
かっこいいアドリブを組み立てるにはいろんな要素が必要になってきますが、「スペース」もその1つではないでしょうか。
「スペース」とはいわゆる「休符」です。
管楽器などはブレスが必要になってくるので自然にスペースができるのですが、ギターや鍵盤などは休符なしで弾き続けてしまうことがあります。
特に初心者にその傾向が強いように思います。
例えばこれを見てください。
まったく休符を入れずに弾き続けた例です。
もちろん休符を入れないのが悪いというわけではないのですが、ちょっと息苦しい感じがするように思います。
少し変化が足りないので聴いているほうは飽きてしまうかもしれません。
ではこちらはどうでしょう。
かなりスペースを入れてみました。
先ほどのものより余裕があって渋い感じがしませんか?
このほうが聴くほうの予想を裏切り、飽きさせないのではないでしょうか。
どちらがいいということではないのですが、どちらもできるに越したことはありません。
実際に演奏されたジャズミュージシャン達のフレーズ
ではここからは、素晴らしいミュージシャン達によって実際に演奏されたフレーズを紹介していきましょう。
とてもセンスのよいフレーズばかりなので、きっと参考になると思います。
How My Heart Sings/Bill Evans
1小節めは2拍めウラから始まっていますが、2〜4小節めまでは休符がありません。
そして突然1小節丸々休んでまた1小節だけ弾いて、さらにまた1小節休符にしています。
突然フレーズが切れて休符になったときの緊張感がとてもかっこいと思います。
Some Other Blues/David Kikoski
これは12小節のブルースです。
なので13小節めからは次のコーラスということになります。
アタマからわりと短めのスペースを入れながらソロが始まります。
12小節めは次のコーラスのアタマに戻るためのドミナントの小節です。
ドミナントは色々なスケールが使えるためジャズでは聴かせどころのはずですが、丸々休んでいるところが意表をついて面白いと思います。
Little Peace In C For U/Michel Petrucciani
とてもテンポの速い曲です。
この部分は実際はベースが入っていないのですが、わかりやすくするため入れてあります。
アタマから短めのスペースがたくさんありますが、何しろテンポが速いのでそれほど感じないかもしれません。
8、11、13小節めに突然1小節ぶんのスペースができるので、なかなかの緊張感があって飽きさせません。
Falling In Love With Love/Keith Jarrett
アタマから短めのスペースが多くあります。
なんといっても、8〜9小節めにかけて2小節間丸々休符にしてしまうところが余裕を感じますね。
アドリブに慣れないうちは2小節も休むのは勇気がいるかもしれませんが、まったく気にする必要はありません。
Spain/Chick Corea
有名な『Spain』でのソロの出だし部分です。
ソロが始まってもなかなか弾き始めないところが、これまた余裕があってかっこいいですね。
弾き始めてもブレスを感じさせるスペースがたくさんあります。
7小節めは譜面で見るよりたっぷりスペースがあるように聞こえます。
さいごに
今回はアドリブにおけるスペースについて解説してきました。
あえてスペースなしで弾き続けるのもそれはそれでかっこいいのですが、余裕を感じさせるようなスペースを入れるのもまた渋くてかっこいいと思います。
初心者のうちはついつい弾きすぎてしまうことがあります。
そしてアドリブが自分の番になった途端、すぐに弾き始めなければいけないと思ってしまいがちです。
しかしそんなことはありません。
試しに一度、自分では空けすぎかなと思うぐらいスペースを作ってみてください。
きっと今までとは違ったソロになるはずです。
今回の解説動画はこちら↓
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