以前、Paul McCartneyの弾くピアノの左手について紹介しましたが、今回はJazz系のピアニスト達です。
一流のピアニスト達はみんな、聴けばすぐそれとわかるような個性的なフレーズを持っています。
その中でも今回は「難しいけどちょっと弾いてみたくなるかっこいい左手のフレーズ」を紹介したいと思います。
Jazz系のピアノで難しい左手というと、ストライドピアノなどが有名です。
こんな感じのものです。
基本的にはルートとコードを順番に弾きます。
譜面だけだとそんなに難しくなさそうですが、Oscar PetersonやArt Tatumといった達人は、これをものすごい速さで弾きます。
しかも彼らは手が大きいので、ルートと一緒にオクターブ上の3度、ようするに10度の音を同時に弾いたりします。
そしてそのうえで自在にアドリブをするのですから、驚異的ですね。
このようなストライドピアノはいろんなピアニストが弾いていますが、それとは違うちょっと個性的なものを紹介しましょう。
これは4ビートではなく16ビートです。
オクターブで「ド-ラ-♭シ-シ」を交互に、かなりの速さで弾いています。
これはRichard Teeの有名なフレーズです。
そしてこのように、右手で細かいリズムのコードを弾いていきますが、左手がくずれることはありません。
なんといってもグルーブ感が素晴らしいです。
では次はこれを見てください。
これはMichel Petruccianiがよく使う独特のフレーズです。
コード的には「C7」ということになります。
そして少しSwingしています。
まず「C7」の【Root】と【5th】を「ド-ソド-ソ」と順番に弾きます。
そして【7th】の「♭シ」に半音下からアプローチ、次に【3rd】の「ミ」にも半音下からアプローチします。
そしてこれをずっと繰り返します。
このような曲に使われています。
この曲では少しハネたリズムで弾いていますが、もっと早いテンポで、16分音符のようにハネずに弾いている曲もあります。
例えばソロピアノで演奏する「Take The A Train」などでも、この得意技を使っています。
このフレーズをずっと弾きながら、右手ではものすごいアドリブソロを弾いたりするのがすごいですね。
最後はこのようなフレーズを紹介しましょう。
これはMichel Camiloがよく使う左手のパターンです。
いかにもラテン系のピアニストといった感じです。
少々リズムがわかりにくいのでカウベルとハイハットを入れておきました。
面白いのは、4拍めに弾いている音が次の小節のコードのルートになっていることです。
そしてそのルートを弾くまえに、必ず半音上か半音下からアプローチしています。
アプローチノートはほとんどその小節のコードの構成音になっていますが、2小節めの「#レ」や4小節めの「#ファ」はコードの構成音ではないので、一瞬ハっとさせる効果もあります。
リズムを見てみると、1小節め以外は1拍めのアタマに音がありません。
必ず1拍めの8分ウラから入ってくるところが、このフレーズの難しいところでもあります。
そしてこんな難しいリズムの左手をキープしながら、右手は自由にソロを弾いてしまうところがほんとにすごいです。
この曲以外にもこのパターンを使っている曲はいくつかあるので、調べてみてはいかがでしょうか。
というわけでちょっとマニアックになってしまいましたが、Jazz系の天才ピアニスト達の個性的なテクニックをいくつか紹介してみました。
ぜひ検索して本物を聴いてみてください。
個性的なフレーズばかりですので、そのまま使えば誰のフレーズかすぐわかってしまいます。
ライブなどで使えば、元を知っている人たちにはウケるのではないでしょうか♪
ですが、オリジナル曲に使うのはやめておいたほうがいいかもしれません・・・
今回の解説動画はこちら↓