「天才たちのワンフレーズ」シリーズ、今回は「Chick Coreaのフレーズ」を紹介します。
今回のフレーズ
ではまず今回のフレーズを聞いてみてください。
これは名曲「SPAIN」でのエレピのアドリブの冒頭部分です。
今回解説したいのはこの中の4小節め、「F#7」でのフレーズです。
フレーズ分析
これを異名同音で書き換えてみます。
すると「E♭7」の構成音になっているのがわかると思います。
「E♭7」の構成音は「F#7」にたいしてそれぞれこのような音になっています。
【♭9】と【13】が入っているのが特徴的です。
これは「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」のフレーズということになります。
この「SPAIN」はキーが「Bm」です。
「Key=Bm」の曲では「レ」はナチュラルにするのが一般的です。
「レ」がトニックの「Bm」にたいしての【3rd】であり、この音がマイナーっぽさを出しているからです。
そうするとコードが「F#7」のときも「レ」がナチュラルになるようなスケール、たとえば「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」などを使うのが一般的です。
しかしここではあえて「#レ」が含まれる「コンビネーションオブディミニッシュスケール」を使っています。
「Key=Bm」なのに一瞬「Key=B」のようなサウンドになるのが面白いところです。
左手のコード
ちなみに左手ではこのようなコードを弾いています。
見やすくするため1オクターブ上げてみてみましょう。
「コンディミ」の中の【3rd】【13th】【7th】の音を弾いています。
この3つの音だけでは【9th系】の音が入っていないのでスケールは特定できないのですが、右手のフレーズと合わせて「コンディミ」ということがわかります。
まとめ
まとめると「F#7」のときに「E♭7」の構成音を使うということになります。
「元のコードの1音半下のコードの構成音を使う」と覚えればいいと思います。
その考え方だと「C7」のときは「A7」の構成音を使うということもすぐわかります。
応用例
ではさっそく実際に他の曲に使ってみましょう。
まずは「Key=C」の【Ⅱ-Ⅴ】です。
「G7」のときに「E7」のアルペジオを使っています。
メジャーキーで使うと違和感なく自然に聞こえます。
「SPAIN」とは全く違うサウンドですが、このような使い方も面白いと思います。
これは「Key=Am」の【Ⅱ-Ⅴ】です。
「Am」のマイナーらしさを出す大事な「ド」が「#ド」になっているので少し違和感がありますが、それがまた面白いところでもあります。
さいごに
というわけで今回はChick Coreaの「SPAIN」でのワンフレーズを紹介しました。
「マイナー系の曲なのにメジャー感を少し出す」というちょっと面白いテクニックです。
ぜひいろんな曲のドミナント7thコードに使ってみてください。
この「SPAN」の中にはまだまだかっこいいフレーズがたくさんあるので、また機会があれば紹介したいと思います。
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