これまでいろんな種類の「ドレミソ」フレーズを紹介してきました。
今回はこれまで紹介した「ド-レ-ミ-ソ1」から「ド-レ-ミ-ソ5」までのまとめとして、実際のアドリブにどのように使われているのか見てみたいと思います。
※ MIDIデータをつけておきますのでぜひ参考にしてみてください。
題材はJohn Coltraneの『Giant Steps』です。
実際のアドリブの冒頭部分を少しだけ分析してみましょう。
もちろん「ドレミソ」だけで出来ているわけではありませんが、かなり多用しているので参考になると思います。
ド-レ-ミ-ソ1から5までの解説
その前にこれまで解説した「ドレミソ」フレーズをまとめてみます。
「ド-レ-ミ-ソ1」で紹介したものは、メジャーコードにおける【Root】からの「ドレミソ」です。
【7th】の音が入っていないので、トライアドの「C」にも「C△7」にも「C7」にも、そして「C6」にも使用できます。
もう一つはマイナーコードにおける「ドレ♭ミソ」です。
これも「Cm」「Cm7」「Cm△7」「Cm6」などに使用できます。
「ド-レ-ミ-ソ1」の記事はこちら↓
「ド-レ-ミ-ソ2」で紹介したものは、「m7(♭5)」における【Root】からの「ド♭レ♭ミ♭ソ」です。
「Cロクリアンスケール」の「1-2-3-5」ということになります。
そしてもう一つは「7thコード」における【Root】からの「ド♭レミソ」です。
この「♭レ」は「C7」にたいする【♭9th】です。
スケールでいうと「Cハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」になります。
「ド-レ-ミ-ソ2」の記事はこちら↓
「ド-レ-ミ-ソ3」で紹介したものは、「7thコード」の【#11th】からの「ドレミソ」です。
これは「C7」の裏コードである「G♭7」の【Root】からの「ドレミソ」です。
スケールは「Cオルタードスケール」です。
かなりテンション感が強くJazzyなフレーズになります。
「ド-レ-ミ-ソ3」の記事はこちら↓
「ド-レ-ミ-ソ4」で紹介したものは、「C7」における【♭9th】からの「ドレ♭ミソ」を逆行させたものです。
これは「C7」の半音上のマイナーコードである「C#m」の「ドレ♭ミソ」ということになります。
スケールは「Cオルタードスケール」です。
これもかなりテンション感が強く、アウトしているように聞こえるかもしれません。
「ド-レ-ミ-ソ4」の記事はこちら↓
「ド-レ-ミ-ソ5」では3つ紹介しました。
1つめは「Cm7」における【3rd】からの「ドレミソ」です。
「Cm7」の【3rd】である「E♭」を【Root】とする「ドレミソ」と考えればいいでしょう。
スケールでいうと「Cドリアン」「Cフリジアン」「Cエオリアン」で使用できます。
2つめは「C7」における【5th】からの「ドレ♭ミソ」です。
「C7」の【5th】である「G」を【Root】とする「Gm」における「ドレ♭ミソ」と考えればいいでしょう。
スケールとしては「Cミクソリディアン」になります。
「Cリディアン7th」でも使用できます。
3つめは「C△7」における【5th】からの「ドレミソ」です。
「C△7」の【5th】である「G」を【Root】とする「ドレミソ」と考えればいいでしょう。
「Cアイオニアン」「Cリディアン」で使用できます。
「ド-レ-ミ-ソ5」の記事はこちら↓
Giant Stepsの分析
まず『Giant Steps』のテーマを改めて見てみましょう。
Keyが「B」「G」「E♭」とめまぐるしく変わっていくコード進行です。
しかもテンポが速いので、初心者にとってはかなりの難曲です。
ではさっそくコルトレーンのアドリブを見てみましょう。
「ドレミソ」にマークをつけてあります。
数字は何番めの動画で紹介した「ドレミソ」なのかを表しています。
ちょっとこれではテンポが速すぎてよくわからないかもしれないので、テンポを落としたものを聴いてみてください。
ほとんど「ド-レ-ミ-ソ1」で紹介したメジャーコードにおける【Root】からの「ドレミソ」になっています。
5段めの3小節めの「E♭」では、それを逆行させ「ソミレド」と演奏しています。
「ド-レ-ミ-ソ5」で紹介したフレーズもところどころ出てきています。
6段めの2小節めの「F#7」では、コード「E」の「ドレミソ」が使われています。
譜面には番号ではなく※をつけましたが、これは「ド-レ-ミ-ソ1」から「ド-レ-ミ-ソ5」のどれにも当てはまりません。
これは「F#7」にたいして「7-Root-9-4」になっています。
【4th】はアボイドノートなのでこのような使い方はなかなか難しいのですが、ここではその前のコードである「E♭」での「ドレミソ」がそのまま平行に半音上がるという流れの面白さがあります。
青でマークしたところはトライアドの分散です。
ようするに <コードが「C」のときに「ド-ミ-ソ」を使う> という、もっともシンプルなフレーズです。
ジャズというと難しいフレーズばかり弾いているようなイメージですが、コルトレーンでもこのようなシンプルなフレーズをけっこう使っていることがわかります。
緑でマークしたところも4声のコードをただ分散させたものです。
<コードが「Am」のときに「ラ-ド-ミ-ソ」を使う>という、これもまたかなりシンプルなフレーズです。
今回は全ては解説しませんが、その他のフレーズもコードやスケールにたいしてそんなに難解なフレーズを演奏しているわけではないので、ぜひ分析してみてください。
というわけで 「ドレミソ」フレーズが実際にどう使われているかを見てきました。
『Gant Steps』の今回紹介した部分では、「ド-レ-ミ-ソ1」と「ド-レ-ミ-ソ5」しか使われていませんでしたが、「ド-レ-ミ-ソ2」「ド-レ-ミ-ソ3」「ド-レ-ミ-ソ4」などもぜひ使ってみてください。
この『Giant Steps』のコード進行で、まずは作曲するようにいろんな「ド-レ-ミ-ソ」フレーズを譜面に書いてみるのもとても役に立つと思います。
MIDIデータを置いておきますので、ぜひダウンロードしてお使いください↓
応用例
最後にサンプルとして『GiantSteps』のコード進行にいろんな「ドレミソ」フレーズを当てはめてみました。
すべてこれまでに紹介したものです。
ときどき逆行させたりリズムを変えたりして変化をつけてあります。
これもかなり速いので、テンポを落としたものを聴いたほうがわかりやすいと思います。
いままで紹介した「ドレミソ」フレーズだけでもかなり面白いアドリブができることがわかると思います。
ぜひいろいろ試してみてください。
こちらもMIDIデータを置いておきますのでダウンロードしてお使いください↓
今回の解説動画はこちら↓