「天才たちのワンフレーズ」シリーズ、今回はHerbie Hancockのフレーズを紹介します。
今回のフレーズ
ではまず今回のフレーズを聞いてみてください。
これは『New York Minute』という曲でのアドリブです。
この曲はDon Henleyのオリジナル曲で、ハービーの「The New Standard」というアルバムでカバーされています。
この中の3小節めから4小節めまでを紹介したいと思います。
フレーズ分析
この曲は「Key=Cm」です。
このフレーズはドミナントである「G7」でのフレーズということになります。
このようなフレーズになっています。
調号ではなく臨時記号で記譜しました。
このフレーズはこのように「E♭」と「D♭」を元にしたフレーズでできています。
使っている音を並べるとこのようになります。
「E♭」の「1-2-3-5」、いわゆる「ドレミソ」フレーズ(※移動ドでのドレミソ)、
そして
「D♭」の「1-3-5-1」、ようするにトライアドのアルペジオ
というとてもシンプルな作りになっています。
この移動ドでいう「ドレミソ」フレーズはJazzのアドリブでよく使われますが、今回のフレーズのポイントは「G7」に「E♭」の「ドレミソ」フレーズを使うというところです。
※コルトレーンもよく使う「ド-レ-ミ-ソ」というパーツを紹介した記事がこちらにあるので、ぜひ参考にしてみてください。
これらの音を全て含むスケールはオルタードスケールです。
【#11th】からのトライアドである「D♭」のアルペジオ、そして【♭13th】からのトライアドである「E♭」の「ドレミソ」を使うと覚えればわかりやすいと思います。
【#11th】からのトライアドは「裏コード」のトライアドと覚えてもよいでしょう。
このフレーズを「G7」の度数で分析するとこうなります。
かなりオルタードテンションが多いフレーズということがよくわかります。
2小節めに突然オクターブになるところもかっこいいですね。
このあたりは下記の記事も参考にしてください。
まとめ
では簡単に作り方をまとめてみましょう。
今度は「C7」で作ってみましょう。
まず「C7」の【♭13th】をRootとする「A♭」というコードの「ドレミソ」を弾きます。
すぐに次は「C7」の裏コードである「G♭」のトライアドをアルペジオで「3-5-1-3」と弾きます。
2小節めは「G♭」の【5th】である「♭レ」をオクターブで弾き、単音で「G♭」の【3th】である「♭シ」を弾きます。
そしてまたオクターブで「♭レ」を弾いて終わりです。
応用例
では応用例を見てみましょう。
これは「Key=C」の「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ」です。
今回のフレーズとは違ってメジャーキーにしました。
キーは違いますが同じように「G7」の中で「E♭」「D♭」のフレーズを使っています。
「ドレミソ」フレーズではなく、どちらもトライアドのアルペジオにしてみました。
これは「E♭」「D♭」も「ドレミソ」フレーズにした例です。
Keyは「Cm」です。
今回のフレーズとは逆に、先に「D♭」、次に「E♭」のフレーズにしてみました。
出てくる順序はどちらでもいいということです。
これも「Key=Cm」です。
「E♭」と「D♭」のアルペジオを1拍ずつ交互に弾いてみました。
このように1小節のなかに「E♭」と「D♭」のフレーズが何度出てきてもかまいません。
さいごに
というわけで今回はHerbie Hancockのワンフレーズを紹介しました。
オルタードスケールをアッパーストラクチャートライアド的な考え方で演奏したフレーズでした。
フレーズの最後をオクターブにするのは、とてもハービーっぽくてかっこいいと思います。
オクターブ以外は楽器を問わないのでぜひ試してみてください。
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