今回は、ラテン音楽などでよく聴かれるピアノのバッキングである「モントゥーノ(トゥンバオ)」を紹介したいと思います。
はじめに・・・「モントゥーノ」はまちがい?
「モントゥーノ」はこんな感じのものです。
よく耳にしますよね。
これを実際に使ってみようということです。
とは言ってもラテン音楽はそんなに簡単にマスターできるものはなく、ちゃんと勉強して突き詰めるのには何年もかかります。
この講座では本格的に追求するのではなく、なるべく簡単にオリジナル曲などにラテンのエッセンスを取り入れることを目的にします。
ひとくちにラテン音楽と言ってもその種類は膨大です。
よく聞くものでは「サンバ」「ボサノバ」「タンゴ」などがそうです。
「サルサ」「チャチャチャ」「スカ」「マンボ」「ソン」などもわりとよく耳にするのではないでしょうか。
その中で特に「サルサ」などによく聞かれるピアノのパターンを取り上げたいと思います。
このよく聞かれるパターンのことを本来は「トゥンバオ」といいます。
最初に「モントゥーノ(トゥンバオ)」と書いたのはこの「トゥンバオ」というものが一般的には「モントゥーノ」と理解されていることが多いからです。
しかしながらこのパターンのことを「モントゥーノ」というのは間違いです。
「モントゥーノ」というのはポップスでいうと「サビ」みたいなもので、曲のなかで一番盛り上がる部分を指します。
よって「モントゥーノでトゥンバオを演奏する」というような使い方が正しいのです。
代表的なクラーベのリズムパターン
さて前置きが長くなってしまいました。
ピアノの前にもう一つだけどうしても覚えておいてほしいものがあります。
それは「クラーベ」というリズムパターンです。
「クラーベ」にもいろいろあるのですが代表的な二つだけ覚えておきましょう。
まずは「ソン・クラーベ」というものです。
これは「ソン・クラーベ」の中の「3-2(スリーツー)」と呼ばれるものです。
そしてこれが「2-3(ツースリー)」と呼ばれるものです。
1小節目と2小節目が逆になっているだけですね。
次は「ルンバ・クラーベ」というものです。
これにも「3-2(スリーツー)」と「2-3(ツースリー)」があります。
この「ルンバ・クラーベ」は「ソン・クラーベ」の中の3つ鳴らす小節の最後の音が8分音符ずれたものです。
「サルサ」などでは「ソン・クラーベ」「ルンバ・クラーベ」などのパターンがずっと繰り返され、このパターンを意識しながら演奏するのですが、ポップスなどにラテン風味を少し取り入れたいといった感じの場合それほど意識する必要はないでしょう。
しかし、このパターンを裏に軽く入れておけば簡単にラテンっぽい雰囲気が出るので覚えておくと便利です。
メジャーコードの場合
ではさっそくピアノのパターンを紹介しましょう。
今回は1コードでやってみたいと思います。
コードは「Key=C」のトニックの、「C」にします。
その前にまず代表的なベースパターンを紹介しておきましょう。
代表的なベースパターン
音は【ルート】【5th】【オクターブ上のルート】を交互に弾いているだけです。
1コードが続く場合だとこんなパターンもあります。
これは【ルート】【5th】【オクターブ上の3rd】と弾いています。
リズムが普通のポップスとはずいぶん変わっています。
1拍目を弾くのは最初の小節だけであとは1拍目に音がありません。
これが「サルサ」などの特徴的なベースパターンです。
次の小節でコードが変わる場合は、前の小節の4拍めに次のコードの【ルート】を弾きます。
しかし今回は1コードでの説明なので、これはコード進行があるときに改めて説明します。
構成音だけ
それでは「C」の1コードでピアノをつけてみましょう。
「C」なので構成音は「ドミソ」ですね。
まずその3つの音だけで作ってみましょう。
【右手】と【左手】はまったく同じことをオクターブでやっているだけです。
リズムは「トゥンバオ」の代表的なものです。
いかにもラテンといった感じですね。
しかし「ドミソ」だけというのがあまりかっこよくない感じがします。
そんなときは音を動かしてみましょう。
クリシェを使う
一番簡単なのは【ルート】を「クリシェ」のような形で動かす方法です。
【ルート】は「ド」なのでそれを【シ-ラ】と動かしてみましょう。
【Root-△7th-6th】という動きです。
このような動きです。
(クリシェに関してはこちらを参考にしてください↓)
そしてそれを取り入れて作ってみたのがこんなパターンです。
よりラテンっぽくなったような気がします。
先ほどと同じで【右手】と【左手】はまったく同じです。
そのキーの中の「Ⅰ」と「Ⅳ」のメジャーコード、つまり「キーがC」なら「C」または「C△7」と「F」または「F△7」ではこの動きが使えます。
今回は使っていませんが、「ドミナント7thコード」では【△7th】の音は使わない方が無難です。
「ドミナント7thコード」はたとえば「キーがC」のときの「G7」ですが、コードネームにただ「G」としか書いていなかったとしても性質は「ドミナント」なので【△7th】である「F#」の音は使わないほうがいいでしょう。
右手だけオクターブ
では先ほどのパターンを少し変えてみましょう。
【ド-シ-ラ】と下がる音を【右手】だけオクターブにしてみました。
【左手】は先ほどのものと同じです。
こういうパターンの場合は、【左手】をオクターブにすることはほぼありません。
なのでそれほど難しくはないと思います。
単音で弾くより派手になっていい感じですね。
アルペジオを使う
ではまた違った感じにしてみましょう。
今度は「アルペジオ」を取り入れてみました。
一見難しそうな譜面ですが、先ほどのパターンと全く同じリズムでオクターブを弾いています。
そしてその間を埋めるように「アルペジオ」にしていますが、「ミ」と「ソ」を順番に弾いているだけなので弾くのは難しくないと思います。
【左手】は【右手】と同じですがオクターブは弾いていません。
「C6」のコードを分散させる
ではまたちょっと違ったパターンです。
楽しげな感じでいいですね。
【右手】も【左手】も単音です。
「クリシェ」はやめて「C6」のコードを分散させてラテンっぽいリズムで弾いてみました。
コードネームには「C」としか書いてないのですが、勝手に「C6」にしても大丈夫です。
「クリシェ」のパターンなども細かくコードネームをつけると【C-C△7-C6-C△7】となりますがこれもあくまでも「C」というコードの中で勝手に動かしているだけなのです。
これを譜面に書く場合も「C」とだけ書いておけば大丈夫です。
マイナーコードの場合
では次は「マイナーコード」でやってみましょう。
「Am」でやってみます。
「Key=Am」のトニックと考えてください。
代表的なベースパターン
まずはベースです。
「C」の時と同じで【ルート】-【5th】-【オクターブ上のルート】です。
リズムも全く同じで1小節めしか1拍めの頭を弾きません。
このように【オクターブ上のルート】ではなく【3rd】でもかっこいいと思います。
構成音だけ
ではピアノです。
まず「Am」の構成音だけで弾いてみます。
これでもいいのですがちょっと味気ないですね。
クリシェを使う
これも「クリシェ」を使って動かしてみましょう。
使う音はこのような感じです。
「C」のときと違って「ラ」から半音で4つ下げてみましょう。
ではこれを使ってやってみます。
まずはこんな感じです。
よく聞くパターンだと思います。
「マイナーコード」にはこの「半音クリシェ」がよく合います。
【左手】は「C」のときと同じで【右手】とユニゾンになっています。
右手だけオクターブ
これは「クリシェ」で下がる部分をオクターブにしてみました。
いかにもラテンっぽい感じですね。
アルペジオを使う
これはまた「アルペジオ風」にしてみました。
にぎやかな感じがいいですね。
「Am6」のコードを分散させる
これは「クリシェ」を使わずに「Am6」の分散を使ってみたパターンです。
トニックを「Am6」にするということは、「メロディックマイナー」を想定しているということになります。
「Am7」のコードを分散させる
「Am6」があまり好きでない場合はもちろん「Am7」にしてもかまいません。
「Am6」の分散も「Am7」の分散も、「Am」と書いてあるところに自由に使って大丈夫です。
まとめ
というわけで今回は簡単にラテンっぽさを出せる「トゥンバオ」を紹介しました。
覚えておくとアレンジのバリエーションが増えるのでおすすめです。
次回は「コード進行の上で弾く方法」を紹介します。
それができるようになるといろんな曲をラテン風にアレンジすることができるので、音楽の幅がかなり広がると思います。
その前にまずは今回の「1コードで弾く方法」をマスターしておきましょう。
今回の解説動画はこちら↓
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