モントゥーノ(トゥンバオ)Part2ということで、今回はコード進行の上でいろいろなパターンを作っていこうと思います。
これができるようになると、どんな曲にもトゥンバオを使うことができるようになるので、アレンジの幅が広がって楽しいと思います。
ラテン音楽をやっているミュージシャンの方々をリスペクトしつつ、かっこいいところを自分のアレンジに取り入れさせてもらいましょう。
- 【C-F-G7-C】
- 【C-F-G-F】2拍ずつの進行
- 【Am-E7-E7-Am】
- 【Dm7-Am-E7-Am】
- 【Ⅱ-Ⅴ】を使った進行
- 複雑なコード進行
- 右手と左手がハモるパターン
- さまざまなジャンルで
- まとめ
【C-F-G7-C】
ではさっそくやってみます。
まずはこんな簡単なコード進行です。
「キーがC」での【トニック-サブドミナント-ドミナント-トニック】という進行です。
この譜面は全てのコードを転回せずに「ルートポジション」で並べたものです。
これはトゥンバオに限りませんが、このまま弾くと横のつながりがあまりよくありません。
音が上下に飛んでしまってスムーズに聞こえない気がします。
そこでこのように転回します。
これだと先ほどより音が上下しないのでスムーズに聞こえます。
この転回形を元にトゥンバオを作ってみます。
ベースパターン
その前にまずベースパターンを作ります。
基本的にそれぞれのコードの【ルート】と【5th】だけを使っています。
1拍目の頭に音があるのは1小節目だけです。
あとは次の小節のコードの【ルート】が前の小節の4拍めにきています。
これはサルサなどに見られる典型的なベースパターンです。
パターン1-1
ではこのうえにピアノをつけてみます。
【右手】と【左手】はまったく同じことを弾いているだけです。
先ほどの転回形を使いましたが「G7」では【ルート】を弾いていません。
ベースが弾いているのでピアノは弾かなくても大丈夫です。
リズム的には、ベースと違ってピアノは次の小節の【ルート】が「前の小節の4拍目8分ウラ」にきています。
そしてそれを「シンコペーションさせたり」「小節の頭を弾いたり」を1小節おきに交互にやっている感じです。
ベースと合っていないように思いますが、これが代表的なパターンなのです。
このリズムを覚えておけばあとはコードトーンを弾くだけなので、いろいろ応用できると思います。
パターン1-2:オクターブを加える
ではこれを少し変えてみましょう。
ところどころを【右手】だけオクターブにしてみました。
華やかになりましたね。
このオクターブを使うパターンも非常によく聴かれるものなので、ぜひマスターしてください。
パターン2-1:転回形を変える
では転回形を変えてみましょう。
元のコードはこれですが
これを今度はこのようにしてみます↓
先ほどのものは「C」を【ド-ミ-ソ】というボイシングにしましたが、これは【ソ-ド-ミ】というボイシングにしてみました。
そうすると当然そのあとのコードも転回形が変わってきます。
「C」を【ソ-ド-ミ】と弾いたなら次の「F」は【ラ-ド-ファ】と弾いたほうがつながりがいいですね。
このボイシングで先ほどと全く同じパターンを弾いてみます。
パターン2-2:オクターブを加える
同じようにオクターブを加えてみます。
最初のものより音域が高くなったぶんより派手に聞こえます。
パターン3-1:アルペジオにする
では次はこれをアルペジオのような形にしてみましょう。
それぞれコードの構成音しか使っていません。
「G7」のところではまた【ルート】はベースに任せてピアノは弾いていません。
ひとつ注目するところは「C」のところで使っている「#ソ」です。
これは「ソ」から「ラ」にいくときの「クロマチックアプローチ」です。
コードトーンではありませんが、外れているようには聞こえないと思います。
「クロマチックアプローチ」を使わずに弾くとこんな感じです。
使ったほうがおしゃれでかっこいい気がしますがどうでしょう。
もちろん好みなのでどちらでもかまいません。
パターン3-2:オクターブを加える
これにオクターブを使ってみましょう。
いかにもラテンといった感じでいいですね。
【C-F-G-F】2拍ずつの進行
では次はコード進行を【C-F-G-F】に変えて、さらにそれを2拍ずつの進行にしてみましょう。
ではベースとピアノを一つの譜面にしてみましょう。
ベースパターン
まずはベースを聴いてください。
ベースは【ルート】しか弾いていません。
そして今までのように1小節め以外は拍の頭にはベースがありません。
「F」は8分音符前に、そして「G」と「C」は1拍前にあります。
パターン1-1
ではピアノを入れてみます。
ピアノは2小節パターンになっています。
ベースとリズムが合うところと合わないところがあっておもしろいですね。
難しいですが、ベースを【左手】で弾きながらピアノの【右手】だけをゆっくり弾いてみるとリズムの仕組みがわかると思います。
パターン1-2:アルペジオやオクターブ(4つのパターン)
ではこのコード進行でベースもそのままで、ピアノのパターンを4小節ごとに少しずつ変えてみます。
アルペジオにしてみたりオクターブを使ってみたりしています。
2、4小節めの「F」では【6th】にあたる「レ」の音を使ってみました。
「G」からの流れで「レ」でもよさそうだったのでこうしてみました。
こういうふうに自由に音を変えてみるのもありです。
2段目と3段目はアルペジオにする場所を変えてあります。
4段目はアルペジオのみで弾いてみました。
他にもいろんなバリエーションが考えられそうですね。
【Am-E7-E7-Am】
ではまたコード進行を変えてみましょう。
「キーがAm」でトニックとドミナントを使った進行です。
「Am」での「ファ」はAvoidではありますが、【ミ-ファ-ミ】と動くことによってトニックマイナー感が強くなっています。
3小節めの「E7」でも「ファ」を使っていますが、これは「E7」にたいしての【♭9th】の音です。
3小節めから4小節めにかけてコードは変わっているのに、どちらにも【ミ-ファ-ミ】という動きが使われているのがいいですね。
【E-Am】
これを多めに使ったパターンだとこんな感じでしょうか。
よく耳にするパターンだと思います。
これをまたアルペジオなどにしてみるのもいいのではないでしょうか。
【Dm7-Am-E7-Am】
ではもう一つマイナーキーのパターンです。
これはマイナーキーにおける「Ⅰ」「Ⅳ」「Ⅴ」を使った進行です。
これも横の流れを考えてトップノートは「ファ」と「ミ」を中心に、「E7」では【7th】の「レ」の音を一つだけ使いました。
「レ」ではなく「ミ」のままでももちろんOKです。
【Ⅱ-Ⅴ】を使った進行
次は【Ⅱ-Ⅴ】を使った進行です。
パターン1-1
Part1【基礎編】のときに紹介したように、マイナーコードでは半音のクリシェ、メジャーコードには【△7th】から【6th】のクリシェを使っています。
ただし「Dm」でのクリシェで【6th】の「シ」の音まで下がったとき、ベースを「G」にして「G7」にしてみました。
「Dm6」は構成音が【レ-ファ-ラ-シ】です。
この譜面ではその転回形である【シ-レ-ファ-ラ】になっています。
ここでベースが「ソ」を弾くと下から【ソ-シ-レ-ファ-ラ】となります。
これはコードネームでいうと「G9」となります。
譜面には「G7」としか書いてないですが、フレーズに【9th】を入れるのは全く問題ありません。
パターン1-2:オクターブやアルペジオを入れる
これにオクターブやアルペジオを入れてみます。
より派手になりましたね。
速く弾くのは大変かもしれませんが、まずは遅いテンポから練習しましょう。
複雑なコード進行
ではもうちょっと複雑なコード進行で作ってみましょう。
一見ややこしそうではありますが、規則正しくできた進行です。
【F#m7(♭5)-B7】というのは、「Em7」に進行するためのマイナーキーの【Ⅱ-Ⅴ】です。
そして進行した「Em7」を「Ⅱ」と考え、「Dm7」に進行するための【Em7-A7】という【Ⅱ-Ⅴ】を作ります。
そして進行した「Dm7」をまた「Ⅱ」と考え、【Dm7-G7】という「Key=C」での【Ⅱ-Ⅴ】を作り、「C△7」で終わるというコード進行です。
この進行にトゥンバオを作ってみます。
アルペジオを中心にオクターブなどを加え派手な感じにしてみました。
後半から少し他の楽器も入れてみました。
8小節パターンなので、前半と後半のピアノは同じでエンディングが少し違うだけです。
次のコードにうつるときに「クロマチックアプローチ」を多く使ってみました。
「ラ」から「シ」や「ソ」から「ラ」など、全音で動くときにはその間の半音を使うとなめらかに聞こえておしゃれですね。
右手と左手がハモるパターン
これまで【右手】と【左手】は同じ音を弾いていましたが次はちょっと違うパターンです。
見てわかるように【右手】と【左手】がハモっています。
「クロマチックアプローチ」の部分もきれいにハモれていると思います。
ユニゾンよりも豪華に聞こえますね。
これも選択肢の一つとして覚えておきましょう。
さまざまなジャンルで
トゥンバオはラテン音楽だけにとどまらずいろんなジャンルで聴くことができます。
たとえばこのようなものとか。
ゲーム音楽に
このようにゲーム音楽などにもちょくちょく使われているような気がしますね。
これは単音で弾いてみました。
アルペジオを基本に「クロマチックアプローチ」を取り入れてスムーズにコードがつながるようにしてあります。
本格的なトゥンバオのリズムではありませんが、じゅうぶんラテンっぽさは出ていると思います。
普通のポップスなどに
普通のポップスなどにも使われることがよくあります。
ラテン風味を取り入れたいと思ったとき、なにも曲の最初から最後までずっとトゥンバオを弾かなければならないわけでもありませんし、ずっとラテン風でないといけないわけでもありません。
Aメロはロックで、サビだけラテン風で・・・といった使い方も面白いと思います。
というわけでそのようなサンプルを作ってみました。
リハーサルマークの<A>は普通の16ビートで、全くラテン風ではありません。
<B>からトゥンバオにしてみました。
<B>のように、ピアノがトゥンバオを弾きながら他の楽器がキメをやるというのもよく聴くと思います。
ここはマイナーキーのトゥンバオのところで紹介したように「E7」でも「Am」でも【ミ-ファ-ミ-ファ】といった動きを使いました。
<C>からはメロディーのバックでトゥンバオを弾いてみました。
コード進行もメロディーも別にラテンっぽいわけではないのですが、ピアノのおかげでラテンっぽく聞こえますね。
ここもアルペジオを中心に「クロマチックアプローチ」などを使って、次のコードの構成音になめらかにつながるようにしました。
「G7」の「ソ」から「C」の「ミ」は半音3つぶんの間隔があり「クロマチックアプローチ」はできないので、スケールにそって【ソ-ファ-ミ】とつなげています。
【Bm7(♭5)-B7】のところはアルペジオやオクターブだけではなく、2音同時に弾いたりしています。
このようにずっと同じパターンではなく、時々変えるのも変化がついて面白いと思います。
そして<D>ではまたふつうのリズムに戻り、そのまま3連のキメで終わりました。
3連のキメもラテンにはよく使われています。
このサンプルのように曲の一部だけにトゥンバオを使いラテン風にするというのも変化がついて面白いと思います。
この例では<B>と<C>をラテン風にしてみましたが、<A>だけラテン風にしたり<B><D>をラテン風にしたりなど・・・いろいろなパターンが考えられるので、オリジナルなどに使う場合はいろいろ試してみるといいですね。
まとめ
今回はいろいろなコード進行の上でトゥンバオを弾く方法を紹介しました。
これができるようになると、どんな曲にも簡単にラテン風味を取り入れることができるので楽しいと思います。
最初からラテンっぽい曲にしたり、曲の一部だけをラテンっぽくしたりなど、アレンジの幅が広がるのでぜひ覚えてみてください。
興味をもたれた方は、より深くラテン音楽を勉強してみるのもいいでしょう。
今回の解説動画はこちら↓