「ひとつだけ覚えるアドリブフレーズ」今回は「Ⅱ-Ⅴ」の【Part4】です。
はじめに
このようなフレーズをマスターしましょう。
これもJazzなどでよく聞かれるフレーズです。
今回は【Ⅱ-Ⅴ】だけではなく【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】のフレーズにしてみました。
左手のコードはテンションが入っているので、ルートは省略しています。
ルートはベースに任せましょう。
フレーズの分析
ではフレーズを見てみましょう。
まずは1小節めを見てみましょう。
この「Dm7」は「Key=C」の「Ⅱ」ですから、使うスケールは「Dドリアン」です。
それぞれコードにたいしてどのような音になっているのか見てみます。
【9th】から入ってそのままコードトーンを【3-5-7】とアルペジオのように弾き、オクターブ上の【9th】まで上行します。
この【3-5-7-9】は「F△7」の構成音になっています。
【3rd】の音をルートとする「△7」のアルペジオを弾くと覚えるのもいいでしょう。
次の「#ド」はドリアンスケールにはない音ですが、次のルートである「レ」に向かってのクロマチックアプローチです。
そしてまた【9th】まで上行します。
2小節めです。
このフレーズは「コンビネーション・オブ・ディミニッシュ・スケール」です。
これもそれぞれどのような音になっているのか分析してみます。
1小節めのフレーズが「ミ」で終わっているので、そのままさらに半音で上行して「ファ」を弾きます。
そしてそれぞれ【13th】と【#11th】から16分音符のフレーズが続き少々難しそうですが、実はそうでもありません。
これを見てください。
【13th】からのフレーズも【#11th】からのフレーズも全く同じ音型になっているのがわかると思います。
「半音上がって下がって全音下がる」というフレーズの繰り返しです。
それぞれのフレーズは半音でつながっています。
この【♮13th】がコンディミの特徴的な音です。
そこでコードも「G7(♭9,13)」になっています。
そして4拍めは【#9th】【♭9th】と連続して弾いているので、かなりテンション感の強いサウンドになっています。
では3小節めです。
トニックですから当然「アイオニアン」になります。
それぞれの音を見てみましょう。
特に難しいことはやっていません。
2小節めの「G7」が「♭ラ」で終わっているので、そのまま半音下がって「ソ」を弾きます。
そこから【5-4-3】、ようするに【ソ-ファ-ミ】と下行してそこから【3-5-7-9-7】と「Em7」のようなアルペジオを弾きます。
ルートを弾かないところがちょっとおしゃれに聞こえますね。
まとめるとこのような感じになります。
他のキーで見てみよう
では他のキーでもすぐ弾けるようにするため、いくつかのキーで見てみましょう。
これは「Key=B♭」の【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】です。
使うスケールはこうなります。
「Cm7」は【9th】の「レ」の音から入り【3-5-7-9】と「E♭△7」のアルペジオを弾き、ルートの半音下の「シ」からクロマチックアプローチします。
「F7」は【7th】の「♭ミ」から入ります。
1小節めの「Cm7」が「レ」で終わっているので、そのまま半音上がるだけと思ったほうが簡単だと思います。
【13th】の「レ」と【#11th】の「シ」からそれぞれ16分音符で同じ音型を繰り返し、【#9th】の「♭ラ」、【♭9th】の「♭ソ」と弾き、次の「ファ」につなげます。
「B♭△7」は【5-4-3】と下行したあと【3rd】からの「m7コード」である「Dm7」のアルペジオを上行し、一つ下行するだけです。
ではもう一つ見てみましょう。
これは「Key=G」の【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】です。
使うスケールはこうなります。
「Am7」は【9th】の「シ」の音から入り【3-5-7-9】と「C△7」のアルペジオを弾き、ルートの半音下の「#ソ」からクロマチックアプローチします。
「D7」は1小節め最後の音の「シ」から半音上がって【7th】の「ド」から入ります。
【13th】の「シ」と【#11th】の「#ソ」からそれぞれ16分音符で同じ音型を繰り返し、【#9th】の「ファ」、【♭9th】の「♭ミ」と弾き、次の「レ」につなげます。
「G△7」は【5-4-3】と下行したあと、【3rd】からの「m7コード」である「Bm7」のアルペジオを上行し、一つ下行します。
覚えるための練習法
全てのキーで覚えるのはなかなか大変なので【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】を連続させ練習してみましょう。
【D-G-C-F・・・】と時計回りに「5度下」に進んでいくのですが、これを【Dm7-G7-C△7】という【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】と考え、その「Ⅰ」である「C△7」からルートは同じマイナーコードである「Cm7」を弾き、それを新たな「Ⅱ」と考え、【Cm7-F7-B♭△7】という新たな【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】を作りつなげていきます。
3小節単位だとつながりが悪いので、「Ⅰ」を2小節として【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ-Ⅰ】と4小節単位にしましょう。
4小節めにはフレーズがないので、次の準備をしやすいと思います。
サークルオブ5thを【Dm7-G7】から始まり1周するパターンと【Gm7-C7】から始まり1周するパターンの2種類で12個全ての【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】が出てきます。
ではつなげてみましょう。
まずは「Dm7」から始まるパターンです。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
次は「Gm7」から始まるパターンです。
カラオケ音源↓
MIDIデータ↓
バリエーション
慣れてきたらこのようにリズムを変えてみても面白いと思います。
音の並びは全く同じで、リズムだけを変えてみました。
1小節めはリズムを変えて、2小節めは使っている音は同じですが少し並びを変えメカニカルな感じにしてみました。
3小節めは「ファ」を抜いてリズムを少し変えてあります。
さいごに
というわけで今回はJazzなどでよく使われる「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰフレーズ」を紹介してみました。
今回のフレーズも楽器を問わず使えるのでぜひ試してみてください。
よくある定番フレーズなので、自分のアドリブソロなどにそのまま使っても大丈夫です。
Jazzに限らずポップスなどにも使ってみてください。
今回の解説動画はこちら↓