アドリブTipsシリーズ、今回は「フレーズの終わりをずらす」です。
アドリブに慣れている方は無意識にそのようになっている場合も多いとは思いますが、改めて考えてみたいと思います。
はじめに
まずはこれを見てください。
なんとなく冴えない感じがしませんか。
これはフレーズひとつひとつのリズムが全く同じだからです。
ちょっと話はそれますが、この7拍のリズムでできたフレーズは童謡などにもよく聞かれます。
とてもなじみ深く聞きやすいのですが、その反面あたりまえすぎて面白みに欠けるかもしれません。
ではこれはどうでしょう。
始まる位置が違うので先ほど説明した7拍のフレーズばかりではありません。
リズムもかなり変えてみましたが、まだいまいちな感じです。
これはフレーズが終わる位置が全て同じでしかもそれが強拍にあるからです。
強拍というのは4拍子では1拍めと3拍めということになるのですが、特に3拍めアタマで終わるフレーズは予想されやすく、ごく普通な感じになってしまいます。
もちろん悪いわけではないのですが、アドリブにこればかり出てくるとあまりかっこよく聞こえないので、意識的に変えるようにしたほうがいいでしょう。
アドリブフレーズは使う音はもちろんですが、その他に「フレーズの始まるポイント」、「フレーズの長さ」、「フレーズのリズム」、「フレーズの終わるポイント」など様々な要素が複雑に絡み合ってできるものですが、今回はフレーズの終わるポイントだけにフォーカスして解説していきたいと思います。
これを見てみてください。
終わるポイントを少し変えるだけで、かなり違って聞こえるのではないでしょうか。
自分がここで終わろうと思ったポイントより音符1つ前、または音符1つ後ろにずらすだけで面白いフレーズになることがあるので、ぜひ最後までご覧下さい。
フレーズ分析
では、実際にジャズミュージシャン達によって演奏されたフレーズを終わるポイント別に分析してみましょう。
今回は2小節以上のフレーズを対象にして、終わるポイント別に並べてみました。
1小節に満たないフレーズではよくわからないので、今回は対象外とします。
では順番に見ていきましょう。
1拍めアタマで終わる
Falling In Love With Love/Keith Jarrett
「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ」のフレーズですが【Ⅰ】の1拍めアタマで終わっています。
とても自然な終わり方です。
1拍めウラで終わる
Autumn Leaves/Bill Evans
これはマイナーの「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ」のフレーズです。
【Ⅰ】の2小節め1拍めのウラで終わっています。
アタマで終わるものと比べると、ちょっと意表をついて面白いです。
2拍めアタマで終わる
One For Helen/Bill Evans
この曲は「Key=Cm」なのですがコードは「Ⅱ7-Ⅴ7-Ⅰ7」となっています。
拍のアタマで終わってはいるのですが、2拍めなのでちょっと中途半端な感じがして、それがとても面白いのではないでしょうか。
もう1音弾いてしまいそうになるところを突然切っているような感じがします。
2拍めウラで終わる
On The Sunny Side Of The Street/Kenny Barron
これはトニックでのフレーズです。
2拍めのウラで終わるのもなかなか面白いですね。
もう1音弾いて3拍めアタマで終わりたくなってしまいそうですが、そこをあえて少し前で止めたという感じです。
3拍めアタマで終わる
Bessie's Blues/Chick Corea
やはり3拍めのアタマで終わるとリズム的にはとても自然です。
音使いがかっこいいのでセンスのいいフレーズになっていますが、終わり方はごく普通といった感じです。
3拍めウラで終わる
Autumn Leaves/Bill Evans
マイナーキーの「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ」です。
3拍めのウラで終わるというのもなかなか面白いと思います。
1つ前で終われば3拍めアタマなのでごく普通のフレーズになるところを、1音足したことによりちょっと変わった感じになっています。
4拍めアタマで終わる
The Way You Look Tonight/Keith Jarrett
4拍めのアタマで終わるというのも、1拍めアタマや3拍めアタマに比べるとちょっと意表をつく感じです。
このフレーズは3拍め4拍めが4分音符なので、ふつうに考えるともう1つ4分音符を弾いて次の小節のアタマで終わってしまいそうです。
4拍めウラで終わる
A Foggy Day/Red Garland
これももう1つ弾いて次の小節のアタマで終わってしまいそうなのですが、あえて1つ前でフレーズを切っています。
まとめ
それぞれ終わり方によって雰囲気が違うのがよくわかったと思います。
ではまとめとして、1、2小節めは全く同じフレーズ、同じテンポで比べてみましょう。
さいごに
今回はフレーズの終わるポイントについて見てきました。
これを少し意識するだけでアドリブがグっと変わります。
どこで終わるのがいいとか悪いとかそういったことはありませんが、いつも同じにならないようにしてみましょう。
自然で聞きやすいのはやはり拍のアタマ、とくに1拍め・3拍めで終わるフレーズです。
聞きやすくするのか、あえてそこを裏切るのかはそれぞれのセンスになってきますので、いろいろ試してみてください。
今回の解説動画はこちら↓
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