今回は「ゴーストノート」というものについて解説してみたいと思います。
演奏はもちろんのこと、DTMで生っぽく聴かせたいときなどはとても効果的なのでぜひマスターしてみてください。
はじめに
ゴーストノートというのはゴーストという名前の通り、実体がないような、音量のごく小さい音符のことをいいます。
聞こえるか聞こえないかぐらいで演奏されます。
特にドラムやベースなどのリズム楽器でよく使われます。
たとえばこのようなものです。
ゴーストノートがあるものとないものを聴き比べてみましょう。
まずはドラムです。
スネアの位置にある✖️印の音符がゴーストノートです。
ベースでもやってみましょう。
このベースのフレーズの場合はゴーストノートというよりミュート音といった感じですが、効果は同じです。
どちらもゴーストノートが入ることにより、グルーブ感が増しているのがわかると思います。
しかし、なくても音楽はじゅうぶん成立しています。
そこが大事なところです。
それがないと成立しないような大事な音ならば、それはゴーストノートとは言いません。
今回はベースやドラムなどによく使われるゴーストノートをピアノやキーボードにも使ってみたいと思います。
ゴーストノートは通常、譜面に書かれることはありません。
プレイヤーのセンスで自由に入れるものです。
4分打ちに使う
さて、このゴーストノートによってグルーブ感が増すというのはわかったと思います。
しかしそれだけではなく、ゴーストノートを入れることにより、リズムが取りやすくなり演奏が容易になるのです。
たとえばこのようなバラードでのシンプルな4分打ちです。
弾くこと自体は簡単なのですが、テンポをキープするのはけっこう大変です。
これはビートルズの『Hey Jude』でPaul McCartneyが弾いているピアノのフレーズです。
左手がオクターブで8分ウラに入ります。
ポールはよくこのような弾き方をしています。
※くわしくは「【音楽よもやま話】ポールの左手って・・・」を参考にしてください↓
このフレーズはゴーストノートいうより、最初からそういうフレーズのつもりで弾いたのかもしれません。
しかしこの8分ウラの音はなくてもちゃんと成立するので、ゴーストノートを入れるときの参考にはなると思います。
これを入れることによりリズムが取りやすくなり、テンポの遅い4分打ちがかなり楽になります。
ポールのように全部の拍に入れなくても、このように少し入れるだけでかなりリズムを取りやすいでしょう。
たとえばこのように16分ウラに入れると8分ウラに入れたときとはグルーブが変わります。
このゴーストノートがあることにより、16ビートの曲ということがすぐわかります。
ベースとぶつかりそうな気もしますが、これはあくまでもゴーストノートなのでそれほど気にする必要はありません。
ベースを邪魔しない程度のごく小さな音で軽く弾きましょう。
8分打ちに使う
このような単純な8分打ちにゴーストノートを入れてみましょう。
ここに書いてある左手は指定されたフレーズなので、これを変えてはいけません。
右手に音があるところに入れてもいいのですが、ゴーストノートとしての効果はありませんし、そもそもそれはゴーストノートとは言えないでしょう。
となるとこのフレーズの場合は16分ウラしか空いていないので、そこに入れることになります。
そうするとどうしても16ビートになってしまいます。
ギリギリ聞こえるぐらいのごく小さい音で弾きましたが、それでも16ビートのグルーブはなんとなく伝わるのではないでしょうか。
右手がこのようなフレーズだと、8分ウラにゴーストノートを入れることができます。
このサンプルでは5小節めから入れてみましたが、微妙な違いがわかるでしょうか。
今まではゴーストノートとしてそのコードのルートだけを入れていましたが、このような感じで和音にしたりコードトーンにしてもかまいません。
そもそもそんなに強くはっきり弾くわけではないので、それほど深く考える必要はありません。
16ビートに使う
16ビートに使われることが1番多いかもしれません。
特に速いテンポで16分ウラを弾くのは難しいので、ゴーストノートを使ってリズムを取りやすくするといいでしょう。
たとえばこのようなリズムを右手だけで正確に弾くのは、けっこう難しいのではないでしょうか。
このようにルートだけ2分音符を弾くだけでも、3拍めの8分ウラや16分ウラは弾きやすくなると思います。
拍のアタマに左手を入れることにより、8分ウラや16分ウラが取りやすくなり、グルーブ感も出てきました。
このように左手を和音にしてもかまいません。
ちょっと複雑なゴーストノートを入れてみました。
1小節めの「レ-ミ」や「ド-レ」はゴーストノートというにはちょっと目立ち過ぎかもしれません。
このように右手の隙間にうまく入れることができると、ノリがよくなって単純なフレーズもかっこよく聞こえると思います。
ゴーストノートとは言えませんが、1拍めのように右手と同じリズムで入るのもありです。
では、いま聴いた5種類のフレーズを続けて聴いてみましょう。
ベースは2分音符しか弾いていません。
微妙な違いがおわかりでしょうか。
どれがいいとか悪いとかではなく好きなようにやればかまいません。
5種類混ぜてもいいですし、もちろんゴーストノートを全く入れないというのもひとつの手です。
他の鍵盤楽器に使ってみる
このようにクラビネットなどにもよく使われます。
左手のゴーストノートのおかげで、右手の16分音符の複雑なリズムもかなり弾きやすくなります。
オルガンなどにも同じような使い方ができるので、ぜひ試してみてください。
右手に入れてみる
これまでの例では左手でゴーストノートを入れましたが、右手で入れることもあります。
たとえばこのボサノバのようなバッキングに入れてみましょう。
最初の譜面の8分休符の位置に軽く入れてみました。
ルートではなく、コードを弾いたときの1番下の音をゴーストノートにしています。
ゴーストノートを弾いた次のコードは3音しか弾いていませんが、これはただこのほうが楽に弾けるからというだけです。
別に4音弾いても、もちろんかまいません。
余談になりますが、ボサノバのギターなどもこのようなパターンで弾かれることが多いです。
ただしギターの場合、この譜面でのゴーストノートはそのコードのルートを弾くことがほとんどです。
そしてそれをゴーストノートと呼ぶことはありません。
ではオケを入れてみましょう。
なんとなく聞こえていると思います。
このぐらい目立たなくても、あるのとないのとではかなり違ってきます。
ソロフレーズに使ってみる
16分休符が多くて正確なリズムで弾くのは難しそうですが、左手でリズムを取りやすいようにゴーストノートを入れるとかなり弾きやすくなります。
右手のフレーズの隙間に軽く入れてみました。
一応コードトーンを弾いていますが、音はなんでもかまいません。
あくまでもゴーストノートなので、なんとなく聞こえていれば大丈夫です。
弾きやすくなり、さらにグルーブ感が増してかっこよくなったと思います。
これも簡単なオケを入れてみましょう。
他の楽器が入ってきてもゴーストノートはわずかに聞こえていると思います。
まとめ
というわけで、ゴーストノートは自由に入れたいところに入れたらいいのですが、そう言ってしまっては音楽講座にならないので強引にまとめてみましょう。
どのサンプルも最初はゴーストノートを入れずに始まり、途中から入れてあります。
ある場合とない場合を聴き比べてみてください。
1.元のフレーズが拍のアタマにある場合、ゴーストノートは裏拍に入れる。
8ビートの場合は8分ウラに入れるとよいでしょう。
16ビートの場合はところどころ16分ウラに入れるとよいでしょう。
ただしすべて16分ウラである必要はありません。
2.元のフレーズが拍のウラにある場合は、拍のアタマにゴーストノートを入れる。
8ビートの場合は8分音符主体にするのがよいでしょう。
16ビートにしたい場合は16分音符を多めに入れたほうがいいです。
これも16分音符だけである必要はありません。
そして、拍アタマでなくてはいけないというわけでもありません。
2小節めの3拍めはアタマではなく16分ウラに入れています。
3.右手が16ビートのリズムの場合は、拍アタマと8分ウラに入れる。
1小節めの1拍めを見てください。
8分ウラにゴーストノートを入れることで、16分ウラを取りやすくなります。
かなりややこしい説明になってしまいましたが、すごく簡単に言うと、右手が休符のところに入れておけば間違いありません。
例えば右手が4分休符の場合は、8分ウラでも16分ウラでも入れることができますが、そのあたりは元の曲のビートなどをふまえて自由に入れてみましょう。
もちろん右手が休符のところだけではなく、同時に弾いてもかまいません。
このように、右手と一緒になったりずれたりするのもかっこいいと思います。
さいごに
というわけで今回は、ゴーストノートというものを紹介してみました。
必ず必要なテクニックというわけではないですが、知っているのと知らないのではかなりプレイが変わってくると思います。
演奏もしやすくなり、さらにグルーブ感も出せるという一石二鳥のゴーストノートをぜひマスターしましょう。
DTMでも生っぽく聴かせたいときにはとても効果的なので、ぜひ使ってみてください。
今回の解説動画はこちら↓
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