今回は「フレーズをテンションで終わらせる」というアドリブにおけるTipsです。
その中でも特に「ドミナント7thコードのときにオルタードテンションで終わらせる」というものを紹介していきます。
- はじめに
- We See/Thelonious Monk
- Off Minor/Thelonious Monk
- Stompin' at the Savoy/Aaron Parks
- Alice In Wonderland/Bill Evans
- Come Rain Or Come Shine/Bill Evans
- まとめ
- さいごに
はじめに
言葉だけではピンと来ないと思いますので、まずはこれを見てください。
1と2の違いは「G7」のときの最後の音です。
1のように【5th】の「レ」で終わるのはとても自然なのですが、ちょっと当たり前すぎる気もします。
2のように【♭13th】である「♭ミ」のほうがちょっとおしゃれでジャズっぽい感じがするように思いませんか。
ここからが今回の主旨となるわけですが、これはただ単に【♭13th】を使うということではありません。
このように「♭ミ」から【5th】である「レ」に進行してしまうと、2のフレーズのようなちょっと変わった面白さがなくなってしまいます。
2の面白さは「オルタードテンションでフレーズが終わる」ということがポイントになっているというわけです。
ではここからは、実際にジャズミュージシャン達によって演奏されたフレーズを見ていきましょう。
We See/Thelonious Monk
1小節めの「C7」は【#9th】で終わっていますが、休符を入れずにすぐ「F7」でのフレーズにつながっているので、今回の主旨とは違います。
「F7」は最後の音が【3rd】であり、しかもすぐ「Cm7」でのフレーズにつながっています。
4小節めの「F7」では、最後の音が【♭13th】で終わっています。
これがちょっと変わった感じに聞こえるポイントです。
Off Minor/Thelonious Monk
これも先ほどと同じモンクのフレーズです。
2小節めの「D7」は【♭9th】で終わってはいますが、すぐに次の音に進行するので「フレーズの終わり」という感じはしません。
4小節めの「B♭7」が【#11th】の「♮ミ」で終わっているところが面白いところです。
Stompin' at the Savoy/Aaron Parks
これは4小節めの「C7」の2つめの音である【♭9th】の「♭レ」がポイントです。
これは一見、フレーズの終わりの音というふうには見えないかもしれません。
リズム的に言うと1拍めウラが「♭レ」で、そのあと3拍めアタマに次の音である「ド」がくるのですが、わりと間隔があいていてブレスが入るような感じなので、いったんフレーズが終わっていると解釈してかまわないと思います。
Alice In Wonderland/Bill Evans
これは3拍子のワルツです。
2小節めの「G7」が【♭13th】である「♭ミ」で終わっています。
普通なら、リズム的にもフレーズ的にもこのように「レ」で終わってしまいそうです。
そこをあえて「♭ミ」で終わるところがBill Evansの素晴らしいセンスです。
Come Rain Or Come Shine/Bill Evans
これもBill Evansのフレーズです。
2小節めの「D7」は【♭9th】で、
3小節めの「G7」は【#9th】で、
4小節めの「C7」は【#11th】で、
というふうに、フレーズの終わりは全てオルタードテンションで終わっています。
半音上がるか下がるかするほうが、コードにたいして素直な音になり聴きやすいのですが、あえて緊張感の高い音で終わっているのが面白いところです。
まとめ
では簡単にまとめます。
例が全部ピアノになってしまったので、ちょっと違う楽器でやってみましょう。
これは「Dm7- G7」という【 Ⅱ-Ⅴ 】でのごく普通のフレーズです。
「G7」でのフレーズは【Root】で終わっています。
【Root】で終わっていたフレーズを、たとえばこのように【♭9th】というオルタードテンションで終わってみようというのが今回のポイントです。
【Root】で終わるのとはちょっと違って、面白いフレーズになります。
もう1つやってみましょう。
「G7」は【5th】の「レ」で終わっています。
とてもシンプルなフレーズです。
しかしこのように【5th】を【#11th】に変えると、また全然違った雰囲気になります。
もちろんどちら選ぶかは好みということになります。
さいごに
というわけで今回は、ドミナント7thコードにおけるフレーズをオルタードテンションで終わってみるというTipsを紹介しました。
別にコードトーンで終わるのがよくないわけではありませんし、オルタードテンションで終わるほうがかっこいいというわけでもありません。
アドリブのネタに困ったときなど、ちょっとしたアイデアとして持っておくと役立つと思います。
楽器は問わないのでぜひ試してみてください。
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