わちゃぴの音楽教室

初心者向けの作曲方法を紹介しています♪

編曲 #37 ad-libはツカミが大事!【ピックアップソロ】ブレイクで目立っちゃおう♪【YouTube連動】

はじめに

Jazzを演奏される方にとっては「今さら・・・」というようなことかもしれませんが、今回は初心者向けに「ピックアップソロ」というものを紹介しましょう。

単に「ピックアップ」と言うこともあります。

アドリブの中で、プレイヤーにもっともスポットが当たるところと言っても過言ではないでしょう。

ソロを弾くことがある方は、いつでも自由に弾けるようにしておきたいところです。

 

ピックアップソロとは

ピックアップソロとは、Jazzなどのアドリブの入りで他の楽器が休符になっている間にソリストが弾く、1小節から4小節ほどの短いソロのことです。

ちなみに突然他の楽器が休符になった状態のことを一般的に「ブレイク」と呼びます。

ひとつ例を見てみましょう。

 

これはRed Garlandのフレーズです。

この5〜6小節めがピックアップと言われるものです。

ドラムもベースも休符になり、ソリストだけが残ります。

他の楽器がブレイクしているのでとても目立ちますし、聴かせどころでもあります。

一人なのでコードもスケールも自由なのですが、基本的な考え方を解説していきたいと思います。

そのまえにまずこちらを見てください。

 

ブレイクのタイミング

ブレイクのタイミングは大まかに言って二通りあります。

 

 

 

このように「小節アタマ」でブレイクする場合と「前の小節の4拍ウラ」でブレイクする場合の2つが代表的です。

Jazzではほぼこれのどちらかと言ってもよいでしょう。

どちらを使うのも自由です。

コード的には、どちらも曲の終わりのコード(ほとんどの場合トニックですが)を弾いてからブレイクするのが一般的です。

 

コード進行

ではさっそくコード進行を見ていきましょう。

先ほどコードは自由だと言いましたが、ここでは基本的な考え方を説明します。

まず大切なのはピックアップのあと、曲のアタマに戻らなければいけないということです。

戻りやすいコードを想定しましょう。

 

これは有名なスタンダード、『All Of Me』です。

今回はこの曲でピックアップを考えてみます。

一般的には、最後の「C」が2小節続いてる部分がピックアップとなります。

アタマのコードも「C」なのでそこに戻りやすいコードを想定します。

なぜ想定という言葉を使うのかというと、ピックアップはソリストに全て任されるためコードが決まっていないからです。

ピックアップというのは自分の中でコード進行を勝手に想定し、それに沿ったフレーズを作るということになります。

 

では代表的な例をいくつか紹介しましょう。

 

(1)トニックのまま

もっともシンプルな方法です。

曲の最後もアタマもトニックなのでピックアップもトニックを想定したフレーズです。

 

(2)トニックからドミナント

アタマがトニックなので最後の小節をドミナントの「G7」を想定したフレーズにしました。

 

(3)Ⅱ-Ⅴ

前の小節の4拍めウラでトニックに一瞬解決してから、曲のアタマに向かっての「Ⅱ-Ⅴ」を想定しました。

 

(4)Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ

アタマのトニックに戻るための「Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ」を想定しました。

ターンバックなどでよく使われる進行です。

 

※ターンバックについてはこちらの記事を参考にしてください。

 

(5)裏コード

4拍めウラで一瞬トニックに解決したあと、裏コードを使った「Ⅱ-Ⅴ」を連続させる進行を想定したフレーズです。

 

「Em7-A7」という「Ⅱ-Ⅴ」の「A7」を裏コードの「E♭7」に、

「Dm7-G7」という「Ⅱ-Ⅴ」の「G7」を裏コードの「D♭7」にしてあります。

「A7」から「Dm7」への進行はドミナントモーション、

「E♭7」から「Dm7」への進行もドミナントモーションの代理なので、「Ⅱ-Ⅴ」同士がとても綺麗につながっています。

 

ここではコードネームを書いたので理解できると思いますが、フレーズだけではどんなコードを想定しているのかわからないかもしれません。

しかし弾いているのはソリストだけなので、他のプレイヤーにコード進行を伝える必要はありませんし、聴いている人がコードを分析できなくても何の問題もありません。

 

左手の必要性

たとえば管楽器のピックアップの場合は、ピアノなどコード楽器もブレイクするので基本的にコードは鳴っていないということになります。

しかしピアノの場合は、自分が想定しているコードを弾くこともできます。

結論から言うと弾いても弾かなくてもかまいません。

サンプルで聴き比べてみましょう。

 

これがピックアップの間は左手は何も弾かないパターンです。

想定しているコードがわかるでしょうか。

ブレイクになるときとアタマに戻ったときは弾いていますが、これも弾かなければいけないというわけではありません。

弾いたほうが切るときと入るときがハッキリするので、強調したいときは弾くとよいでしょう。

 

ピックアップの間も左手を入れてみました。

「Em7-A7-Dm7-G7」というコード進行を想定してのフレーズでした。

オルタードテンションが入っている上に【Root】を誰も弾いていないため、自分以外はコードをハッキリと確定できないと思いますが、全く気にする必要はありません。

 

Jazz以外にも・・・

ピックアップはJazzにしか使われないわけではありません。

どんなジャンルにでも使うことができます。

 

ボサノバに使ってみました。

ピックアップは「Cm」とも「G7」ともとれるようなフレーズにしました。

 

このようにファンクっぽい曲でもかっこよく使えます。

ピックアップはトニックの「Am」的なフレーズにしてみました。

 

このようにピックアップはジャンルを問わず使えます。

もちろんロックなどにもかっこいいのでぜひ試してみてください。

 

さいごに

今回はJazzのアドリブによく使われるピックアップソロについて解説しました。

もちろんピックアップソロを入れるか入れないかも自由です。

同じスタンダード曲を演奏していてもピックアップを作っているミュージシャンと、ピックアップなしでそのままアドリブに入っていくミュージシャンがいます。

しかし突然ピックアップをやってくれと言われても困らないように、マスターはしておいたほうがよいでしょう。

そのときターンバックの知識はとても役に立つので、一緒にマスターしておきましょう。

 

今回の解説動画はこちら↓

 

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