わちゃぴの音楽教室

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【天才たちのエンディング】Chick Corea Vol.1【YouTube連動】

「天才たちのエンディング」シリーズ、今回はChick Coreaのフレーズを紹介します。

 

 

今回のフレーズ

ではまず今回のフレーズを聞いてみてください。

これは『Spain』のエンディングです。

Keyは「Bm」です。

有名なユニゾンフレーズから少し変わったコード進行で終わります。

実際はフルートやベースもかなり遊んでいますが、今回はそのような細かいフレーズよりも6小節めからのコードの動きを紹介したいと思います。

 

フレーズ分析

ではフレーズを細かく見ていきましょう。

本来はローズで弾かれているのですが、聴きやすくするためここからはアコースティックピアノの音で見ていきたいと思います。

 

今回はコード進行を紹介したいので、フィルを消してシンプルにしましょう。

2小節めの4拍めに左手で「ラ」の音を弾いていますが、Chick Corea直筆の譜面を見たところ、この「ラ」の音は書かれていなかったので、レコーディングのとき急に入れたのでしょう。

ちなみにベースも「ラ」は弾いていないので、譜面には書いていなかったと思われます。

というわけでこの「ラ」は無視して解説していきたいと思います。

 

わかりやすく「Key=Am」に移調してみました。

 

ではまず1小節めを見てみましょう。

 

コードは「F△7(13)」ということになります。

トニックの「A」から見ると、「♭Ⅵ△7」です。

 

マイナーキーでの度数は、ナチュラルマイナー、ハーモニックマイナー、メロディックマイナーなどによって変わってしまいます。

 

たとえばこのようなことです。

同じ【Ⅵ】でも、ナチュラルマイナーとメロディックマイナーでは違うことがわかると思います。

 

Aメジャースケールからの度数で表すとこのようになります。

たとえば「♮ド」はAナチュラルマイナーではただの【Ⅲ】ですが、Aメジャースケールから見ると「♮ド」は【♭Ⅲ】ということになります。

 

というわけで今回はわかりやすくするため、すべて統一してメジャースケールを元にした度数で説明していきます。

 

左手は下から【Root-5th-3rd】、右手は「Perfect4thBuild」で【△7-3rd-13th】と弾いています。

 

ここでのスケールは「Lydian」です。

 

では2小節めです。

 

ここのコードは右手がトライアドになっているので多くの『Spain』の譜面では「D/B♭」と分数コードで書いてあります。

ここでは「Key=Am」なので「C/A♭」という分数コードになっていますが、これは積み方を変えると「A♭△7(#5)」ということがわかります。

これは度数で言うと「Ⅶ△7(#5)」です。

 

※「△7(#5)」に関してはこちらにくわしい記事があるので参考にしてください。

 

 

「A♭△7(#5)」に対応するスケールは「A♭Lydian#5」です。

【9th】【#11th】【#5th】が入っているのが特徴です。

 

「A♭Lydian#5」というスケールは「Fメロディックマイナーの上行」、いわゆる「Fジャズマイナー」上に表れるスケールです。

なぜ「Key=Am」の曲に「Fジャズマイナー」なのかと思われるかもしれませんが、これは並び替えると「Eオルタードスケール」になります。

「Eオルタードスケール」はコードが「E7」のときに使われるスケールです。

「E7」は「Key=Am」のドミナントなので、実はそんなに不思議なコード進行でもないということがわかります。

 

では3小節めです。

 

「Key=Am」なので「Am(add11)」と表記しましたが、「Asus4」と書いてもサウンドは同じです。

【11th】を付加する場合は基本的に【3rd】をomitするので、どちらで表記してもいいでしょう。

ちなみに「Am11」と書いてしまうと【7th】も【9th】も入っているということになります。

 

この3小節めの「Am(add11)」には【6th】も【7th】も入っていないので、トニック系のマイナースケールの全てが対応します。

 

キーを変えてみる

では他のキーでも使えるように違うキーで見てみましょう。

 

これは「Key=Dm」です。

まず「D」を【 Ⅰ 】とすると「♭Ⅵ△7」である「B♭△7」に【13th】を付加したコードを弾きます。

右手は「△7」の音からの「Perfect4thBuild」です。

2小節めは「♭Ⅲ/Ⅶ」という分数コードになっていますが、見方を変えると「Ⅶ△7(#5)」である「D♭△7(#5)」です。

3小節めは【3rd】をomitして【11th】を付加したトニックの「Dm(add11)」ということになります。

 

まとめ

ではまとめです。

 

今回のフレーズのポイントは「♭Ⅵ△7」のあと「♭Ⅲ/Ⅶ」、ようするに「Ⅶ△7(#5)」と進行してから「 Ⅰm 」に解決するというところです。

トニックを「add11th」にして【3rd】をomitするのも特徴的です。

 

 

「Key=Gm」だとこのようになります。

 

ボイシングは自由に転回してもこのサウンドは出せます。

 

応用例

では応用例を見てみましょう。

 

Keyは「Am」です。

3小節めから5小節めにかけてが今回紹介したコード進行になっています。

『Spain』と違って、この進行にメロディーを入れてみました。

「F△7」では「F Lydian」、「A♭△7(#5)」では「A♭ Lydian#5」を使っています。

 

これは「Key=B♭」です。

このようにメジャーコードに解決するときでも使うことができます。

【 Ⅱ-Ⅴ 】から【♭Ⅵ△7-Ⅶ△7(#5)】と進行して【Ⅰ△7】で終わってみました。

 

さいごに

というわけで今回はChick Coreaの『Spain』でのエンディングを紹介しました。

ちょっと意表を突いて面白いと思います。

メジャーキーでもマイナーキーでも使えるので、ぜひオリジナル曲などのエンディングに使ってみてください。

 

今回の解説動画はこちら↓

 

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