まずこの譜面を見てください。
「C△7」を転回させたものです。
上の4つは全て「1オクターブ内におさまったボイシング」になっています。
このように全ての音を1オクターブ内におさめるボイシングを「クローズボイシング」といいます。
ピアノなどで片手でコードを弾く場合はほとんどこの「クローズボイシング」になります。
一方、下のボイシングは1オクターブを超えています。
オープンボイシングの代表的なものには「ドロップ2」「ドロップ3」「ドロップ2&4」というものがあるのですが、今回はその中で「Drop2 Voicing」を紹介します。
これはジャズなどでは多用されるボイシングです。
オクターブを超えるため普通は両手で弾くことが多くなると思いますが、先ほどの下のボイシングなら手の大きいピアニストなら余裕で弾いていたりします。
では具体的に見ていきましょう。
「C△7」の【ド-ミ-ソ-シ】というボイシングを下から【ソ-ド-ミ-シ】にしてあります。
次は同じく「C△7」の転回形である【ソ-シ-ド-ミ】を【ド-ソ-シ-ミ】にしてあります。
これをどちらも元の「クローズボイシング」の上から2つめの音を1オクターブ下げたものです。
これが「Drop2 Voicing」です。
上から2つめの音を下げるので「Drop2」というのです。
「クローズボイシング」より落ち着いた広がりのあるサウンドになっているような感じがすると思います。
コードで最も目立つ音はトップノートでしょう。
トップノートが変わるとコードは大きく変化したように聞こえます。
しかし「Drop2」を使えばトップノートは変わらないので、元のサウンドを大きく変化させることなく、しかもコードに広がりをもたせることができます。
1番下の五線はベースを想定しています。
たとえばピアノが最初の【ソ-ド-ミ-シ】といったボイシングにした場合、このままでは1番下の音がルートではないためコードがあやふやになってしまうので、ベースにルートを弾いてもらうのがよいでしょう。
もちろんこのボイシングならピアノでこのように左手でルートを弾くことも可能ですが、テンションなどが入ってくるとそれも難しいことがあるので、ベースがあるほうがいいと思われます。
ではもうひとつ見てみましょう。
次は「Am7」です。
同じように「クローズボイシング」の上から2つめの音をオクターブ下げたものです。
テンションコードも見てみましょう。
「クローズボイシング」の場合テンションコードなので、右手にルートはなく左手でルートを弾いています。
しかし「Drop2」にしたときはあえて左手のルートも省いてみました。
このほうがより広がりがあるサウンドに聞こえるのではないでしょうか。
というわけで今回は「Drop2 Voicing」を紹介しました。
これはピアノだけではなく、ストリングスやブラスアレンジにも役立つのでぜひマスターしてみてください。
今回の解説動画はこちら↓