わちゃぴの音楽教室

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【Jazzyなサウンド】裏コードにはリディアン7th【これだけ覚えればOK!】YouTube連動

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今回は裏コードにおけるテンションとスケールについて紹介したいと思います。

他の動画で紹介したものとかぶる内容も少しありますが、改めて説明していきます。

 

 

裏コードとは

裏コードとは、ドミナント7thコードにたいする代理コードの一つです。

そのルートが「サークルオブ5th」でちょうど裏側の関係にあたるので裏コードと呼ばれています。

 

裏コードについてはこちらでも解説しています↓

 

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今回はキーがCでのドミナント7thコードである「G7」で見ていきます。

「G」のちょうど対角線上にある「D♭」をルートに持つドミナント7th、ようするに「D♭7」が「G7」にたいしての裏コードです。

なぜこれが代理として使えるかというと、トライトーンである「シ」と「ファ」が共通しているからです。

ドミナント7thはトニックに解決しようとする性質があるのですが、それは不安定なトライトーンがあるからです。

そして「シ」が「ド」に、「ファ」が「ミ」にそれぞれ解決することにより、安定した終止感が生まれるということです。↓

 

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f:id:wachapi-music:20210616200943j:plainさて、ではなぜわざわざ裏コードを使うのでしょう。

それはルートの半音進行が欲しいということに加えて、ただの「G7」や「ナチュラルテンション」では得られない「オルタードテンション感」が欲しいからです。

 

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しかし「オルタードテンション感」が欲しいだけなら「G7」に「オルタードテンション」を加えることでも同じような効果は得られるので、やはりルートの半音進行もかなり重要と言えるでしょう。

 

裏コードに使うスケールとテンション

ではさっそく裏コードとテンション、そしてスケールについての関係を見ていきます。

 

「オルタードテンション」を加えたいときに使う代表的なスケールは、この「オルタードスケール」です。↓

 

 

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【♭9】【#9】【#11】【♭13】と全ての「オルタードテンション」が含まれています。

簡単にいうと、元々白鍵だけの「Key=C」のなかで黒鍵をいっぱい使えるということになります。

 

では次は、裏コードの「D♭7」にたいする「オルタードスケール」を見てみましょう。

 

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これを見てわかるように、ほとんど白鍵になってしまいました。

黒鍵は「♭レ」だけです。

こうなるとせっかくの「オルタードテンション感」がなくなってしまいます。

 

コードでも見てみましょう。

 

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「G7(♭9,♭13)」はルートを裏コードの「D♭」にすると「D♭9」になります。

一方「G7(9,13)」はルートを裏コードの「D♭」にすると「D♭7(#9,♭13)」になります。

これを見てわかるように、元のコードの「ナチュラルテンション」は裏コードの「オルタードテンション」に、

また元のコードの「オルタードテンション」は裏コードの「ナチュラルテンション」になります。

「オルタードテンション感」が欲しい場合には、裏コードには「ナチュラルテンション」を使ったほうがよさそうですね。

 

では裏コードに変えた場合、どのようなスケールが効果的なのでしょうか。

先ほど「D♭オルタードスケール」を見ましたが、それではほとんど白鍵になってしまいました。

結論からいうと、裏コードには「リディアン7thスケール」を使うのがよいでしょう。

「リディアン7thスケール」の元になっている「リディアンスケール」とは、「Key=C」の「F△7」で使うスケールです。↓

 

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そして「リディアン7thスケール」はこのようなスケールです。↓

 

 

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「リディアンスケール」の7番目の音がフラットするということで、「リディアン♭7thスケール」と呼ぶこともあります。

 

では「G7」の裏コードである「D♭7」に対応する「D♭リディアン7thスケール」を見てください。

 

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このように「リディアン7thスケール」には【9th】【#11th】【13th】というテンションが入ります。

このスケールの音の並び、見たことありませんか?

これを【#11th】の「ソ」から並び替えてみてください。

 

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これは「Gオルタードスケール」と全く同じ音のスケールなのです。

 

裏コードはトライトーンが共通と説明しました。

「D♭リディアン7thスケール」の【3rd】は「Gオルタードスケール」の【7th】

「D♭リディアン7thスケール」の【7th】は「Gオルタードスケール」の【3rd】

になっているのがわかりますね。

   

その他は

「D♭リディアン7thスケール」の【9th】は「Gオルタードスケール」の【♭13th】

「D♭リディアン7thスケール」の【5th】は「Gオルタードスケール」の【♭9th】

だったりとちょっと複雑な対応になっています。

 

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たとえば

「G7」のテンションである【♭13th】の「♭ミ」の音がほしい・・・

しかしルートの半音進行もほしいので裏コードの「D♭7」にもしたい・・・とします。

 そうすると「D♭7」に【9th】を加えれば両方クリアできます。

 

これらからもわかるように、裏コードの「D♭7」を使いたい、さらに「G7」にたいする「オルタードテンション」のサウンドが欲しいというときには、「D♭7」のコードトーンと【9th】や【13th】の「ナチュラルテンション」だけでじゅうぶんということです。

逆に言うと裏コードには「オルタードテンション」は使わないほうがよいのです。

 

さっきとは反対に「Gリディアン7thスケール」は「D♭オルタードスケール」と同じ音になります。↓

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元の「G7」で「オルタードスケール」を弾いているとき、フレーズはそのままでコードだけを「D♭7」にした場合、理論的には「Gオルタードスケール」から「D♭リディアン7thスケール」に変わったと判断されます。↓

 

上段↓

 

下段↓

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しかし、このような分析はプレイヤーとしては特に意識する必要はないでしょう。

このサンプルの例で言うと、「Gオルタードスケール」だけを弾きながらコードを「G7」にしても「D♭7」にしてもいいということです。

 

リディアン7thスケールを使ったときの違和感

裏コードには「リディアン7thスケール」がいいと言いましたが、元のコードに「リディアン7thスケール」を使うとどうなるのでしょうか。

これを見てください。

 

上段↓

 

中段↓

下段↓

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3つのスケールを比べてみました。

やはり「リディアン7thスケール」はちょっと違和感があるように感じます。

 

では裏コードにして「オルタードスケール」を使ってみましょう。↓

 

 

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先ほども説明しましたが、「Gリディアン7thスケール」と「D♭オルタードスケール」はまったく同じ構成音を持つスケールです。

なので当然これも違和感があると思います。

 

何度も言いますが、せっかく裏コードにしたのなら、そのコードに「オルタードテンション」を入れて「オルタードスケール」にするより「ナチュラルテンション」を使い、「リディアン7thスケール」を使う方が効果的だと言えます。

そして元のコードには「リディアン7thスケール」は使わない方がいいでしょう。

「オルタードテンション感」がほしくないのなら、普通に白鍵だけの「ミクソリディアン」を使えばいいのです。↓

 

 

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ルートだけを裏に

ではコードでもっと極端な例を見てみましょう。

 

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コードは「G7」のままルートだけを裏コードのルートである「D♭」にしたものです。

「D♭」から見ると「D♭7(♭9,#11)」になります。

これはコードはそのままで、ルートだけを解決するべきコードの半音上にするだけなので簡単でいいですね。

 

これを両方ともコード進行の中で使ってみましょう。

 

 

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では次はコードを「D♭7」にしてルートをそれぞれ「ソ」と「♭レ」にしてみましょう。

 

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これも先ほどと同じで「G7」から見ると【♭9】と【#11】が入っていることになります。

同じように【Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ】で両方とも使ってみましょう。

 

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これらのサンプルからわかるように、「G7」のときにルートは「G」のままでコードだけを裏コードの「D♭7」に、もしくはコードは「G7」のままルートだけを裏コードの「D♭7」のルートである「♭レ」にすることができます。↓

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しかしどちらもテンション感はかなり強くなります。

 

実際のコード進行の中で使う裏コードとそのスケール1

セカンダリドミナント」であっても同じです。

コード進行の中で見てみましょう。

 

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「A7」は「Dm7」に解決する「セカンダリドミナント」です。

「A7」にも「G7」にも【♭9th】と【♭13th】を付加してあります。

これを構成音はそのまま裏コードにしてみましょう。

 

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メロディーもコードもそのままです。

変わったのはコードのルートだけです。

ルートが変わったので当然コードネームも変わります。

「A7(♭9,♭13)」が「E♭9」に、「G7(♭9,♭13)」が「D♭9」になりました。

そしてメロディーが同じであってもコードが変わっているので、スケールも変わっていると判断します。

「Aオルタードスケール」が「E♭リディアン7thスケール」に、

「Gオルタードスケール」が「D♭リディアン7thスケール」になりました。

 

実際のコード進行の中で使う裏コードとそのスケール2

では次はコード進行だけを見て分析してみましょう。

「Key=C」ではもう覚えてきたでしょうから、ちょっとキーを変えてみます。

まずコードだけを聴いてみましょう。

 

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「♭」が2つ付いていればキーは「B♭」なのですが、曲が「Gm6」で終わっているので「B♭」の平行調である「Gm」と言ったほうがいいでしょう。

コードは全くテンションを入れていません。

譜面に書いてあるボイシングだけを弾いています。

今回説明している裏コードや「オルタードスケール」、「リディアン7thスケール」などは全てドミナント7thコードの話ですので、この中のドミナント7thコードだけを見ていきましょう。

 

まず2小節めの「B7」です。

これは本来「Gm」または「B♭」のキーにはないコードです。

3小節めの「B♭△7」に半音上から解決していることから、これは裏コードということがわかります。

ということは元は「F7」ということです。

本来なら【F7-B♭△7】という「ドミナントモーション」にするところを裏コードを使ったというわけです。

裏コードの「B7」なので、アドリブや作曲に使うスケールは「Bリディアン7thスケール」です。

2段めの2小節めの「D7」はルートが【5度下】の「Gm7」に解決しているので、裏コードではありません。

「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」か「オルタードスケール」が合うでしょう。

2段め4小節めの「D♭7」は次のコードを見ると「Cm7」なので、これも半音進行する裏コードです。

「Cm7」に解決するドミナントコードなので、元はもちろん「G7」ですね。

ここでも「D♭リディアン7thスケール」を使うのがよいでしょう。

3段め2小節めの「F7」は「B♭△7」にたいする本来のドミナントです。

なのでスケールは選択肢がたくさんあります。

代表的なのは「ミクソリディアン」「オルタード」「コンディミ」などです。

4段め2小節めの「A♭7」も半音で「Gm7」に解決しているので、裏コードというのがわかります。

本来のドミナントである「D7」の裏コードですね。

裏コードということはもちろん「A♭リディアン7thスケール」を使います。

 

ではこれにテンションを加えてみます。

 

 

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裏コードの「B7」「D♭7」「A♭7」には「ナチュラルテンション」である【9th】や【13th】しか入れていません。

本来のドミナントである「D7」「F7」にはどちらにも【♭9】と【♭13】を入れてみました。

この上でちょっとアドリブソロを弾いてみましょう。

 

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裏コードである「B7」「D♭7」「A♭7」のところでは「リディアン7thスケール」を使っています。

そして「D7」「F7」のところで使ったのは「オルタードスケール」です。

その他のコードではキーが「B♭」のなかの音だけを使っています。

ところどころ出てくるそれ以外の音、1小節めの「Cm7」の「♮シ」、7小節めの「Gm」の「#ド」、15小節めの「#ド」と「#ファ」は、単なる「クロマチックアプローチ」です。

 

ではいまのサンプルのドミナント7thコードを「裏コードは元のコードに」「元のコードは裏コードに」変えてみます。

 

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元のコードにした「F7」と「G7」には【♭9th】と【♭13th】、「D7」には【#9th】と【♭13th】を入れてみました。

裏コードにした「A♭7」と「B7」には【9th】を付加してあります。

 

そしてこれに先ほどとまったく同じソロをかぶせてみましょう。

 

 

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最初のサンプルで「Bリディアン7thスケール」だった2小節めの「B7」は「F7」に変えたことでフレーズは同じにもかかわらず「Fオルタードスケール」ということになります。

逆に先ほど「Dオルタードスケール」を弾いていた6小節めの「D7」は「A♭7」に変えたことにより「A♭リディアン7thスケール」になりました。

ほかも同じように「オルタードスケール」は「リディアン7thスケール」に、「リディアン7thスケール」は「オルタードスケール」に変わっています。

これでわかるように、フレーズを作ったあとでコードを裏コードに変えても理論的に分析するとスケールの名前が変わっているというだけなので、そんなに深く考えなくても大丈夫です。

スケールの名前が変わるというだけで使う音は全く同じでかまわないということです。

 

まとめ

それでは簡単にまとめてみましょう。

本来のドミナント7thコードにおける「オルタードスケール」は裏コードの「リディアン7thスケール」と全く同じ構成音であるということから・・・

 

1.ドミナント7thコードはいつでも裏コードに変えてもよい

 

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2.裏コードには「オルタードテンション」ではなく「ナチュラルテンション」を使う

 

上段↓

下段↓

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裏コードにオルタードテンションを加えると、元のコードにナチュラルテンションを加えたのと同じようなサウンドになるので、せっかく裏コードにしたわりに「オルタードテンション感」が出ません。

逆に裏コードにナチュラルテンションを加えると元のコードにオルタードテンションを加えたようなサウンドになります。

 

3.裏コードには「リディアン7thスケール」を使う

 

 

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これらに気をつけてオリジナルやカバーを演奏するときには、ぜひ裏コードと「リディアン7thスケール」を使ってみてください。

良くも悪くもJazzっぽいサウンドにはなってしまいますが、うまくハマるととてもいい効果が得られるので、試す価値はあると思います。

 

今回の解説動画はこちら↓

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