今回はドミナント7thコードでよく使われる「オルタードスケール」と「コンビネーションオブディミニッシュスケール」を比較してみようと思います。
※それぞれのくわしい記事はこちらにあります。
スケールの比較
どちらもオルタードテンションが含まれますが、微妙に違うところがあります。
まずは2つを比べてみましょう。
「G」のオルタードスケールとコンディミです。
どちらにもコードトーンである【Root】【3rd】【7th】 は含まれています。
ただし【5th】はコンディミにしか含まれません。
そしてオルタードテンションである【♭9th】【#9th】【#11th】も共通して含まれています。
違いは【♭13th】なのか【♮13th】なのかということです。
含まれるテンションが違うということは合うコードも変わってきます。
オルタードスケールを使うなら「♭9,♭13」「#9,♭13」
コンディミなら「♭9,13」「#9,13」などを使うといいでしょう。
ちなみに「ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ」にも【♭9th】と【♭13th】が含まれますが、今回はあくまでもオルタードとコンディミの比較なので除外します。
逆にテンションコードが先に指定されている場合・・・
たとえば「A7(♭9,♭13)」と書いてあればそれに対応するスケールは「Aオルタードスケール」になりますし、
「E7(#9,13)」と書いてあれば「Eコンディミ」ということになります。
「E7(#9,13)」にオルタードスケールを使うことはできません。
メジャーキーにおけるそれぞれのスケールによるフレーズの比較
では同じフレーズを2つのスケールに対応させながら比較してみましょう。
簡単に言ってしまえば【♭13】か【♮13】の違いになります。
「Key=C」の【 Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ 】です。
「♭ミ」か「ミ」の1音違うだけでかなり雰囲気が違うのがわかると思います。
「♭ミ」は「Gオルタード」に含まれる【♭13th】、「ミ」は「Gのコンディミ」に含まれる【13th】です。
これもたった1音の違いですが、サウンドの違いはわかると思います。
「Key=C」ですから、コンディミに含まれる【13th】の「ミ」は元々のキーに含まれる音です。
一方オルタードに含まれる【♭13th】の「♭ミ」は「Key=C」の中にはない音です。
というわけで「ミ」よりも「♭ミ」のほうがよりテンション感は高くなります。
ではまたフレーズで見てみましょう。
これは【 Ⅱ-Ⅴ 】が2拍ずつのフレーズです。
「G7」でのフレーズはトライアドの分散になっています。
分析するとこのようになります。
オルタードで使ったトライアドは「A♭m」
コンディミで使ったトライアドは「E」になっています。
どちらもそのスケールの特徴的なテンションを含んでいます。
そのトライアドを使ったサンプルです。
このようにトライアドだけのメカニカルなフレーズも使いやすくておすすめです。
他にもいろんなトライアドが使えますが、このあたりもそれぞれのスケールの特徴が出ていてとても使いやすいと思います。
表記のテンションはあくまでも「G7」にたいしてのテンションです。
【#9th】と【♭13th】が同時に入っているということは、オルタードスケールということになります。
【♭9th】と【13th】が同時に入るのはコンディミです。
マイナーキーにおけるそれぞれのスケールによるフレーズの比較
ここまですべて「Key=C」、ようするにメジャーキーで使ってきました。
次はマイナーキーを見てみましょう。
これは「Key=Cm」の【 Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ 】です。
これも【 Ⅱ-Ⅴ 】は2拍ずつです。
マイナーキーなので【 Ⅱ 】は「Dm7(♭5)」になっています。
これも「Cm」に解決しています。
オルタードスケールはふつうに聞こえるのですが、コンディミは「C△7」に解決したときと比べて「Cm」に解決するときは少し違和感がありませんか?
人それぞれの感じ方があるので何とも言えませんが、理論的には違和感があって当然です。
「Cm」の最も重要な音である【3rd】の「♭ミ」 と「Gのコンディミ」に含まれる「♮ミ」がぶつかるからです。
「G7」のときに「♮ミ」を使うと「Cメジャーキー」のようなサウンドになるので、リスナーは「C」に解決することを予測します。
そこを裏切って「Cm」に解決するので少し違和感があるわけです。
しかし使ってはいけないというわけではなく、その違和感を狙って、あえてマイナーキーにもかかわらずコンディミを使うことはあります。
ちなみに「Key=C」のときの「♭ミ」はブルーノートという解釈もできますし、「Key=Cm」からの借用という解釈もできるので特におかしな感じはしないはずです。
まとめるとこのような感じです。
【♭13th】は「C」に解決しても「Cm」に解決しても違和感はありません。
しかし【13th】は「C」に解決するときは何の違和感もありませんが、「Cm」に解決するときはちょっと注意が必要になります。
スケールを選ばないコード
ここまではオルタード、コンディミを使うときのテンションの違いを解説してきました。
オルタードなら【♭13th】、コンディミなら【♮13th】が特徴を表す音です。
逆にいうとそれらがなければスケールは特定できません。
しかしそれを逆手に取ることもできます。
例えばこのようなコードを弾いておけば、オルタードにもコンディミにも対応できます。
スケールの特徴をコードで出す必要がないと思えば、これが簡単でいいでしょう。
これならアドリブのフレーズに【♭13th】と【13th】を混在させても問題ありません。
ようするにオルタードとコンディミを交互に弾いたり、ミックスしたりと自由に使えるということです。
バッキングをするときもソリストにスペースを与えることができるので、アドリブの邪魔になりません。
さいごに
今回は「オルタードスケール」と「コンビネーションオブディミニッシュスケール」を比較してみました。
Jazzなどを演奏するとき、ドミナント7thコードのコードネームにテンションが指定されていなければ、自分で好きなテンションを付加することができます。
そしてテンションが決まればスケールも自動的に決まります。
逆に弾きたいスケールがあるなら、それに対応したテンションを付加しなければいけません。
オルタードとコンディミのサウンドの違いを理解し、自由に使い分けられるようになるとアドリブの幅が広がるので、ぜひマスターしてください。
今回の解説動画はこちら↓
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