今回はコードの響きをさらに豊かにする【テンション】というものを解説していきたいと思います。
なにやら難しそうですが今回も【白鍵だけ】で説明しますので心配はいりません!
7thコードについてはこちら↓
テンションとは?
【テンション】というのは「7thコードの上にさらに付け足す音」のことです。
「テンションノート」とも呼ばれます。
そして【テンション】を含むコードを「テンションコード」と呼んだりもします。
「テンション=緊張」という意味で、3和音や4和音に少し緊張感を与えるような効果もあります。
一般的にはJazzなどに多用されるのですが、最近のポップスにもよく使われているので覚えていると作曲や編曲にバリエーションが増えていいと思います。
【テンション】には「9」「♭9」「#9」「11」「#11」「13」「♭13」があります。
しかしこれを一度に覚えるのは大変ですし、またその必要もありません。
ひとつずつ覚えていけばいいのです。
9thを覚えよう(音と場所)
というわけで今回は【9th】だけを紹介します。
まずは音と場所を覚えましょう。
9thの音を聴いてみよう
では【9th】のサウンドを聴いてみましょう。
どうでしょう。
ただの「C」や「C△7」とはまた違ってより豊かに聞こえますね。
譜面を見てもらえばわかるように、「C」もしくは「C△7」というコードに対して【9th】の音は「レ」になります。
9thの場所は2番目と覚えるのが簡単
メジャースケールの「9番目の音」ということですね。
でもいちいち9つも数えるのは大変ですよね。
実は【9th】の音は【2nd】の音と同じです。
実際に曲の中で使う場合【9th】をかならず一番上に持ってくる必要は全くありません。
転回させて使う場合も非常に多いので、ようするに「2番目の音」を探せばいいということになります。
「2番目の音」というのはルートから「全音(半音2つ分)上の音」なのですぐ見つけられると思います。
例えば・・・
「C」の【9th】の音は「ド」の全音上で「レ」
「Dm」の【9th】の音は「レ」の全音上で「ミ」
「G」の【9th】の音は「ソ」の全音上で「ラ」ということです。
それを転回させ、オクターブ上げたり下げたりするのは自由です。
黒鍵も出てくる・・・?
キーが「C」のときに出てくる「7つのコード」でそれぞれ【9th】の音を調べてみましょう。
ルートの全音上の音を調べてみると黒鍵になってしまうコードがありますね。
「Em7」と「Bm7♭5」です。
黒鍵が出てくるということは、キーが「C」ではなくなってしまうということです。
無理矢理使ってみましょうか。
どうですか?かなり違和感がありますよね。
ちゃんとした意図があり、転調していることをわかったうえで使うのなら問題はないですが、いまのところは「Em7」と「Bm7♭5」では【9th】を使うのはやめておいたほうが無難です。
9thを入れたときのコードネーム
それでは先程からちょくちょく出てきていますが9thを入れたときのコードネームを解説していきたいと思います。
上記の譜面を見てもらうとわかるように、3和音に【9th】だけを加えたコードは【add9】と呼ばれます。
「add」というのは加えるという意味ですので「3和音に【9th】の音を加えなさい」という意味です。
「add9」と書く場合もあれば、「(add9)」と書く場合もあります。
2つ目と3つ目のコードネームは同じことを表しています。
「7」と「9」がついている場合は両方を入れることが想像できる思いますが、いきなり「9」という数字がついている場合はその下に「7」もあると考えてください。
「C△9」は「C△7」に【9th】を加えたもの
「Dm9」は「Dm7」に【9th】を加えたもの
「G9」は「G7」に【9th】を加えたものということになります。
「add9」と「△9」音の違い
サウンドにも「add9」と「△9」ではかなり違いますね。
ちょっとバッキング風に弾いてみましょう。
C△9-Cadd9の順番に弾いてみます。
こんな感じですね。
「△9」のほうがよりJazzっぽい響きなのではないでしょうか。
「add9」はロックなどにもよく使われます。
「△9」ほどの浮遊感はなく、それでいて3和音より豊かな響きなので使いやすいと思います。
9thコード進行で聞き比べ
ちょっとコード進行で聞き比べてみましょう。
それぞれ違ったサウンドがしますね。
実際に使うときは、これらを自由に混ぜて使ってかまいません。
1曲のなかに「3和音・7thコード・テンションコード」をいろいろちりばめて使ってみてください。
ピアノでの9thの弾き方
上記の演奏でピアノがどのようにテンションコードを弾いていたのかわかった人もいるかもしれませんが、一応ここで説明しておきます。
たとえば「7thコード」に【9th】を加えた場合、コードトーンは全部で5つになってしまいます。
これを全部一度に弾くのは大変ですよね。
そのような時にどうするかというと、右手はルートを省いてしまいます。
その代わりに左手で必ずルートを弾いてください。
これのほうがスッキリして聞こえますね。
しかも演奏はかなり楽になると思います。
たとえばここで左手を弾かないと右手で弾いているのは「ミソシレ」・・・
「Em7」と同じ構成音ですね。
これですとコードが「C△9」なのか「Em7」なのかわかりません。
そのため、左手で弾くルートはすごく重要なのです。
add9の場合は
「add9」の場合は【7th】を弾かないので4和音になります。
それだと右手でじゅうぶん弾けますね。
もっとスッキリさせたい場合は、右手のルートは省いてかまいません。
そのときはさっきも説明したように「左手で必ずルートを弾いて」くださいね。
バンドやDTMではこの限りではない
しかしバンドやDTMのように他の楽器も使える場合はこの限りではありません。
次の音を聴いてみてください。
ベースが「ルート」
ピアノは「3度・5度・7度」の音
バイオリンが【9th】
を弾いています。
それぞれどの楽器もテンションコードの構成音を全部弾いてるわけではありません。
しかし、全体的にみれば「C△9」のサウンドであるといえます。
このようにピアノやギターなどの「コード楽器」がコードトーン全てを弾かなければいけないわけではありません。
いろんな楽器に音を割り振っても【全体的にそのコードの構成音が鳴っていればいい】わけです。
転回させてもOK
もちろん転回させても構いません。
例えばこんな風に・・・
ちゃんと「C△9」のサウンドに聞こえますね。
しかし、この場合も一番下の音(バンドならベース、ソロピアノなら左手で弾く一番低い音)は必ずルートにしてください。
いまのところはコードは転回させてもルートは変えないでください。
「分数コード」という例外もありルートもふくめて転回させる場合もありますが、いまのところやめておいたほうがよいでしょう。
9thを曲に使ってみよう
【テンション】というものはコードにだけ使うものではなく、当然メロディーにも使えます。
具体的にどのように使うかを見ていきましょう。
自然とメロディーに9thを使っていたかも
もちろん今までもメロディーに【9th】の音は使ってきましたよね。
コードが「C」のときに「レ」の音は何度も使ってきたのではないでしょうか。
しかし「テンションコード」を弾いてないときは短い音価で使ってきたことと思います。
なぜなら【9th】の音はルートや3度の音とぶつかりやすいからです。
耳のいい人は理論を知らなくても自然にロングトーンを避けてきたかもしれません。
聴きやすい9thの使い方1
ロングトーンで【9th】を使いたいときはコードに気をつける必要があります。
例えばこんな感じだときれいに響きません。
メロディーが【9th】の「レ」なのにもかかわらず、コードは3和音で「ド」の音をTopにもってきています。
これではきれいに響きませんよね。
しかしコードに【9th】を加えることにより、メロディーでの【9th】の音をロングトーンで伸ばすことができるようになります。
コードとメロディーはいつも一対のものですから、同時に考えなくてはなりません。
メロディーにロングトーンで【9th】を使いたいときは、コードで【9th】をサポートしてあげるとすごく聴きやすくなります。
またそれが歌メロの場合は歌手がすごく歌いやすくなります。
例えば、コードで思い切り「ド」の音を弾きながら「レを歌って!」というのはちょっとかわいそうですよね。
そんなときは・・・
このようにコードのTopを【9th】の「レ」にすることにより綺麗にメロディーを聴かせることができます。
聴きやすい9thの使い方2
上記の逆の場合もあります。以下のようなときです。
メロディーがルートの「ド」なのにコードが【9th】をTopにしています。
これもちょっと違和感ありますよね。
そんなときは当然このように・・・
コードから【9th】の音を抜くのが手っ取り早いでしょう。
ここではコードのTopは「ド」にしましたが、もちろん「ミ」でも「ソ」でもかまいません。
「ド」でも「ミ」でも「ソ」でもメロディーの「ド」の音と調和します。
【9th】を使った作曲例
作曲⑩【テンションで簡単おしゃれ作曲】9thを覚えよう(白鍵のみ)サンプル曲&楽譜あり
作曲例については動画で解説しています。
【9th】は見つけ方も「ルートの全音上」ということで簡単ですし、手軽におしゃれで豊かな響きを出せますのでぜひどんどん使ってみてください!
覚えるためにはとにかく使ってみることです。
使ってみて曲に合わなければ抜けばいいだけですからね。
次回は【11th】と【13th】について解説してみたいと思います。