今回はブルーノートを紹介。
今まで「白鍵だけで作曲する」というのを前提でやってきましたが、今回は黒鍵を使います。
しかしそんなに難しくはありません。
「たった3つの黒鍵」だけでブルージーで気だるい独特な雰囲気を出せるようになりますので、ぜひ覚えてみてください。
今回はあくまでもブルースを作るのではなく「ポップスなどにブルースっぽい雰囲気を取り入れる」ことを目指します。
ピアノでの弾き方例もありますが、さまざまな楽器で応用できますよ。
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ブルーノートとは?
「ブルーノート」はブルースやジャズなどにはもちろん、ポップスなどにも使われる音です。
ここではまず譜面を使って「ブルーノート」の音の場所や特徴を見ていきましょう。
ブルーノートの音と場所
そのキーのメジャースケールの中の【3rd】【5th】【7th】が半音下がったものを「ブルーノート」と呼びます。
キーがCだと「♭ミ」「♭ソ」「♭シ」ということになります。
キーがCで黒鍵が出てくれば転調したとみなされるのが普通なのですが、「ブルーノート」は違います。
黒鍵を使いますが、キーはあくまでもCのままということです。
本来のブルーノートのピッチ
しかしながら本来のブルーノートは厳密には「♭ミ」ではなく「♭ミ」と「ミ」の間の音、いわゆるクォータートーンと言われています。「♭ソ」「♭シ」も同じです。
ようするにピアノでは出せない音なのです。
しかし声やギターではクォータートーンを出すことができます。
ブルース音楽を聴いて研究してみるのも面白いでしょう。
ブルーノートの特徴
メロディーはキーがCだと「♭ミ」「♭ソ」「♭シ」の3つの黒鍵を使うのですが、コードは今までのダイアトニックコードを使います。
これは西洋音楽の理論では説明できません。
(※ちなみにブルースではトニックもドミナント7thコードにするのでダイアトニックコードとは違うものになります)
クラシック音楽では「メジャー3rd」と「マイナー3rd」を同時に使うことはありません。
しかしブルースやジャズなどでは頻繁に使用されるのです。
どうですか?
外れてるようには聞こえないのではないでしょうか。
もちろん気持ち悪く聞こえる人もいると思いますがそれは別に悪いことではありません。
そしてブルーノートを使うほうが優れているというわけでもありません。
好みの問題ですから、外れて聞こえる人は別に無理してブルーノートを使う必要はないです。
ブルーノートのフレーズ例
キーがCのときは「♭ミ」「♭ソ」「♭シ」がブルーノートですが、どう使えば良いか迷いますよね。
ここではよく使われるさまざまなフレーズ例を見ていきましょう。
フレーズ例1「ブルーノートから半音上げる」
最初はこのように
【♭3rd】から【ナチュラル3th】、【♭5th】から【ナチュラル5th】
と動くのが最も使いやすいと思います。
どちらもブルーノートから半音上がる動きですね。
【♭7th】の場合は、次のように半音上がってさらにそこからもう一つ上がってルートの「ド」の音で完結したほうが自然だと思います。
フレーズ例2「ブルーノートから半音上げる(【♭7th】の場合)」
ブルース的なフレーズを作る場合は、
フレーズの最後の音が【Root】か【3rd】か【5th】に落ち着いたほうがより自然に聞こえます。
「ブルーノート」自体が「そのキーにはない音」であり緊張感を伴うため、
安定したコードトーンに解決するほうがフレーズは作りやすいはずです。
同じ理由により、「ブルーノート」から下がる場合はもう一つ下がってコードトーンに解決するほうが使いやすいでしょう。
例えば次のようなフレーズはどうでしょうか。
フレーズ例3「ブルーノートから下がってコードトーンに解決」
これはいまいち・・・↓
これではちょっとフレーズがしまらないですよね。
ではこちらを聴いてみてください↓
このようにコードトーンに解決するほうがより自然なのがわかると思います。
ブルーノートのスケールを覚えよう
では、これまで説明してきたものをスケールで並べてみます。
このように音が10個も並ぶ非常にややこしいスケールになってしまいます。
「ブルーノートスケール」と呼ばれたりもしますが、このほかにもブルーノートスケールと呼ばれるものがいくつかあったりしてはっきりした定義がないのが現状です。
そこでもっと簡単にするために次のようなスケールがあります ↓
かなり簡素化されましたね。
これは「ブルーススケール」と呼ばれたりします。
さきほどの「ブルーノートスケール」から【Root-♭3-4-♭5-5-♭7】という音が選ばれています。
ブルーススケールの使い方
「ブルーススケール」の6音を弾くだけである程度ブルージーなメロディーは作れると思います。
しかし、これらの音をただバラバラに弾いてもなかなかいい感じのメロディーにはなりにくいです。
例えば・・・
「ブルーススケール」の音しか使っていないのにもかかわらずブルージーには聞こえませんね。
やはり次のように、「ブルーノートから隣の音に動く」のがもっとも自然に聞こえるのではないでしょうか。
かなりブルース色の濃い感じになりますね。
ブルースを作るのならこれだけでもじゅうぶんな気がしますね。
ブルーノートをポップスに使おう!
「ブルーノートスケール」をうまく使えばブルージーな曲が作れます。
しかし、これを見ていただいている方は本格的なブルースをやりたいのではなく、「普通のポップスにブルージーな雰囲気を少し取り入れたい」と思っているのではないでしょうか。
では、普通のポップスなどに使いたい場合はどうすればよいのでしょう。
おおざっぱに分けて二つのやり方があるので解説していきます。
ブルーノートをポップスに使うやり方1「コードに関係なく使う」
ではまず一つ目の方法です。
これは先ほど出てきた「ブルーノートスケール」をコードに関係なく使ってしまうというものです。
前回までに説明してきた理論と大きく外れてしまうのですが、なぜかブルーノートスケールにはこれが許されます。
コードに対して完全に外れる音でもかまわず押し通してしまうところがよりブルースっぽさを出すように感じますね。
例えばこのような感じです。
どうでしょう。
【Dm7-G7】というコード進行のところにコードと関係なく「C」の「ブルーススケール」を使っています。
どこかaikoさんのような雰囲気もありますよね。
彼女の曲にはこのように突然ブルーノートが出てきてびっくりするのですが、それがすごくかっこいい・・・というものが多くあります。
ポップスにおけるブルーノートの使い方を学ぶにはすごく勉強になるので、研究してみるのもおすすめですよ。
ブルーノートをポップスに使うやり方2「コードに対するブルーノートを使う」
二つ目の方法はさっきと逆と言ってもよいでしょう。
それぞれのコードに対するブルーノートを使うという方法です。
ただこの場合は【♭3rd】と【♭5th】にとどめておき、【♭7th】は使わない方が無難です。
具体的な方法はこちら↓
・メジャーコード(C△7、 F△7、G7)には【♭3rd】と【♭5th】を使う
・マイナーコード(Dm7、Em7、Am7)は元々のコードトーンが【♭3rd】になっているので【♭5th】だけを使う
・マイナーセブン♭5コード(Bm7♭5)は元々【3rd】も【5th】もフラットしているためブルーノートは使わない
このようにコードに対するブルーノートを使うとこんな感じです↓
一つ目の方法よりは若干ブルースっぽさが薄くなりますが、こっちのほうが使いやすいのではないでしょうか。
コードが「C」の小節では【♭3rd】と【ナチュラル3rd】を交互に、
「Am」と「Dm」の小節では【♭5th】と【ナチュラル5th】を交互に、
「G7」の小節では【♭3rd】と【♭5th】を使っています。
この方法はバッキングにも使えます。
次のような感じです。
コードを弾きながらたまに【♭3rd】をひっかけて【ナチュラル3rd】を弾いています。
もちろん【♭5】から【ナチュラル5th】にひっかけてもかまいません。
これはメロディーがブルーノートにいっていなくてもいつでも使うことができるので、簡単にブルージーな雰囲気を出せて便利だと思います。
ロックンロールなどにもよく使われていますね。
ブルーノートを使った作曲例
作曲⑬【ブルーノート】ブルージーに作曲【メロディーの作り方】
動画では今回の解説と作曲例・曲の分析を載せています。
ぜひチェックしてみてください。